番外編 両手に花とは多分これ

やって来ましたナックルシティ!
新しくポケモンと楽しめるカフェがオープンしたと聞き、食いしん坊ピカチュウに強請られやって来た次第である。こいつ本当に食べるんだよな……そろそろダイエットかな?腹をつんつんしたら怒られたので、今日からカロリーカットポケモンフーズがご飯ね。
るんるんはしゃぐピカチュウに、一緒に嬉しそうに歩くクスネ。ナミは私に抱かれておねんね中。アローラ出身だからかは分からないが、ナミは群を抜いてマイペースな子だった。カフェに着いたら起こせばいいか。は〜……うちの子が……かわいい……。
メロメロじゃないかって?しょうがないね、だってうちの子が世界一!

「ピ?ピッカ〜!!!」

「うわーーー!?」

「大丈夫!?……え、ピカチュウ?」


ピカチュウがいきなり少年に飛びつき、恐らくその少年の付き添いの人たちを驚かせてしまっていた。
何やってんだあの食いしん坊〜!?
彼らの元へと急いで向かう。

「うちのピカチュウがごめんなさい……!」

「大丈夫なんだぞって……義姉ちゃん!?」

「えっ、ホップくん!?って義姉ちゃん違いますが!?」

ピカチュウにほっぺすりすりをくらわせられているのは私の推しの弟で、公式ダンデくんの世界一のファンであり、ポケモンのマッサージに関してまさに神の手を持つホップくんであった。一緒にいたのは、ソニアちゃん。豪華なメンツすぎないか……?

ホップくんに義姉ちゃんって言われている状況は私もよく分かりません……。ホップくんというかダンデくんの家族には、以前ハロンタウンにダンデくんに連れられ行って会ったんですけど。あれ、もしかしてこれが外堀を埋められているとかそういう……?
いやいや結婚とか直接的な話はしてませんし、挨拶しただけだから……。うん……。

「義姉ちゃんは義姉ちゃんだぜ!」

「そっか……」

「義姉ちゃんはどっか行くのか?オレたち2人で新しく出来たカフェに行くところなんだぜ!あっ、こっちはソニアだぞ!」

「うん、あの、ソニア博士ですよね!本を読ませていただきました!握手して貰ってもいいでしょうか……」

「……ええ、勿論!改めて、わたしはソニア。読んでくれて、嬉しい!」

ひゃわ……。可愛い……これがソニアちゃん……!!
ダンデくん一筋の私だが、思わず揺らぎかけるほどの可愛さ。手が綺麗!待っていい香りする……!?ソニアちゃんのことはそれなりに知っている。ダンデくんが、ジムチャレンジャー時代のライバルとしてよくキバナくんやソニアちゃんの名を挙げていたから。あと、SNS不精のダンデくんの情報やら写真やらをよく挙げていてくれた人でもあったので。当時は拝みまくっていた。
他には、友人にソニアちゃんファンがいるからかな。
サイン頼んでもいいものか……。欲しいんだが!?

「ホップくん達が行くカフェって新しく出来たところ?」

「そうだぜ、義姉ちゃんも行くのか?なら、一緒に行こう!」

ガシッと手を握られ、ダンデくんを思わせる太陽みたいなスマイル、断れるか!!

「行こう!ホップくん!!」


道中、急に同行を決めてしまってすいませんとソニアちゃんに謝ったらいいよ、わたしも貴方と話したいの!って許してくれたの優しい……。何にも面白い話題とかありませんけど、いくらでも話し相手になりましょう!!
同い年っぽそうだし、敬語じゃなくてタメ口で話さない?あと、さん付けは無い方が嬉しいなってはにかんだソニアちゃんは最高だったぞ。

「ピカチュウ、ホップに懐いてるんだね」

「ホップくんのマッサージにメロメロになっちゃったみたい……。私にだってあんなに飛びつかれること滅多に無いんだよ!」

「でもホップのマッサージ凄いんだよね……。わたしのワンパチもすぐお腹見せて撫でて〜!ってホップにねだりに行くの」

「ホップくんはゴッドハンドの持ち主だった……?」

「あはは、そうなのかも!」

未だにホップの頭にしがみつくピカチュウを見ながら話す。おめ〜がそんなにはしゃぐ相手はダンデくんのリザードンだけだと思ってましたよ、私は。

「ねえ、ちょっと聞きたいことがあってね……」

「なにかな?」

「あのねー…………」

「ソニア!義姉ちゃん!!カフェに着いたぞ〜!」

「あっ、ちょっと待ってよホップ!」

「えええホップくん、ソニアちゃん!?」

お約束かのようにソニアちゃんのセリフはホップくんに遮られ、先にカフェへと向かってしまったホップくんを追いかけることになってしまった。
ソニアちゃん、なんて言おうとしたんだろう。



店内は広々としていた。出せるポケモンは大きさにより、何体までと制限をせざるおえないようだったが、私の手持ちはみな小柄な方だったので三体とも出せた。ホップくんはバイウールーに、エースバーン。ソニアちゃんはワンパチ。
それぞれ注文を終え、今は料理が来るのを待っている。それまでは!とポケモンたちとホップくんがじゃれ合っている。和むわ……といつもなら写真を撮りまくるところだが、出来ない。なぜならソニアちゃんに物言いたげに見つめられているから!

「ソニアちゃん、さっき言いかけたことって何かな?」

「嗚呼、うん。さっき、ホップに義姉ちゃんって呼ばれてたでしょう」

「そうだね、そう呼ぶね……」

と答えてから私は思った。まさか……ソニアちゃん、ダンデくんのことが好きとか!?
血縁関係がない私をホップが義姉ちゃんと呼ぶということはダンデくんの、よ、嫁さんであると考えれるだろう。頭に何時の日だったか、ダンデくんとソニアちゃんの熱愛報道がされていたことを思い出す。すぐ否定されていたから、忘れてしまっていたけど。
実は本当にソニアちゃんが、ダンデくんを好きだったら……?そこに実弟のホップくんに義姉ちゃんと呼ばれる女が現れたら……?
口の中がカラカラになって、全身が冷水でも浴びたみたい。どうすればいいの!?ソニアちゃんの次のセリフに思わず身構えた、のだが。







「ウクレレを背負ったピカチュウ……義姉ちゃん……ふむ、あなたがウクレレちゃんね!」




「…………へ?」







「わたしがダンデくんと……?全然そんな関係じゃないからね……あはは、まさか勘違いするなんて!」

「お恥ずかしいかぎり……」

事実は全く異なったものだった。ソニアちゃんは私の削除済み黒歴史アカウントをダンデくんに教えた張本人だったようで。かつダンデくんから色々話も聞いていたと。(その色々について詳しくいいですかね?)
そしてウクレレピカチュウをみて、もしかして……と閃いたらしい。
……はっず!!!勘違いした自分はっず!!!!
笑って許してくれたソニアちゃんは女神だったと友人に伝えておこう。





「今日はほんとに楽しかった〜!」

「エースバーンたちも嬉しそうだったぞ!」

カフェにて、ホップくんのマッサージを求め沢山のポケモンが列を成すという事件があったものの、美味しく料理を食べ、みんなで賑やかに過ごすことが出来た。無事ソニアちゃんからサインも貰えてハッピー!
しかも連絡先まで交換し、また遊ぼうとまで言われた。ソニアファンの友人にころされる……。
ばいばーい!と元気に別れた私は知らない。








「順調にウクレレちゃんがダンデくんに囲われてる……。そして本人はそれに気付いていない……。ぐらいしかウクレレちゃんとの会話聞くかぎり感じなかったんだけど」

「まあ……。2人が幸せならいいと思うんだぜ!オレも義姉ちゃんが義姉ちゃんになったらうれしいし」

「なるほどね……」

こんな会話が交わされていたなんて、ワンパチ可愛かったなと発言したことにより焼きもちを焼いたらしいピカチュウ×2とクスネにたしたしされていた私は知らないのである。