凸凹三人組

茉紘
修練棟 16時の部




「もうサリー! 勝手にクナイとってかないでよバカー!」
「すまない。ほら、これは無事だぞ」
 あっさり戦闘中の僕の腕からクナイを一本、取り上げて行ってしまったサリーの後を追えば、さしてちゃんと使われてもいないそれは綺麗なまま帰ってきた。
 普段、こんなイベントには絶対参加しないであろう彼女がここにいるのは大方、もはや生きがいとなりつつある読書に関係するものであることは想像に難くない。
「なんで使わなかったのよ、これ」
「……人を傷つけるのは性に合わない」
「このイベントの趣向わかって言ってんの?」
 呆れた声を出してもサリーは何も言わなかった。自由人すぎる彼女は知り合いを見つけたのか誰かを手招きした。自分で動かないあたりもこいつらしい。誰が来るのかと思ってその視線の先を見ると、そこにはよく見知った顔がいた。
「何、レイと知り合いだったの?」
「図書室仲間だ」
「ハァーン、なるほどね」
 そういえばあのメガネもよく図書室で見る気がする。図書室に通っていればサリーと知り合いになるのは当然だろう。サリーに呼ばれてやってきたレイは不思議そうに彼女を見ていた。
「サリー、なんですか」
「いや……暇そうに見えただけだ。茉紘もいる、二人がいれば安全だろう」
「さすがサリー。自分で戦う気ゼロ」
 動いていない生徒は珍しいのか、あるいは格好の的なのか、周辺には殺気をまとったアッカ生が群がっている気配がする。レイも、サリーも、きっとそれには気づいていてなおのこと涼しい顔をしているのだ。
「しょうがないからさぁ、やってあげる。いい? レイ」
「もとより戦う気で来てるからな」
「サリーもちょいちょい助けてよね。クソアッカの武器取り上げたりとか」
「わかった」
 あまりにも凸凹すぎる三人組を取り囲むアッカ生の構図は、割と不思議な雰囲気だった。ただ、何人に囲まれたところで僕は負けるつもりもない。不利であればあるほど楽しくなっていた。口角が上がる。
「かかってこいよ」
 その声は、戦いの火蓋を切る。

修練棟 16時の部
サリーちゃん(@wocarinas)お借りしました!
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