幕間 - 宝石

茉紘
修練棟 16時の部



 クロー、強化要員。そう書かれた札を首から下げ、後衛で小さな旗を振りながらニコニコと笑っている少年がいた。旗を持っていない方の手には透明なカゴを持ち中にはキラキラとした宝石のような欠けらがたくさん入っている。少年のツノにも同じような欠けらが付随しており、耳の上に二対、僕と同じ部分にも二対ある。額にあるツノの間には素材はわからないが装飾がついていた。
「アンタ、強化できるの?」
「できるよ。どこを強化したい?」
 尋ねると彼は笑顔を崩すことなくカゴに触れた。ガラスで仕切られているはずのそれは、しかし触れるだけで中に入っているキラキラとした宝石を取り出した。
「すごい、今のどうやったの? 手品みたい」
「ほんと? サンキュー。 これ、強化したいところにつければこれの魔力がなくなるまで一時的にちゃんと強化できるけど、どこがいいかな。ちなみに味は金平糖!」
 瞳は鈍色……白に近いものであるように見えるが、不思議とキラキラ輝いているように見えた。
「適当に全体的な能力向上はできる?」
「もちろん大丈夫」
 彼は取り出した宝石のようなものをふわふわと浮遊させてちょうどはだけていた僕の鎖骨に付着させた。まるで宝石を身に纏うような高揚感を覚えながら、その宝石が触れた場所から徐々に体へ力がみなぎっていくのがわかる。
「……綺麗、ありがとう」
「いいえ! ポイントたくさんとって来てな」
 自分が動くつもりはないのだろう、彼はにこやかに手を振った。彼の持つ透明なカゴの中で一緒に宝石たちが揺れる。
「あ、アンタ、名前なんていうの?」
「おれ? フロウト。好きに呼んでくれよな[D:12316]。またよろしく!」
 鎖骨にほんの少しのむず痒さを感じながら、背を向けて混沌の中へと走りだす。身体中をみなぎる力はきっと、魔法だけじゃない。

修練棟 16時の部
フロウト・エルツくん(@nenekoneco)お借りしました! 問題あれば教えてください。
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