「まァたごちゃごちゃ考えてんのかァ」
ため息とともにアクズミがぼやいた。僕の考えは全部アクズミに筒抜けになってしまう。少しだけ恥ずかしい。
「変な野郎だぜ、ナァ? 心底わからねえって顔してやがった」
それは本当なのかもしれない。彼にはそういう文化がなかったのかも。僕だって、墓という文化はなかった。僕たち忍鬼の身体は死ぬ時炎へと還る。母の胎内に帰還してまたもう一度違う魂へと生まれ変わる。僕たちはその意味では永遠に死なない。
……わかってるんだよ、還った魂は二度と意思を持たない。生まれ変わる魂はまた別のものになる。それがイコール死、であることくらい、わかってる。僕たちは死んだものを弔うことを強制されなかった。死に執着してはならなかった。
「俺っち、難しいことわかんねぇから簡単に説明してくれよ煤竹ェ。つまりアイツはお前にとっていいのか悪いのかどっちなんだ?」
そんな簡単には判断できないよ。簡単なことじゃない。それでもただ一つ、確かなのは……その、あの人は死者に敬意を払ってない。思ったでしょう、アクズミ。
「……俺ちゃんにはわかんねぇなァ」
僕は、死者の生きていた頃に敬意を払う。その敬意の払い方が種族によっては墓だったり、人によっては大きな感情だったりするんでしょう。僕は、あの人の考え方を容認することはできない。でも……あの人はなんだか、根本的なところで知らないような気がする。事実、僕の感情には気づいているのに、アクズミが改めて聞くのはアクズミもそう思ったからでしょう?
「んにゃ。俺ちゃんははっきりさせたかっただけだぜ」
……そう。
「ま、どうでもいいことさな。嫌なら嫌でぶっとばしちまえ!」
うん。
「お前が感情に素直になれば俺ちゃんはいつでも力ァ、貸すぜ」
うん、ありがとう、アクズミ。でも、僕は……。
「へーへー、わーったわーった。お前はいつもそうだよなァ。人を傷つけたがらねえ」
ごめんね。
「次あったらどうすんだ?」
どうもしないよ。あの人は僕たちに危害を加えるようなひとじゃなさそうだし。攻撃してきたら別だけど……。
「ナヨっちいから俺たちなら余裕じゃねぇか?」
すぐ調子乗る。
ミトリヒさんに言われたことをただ考えてアクズミと会話するだけ。