「さすがに疲れたー」
「連戦だからな」
ヒルデとともに後衛へ一旦下がる。体に染み込んでいた強化魔法はいつの間にやら消えてしまっているようで、どうりで体が疲れている。グッと背伸びをして動きすぎた筋肉をほぐす。クロー陣地側の後衛は、アッカも同様に強化属性や回復担当、前衛での争いを好まない生徒などがひしめき合っている。どうせならここで誰かに強化をもう一度施してもらいたいが、誰か空いている人はいるだろうか。
ふと、ヒルデが知り合いを見つけたようでそちらへ走っていった。そこにはグレーの少しはねた長めの髪を携え、若草のような緑の目をにやつかせながら佇む青年がいた。首には紺色のマフラーとゴーグルがかかっていて、その背中には修練棟の壁がある。随分と暇しているようだ。
「荊! 荊ではないか。妾と茉紘に強化を施すが良い!」
「ええ[D:12316]……まぁいるからにはやるけどさ」
彼の手から血液が伸びる。ギョッとしたものの、ヒルデは怯えることなく体の一部を差し出し、その血液が白い肌に乗った。瞬く間に血液が紋様を描きだしていくのを楽しそうに見つめていた。
「へ[D:12316]、すごい、これが強化?」
「そうでーす。あんたも?」
「うん。腕とかでいい?」
「いいよ」
制服の袖をまくり、腕を出す。荊、と呼ばれていた青年がみるみるうちに紋様を描き出していった。あまりにも鮮やかなその強化方法に目を見張っていると、背後に気配を感じた。振り返ればそこにはクロー生が数名、わらわらと集まっている。
「できた。え……なにこれ。別にで店やってるわけじゃないんですけど……」
集中していたのだろう彼は顔を上げ、僕の後ろに並ぶクロー生を見やった。強化を受けようと嬉々として並んでいる彼女らに青年は大きくため息をついた。
「あとそこの人、溶け込めてると思ってるの?」
そのセリフに視線を移動すれば、しれっと紛れ込んだアッカ生が一人。今一度ヒルデと顔を見合わせ、お互いに口角が上がったのを確認すると、いざアッカ生を倒すために走り出した。
修練棟 16時の部
ヒルデちゃん(@Kina_mochi)、荊くん(@sa10bi10)