眠い、眠い眠い眠い眠い。ただ今社会の授業中。今更だけどこの学校は変わっている。入学して間もなく分かっていたことだがホントに変わってるんだ。何で社会で学ぶ歴史がお笑いについてなんだ!
普通日本史とか世界史とかでしょ、なにお笑いの原点って!大坂人がみんなお笑い気質だと思ったら大間違いだ。私は関西人じゃないけど。
「ごっつい皺」
「だってつまんない」
「同感」
唐突に私の眉間の皺を指摘してきた財前はまさに今述べた通りの人物だと思う。横目で彼を見れば耳にはイヤホン。うわー授業聞く気もないわけね。
いまだ語られるお笑いの歴史は良い具合に子守唄になって本格的にうとうとしてきた。
「寝るん?」
「ん、後でノート見せて」
「…ええけど」
財前の了承を得た直後に夢の世界へダイブした。
「名前!いつまで寝てるん?もう終わったで」
「んー、もうお昼?」
「そ、ほら早うノートしまい!」
「はーい」
気付けば授業は終わっていて友人に叩き起こされた。
横を見れば財前の姿はない(きっと先輩のところだ、仲良いな)
ノートを片付けようと手に取れば片隅に見知らぬ文字が書いてあることに気付いた。
「え、」
「なになに?わ!"好きや"だって!名前の字ちゃうよね、誰なん!?」
「…さぁ?」
こじんまりと、それでいてバランスのとれた何だか可愛らしい字で書かれた告白。心当たりはない。何で寝てたんだと友達に怒られながらふと教室の扉の方を見ればちょうど戻って来た財前と目が合った(すぐ逸らされたが)
すたすたと財前は自分の席に座ると無言でノートを差し出した。ありがとうと言って受け取りとりあえず(あんな授業で)どんだけ書いたのか確認しようとノートを少し開いて絶句した。
(……この字)
パタリ、とノートを閉じて財前を見ればこっちを見ていた財前とばっちり目が合った。
不敵ににやりと笑う財前の顔を暫くまともに見れる気がしない。
(ノートにあった字と、同じ?)