

血気盛ん
「おいお前」
突如声をかけられて振り返ると左目に傷のある男がこちらを睨んでいた。ワンテンポおいて間合いが詰められる。とっさに体を避けようとするものの、その手が俺のマフラーをつかんだのは予想外だった。
「……貴様、なに……」
「そのマフラー、俺の……じゃ、ない?」
疑問形で発せられた言葉に、さらに眉間へシワがよる。力が弱まったのを確認して振り払うと目の前の男はどこか残念そうに俯いた。
「なんだ、マフラーがどうした」
「……なくした」
「……知らん」
なんだというのだ。不愉快極まりないものの、その様子をみているとマフラーは大切なもの出会ったのだろうということがわかる。こういうときどうすればいいのかさすがにわかるものの、ため息が漏れた。
「探してやろうか」
「……いらねぇ」
「……名前は」
「あ?」
「名前がわからないと見つけた時お前を探せない」
「……九十九。狗組の」
「どんなマフラーだ?」
「赤黒い……赤黒いやつ」
「そうか。見つけたら連絡してやる」
それだけ言うと少ししまったマフラーを緩め、翻して歩き出した。狗組のやつはどうしてこうもすぐ手が出るやつばかりなのか、また一つため息が出る。
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九十九さん(@coolsummer29)