「オイミスタ!起キロヨ!!」
ピストルズ達の騒いでいる声で目が覚める。腹が減っただの、早く飯食わせろだの...
まだ朝早いってのに...
「ミスタ!腹減ッタ!!」
なかなか起き上がらないおれにピストルズたちは小さな手や足でビシビシと叩いてくる。
地味に痛いんだよな...
「分かったから」
ようやくベッドから起き上がるおれにパァッっと顔を輝かせて喜んでいる。
全く、単純な奴らだな。
服を着替えてから、護衛チームのみんなが集まるリビングに行くと、こんな朝早くからトリッシュが。
おれには気付かず、何かを考え込んでいるようだ。
「なにやってんだ?トリッシュ」
声をかけると肩をビクッとさせておれの方へ振り向く。
おれの顔を見ると残念そうな顔をしてハァ...とため息をついた。
イラッ。
「人の顔を見てため息つくなんて失礼なやつだな」
冷蔵庫に向かいながら声をかけるとうるさいわね、と一言。
こいついっつもおれに対する態度が酷いよなぁと思いながら冷蔵庫に入ってるハムを取り出して数枚切り取り、パンと一緒にピストルズたちに食べさせる。
ムシャムシャと食べているこいつらは可愛くて憎めないな、やっぱり。
そんなことを思い、自分も食事しようと思っていたらねえ、とトリッシュの声が。
「なんだ?」
「私って...魅力無いのかしら?」
「ぶふぉっ!!」
突然そんなことを言われて吹き出してしまった。
まだ何も食べてなくてよかった。
「どーいうことだよ」
「だって彼、気付いてくれないし」
彼とはブチャラティのことだろう。
つい最近彼のことが好きだということを自覚した彼女は積極的に自分をアピールしているのだが相手にされていない。
まあ、ブチャラティは鈍感すぎるから好かれているということに気付いていないだけだろうけど。
「まあ、お前はまだ若いし、色気がないからなぁ」
馬鹿にしたように笑ってやるとは?と怒りを含んだ声。
おお、怖い。
「そういうアンタはどうなのよッ!好きな子と上手くいってんのッ!!」
は...?
一体いつ好きな子がいるとバレたのか。
おれは必死に隠してたはずなんだけど。
おれ、アバッキオにしか言ってないんだけど...
「あんたの態度でバレバレよ」
おれの考えてることを読んだかのように言ってくる。
そんなにわかりやすい態度だったのか、おれは...
みんなにバレているであろうと分かると途端に恥ずかしくなってきた。
「ミスタ、顔ガ赤いゾッ!」
ピストルズたちの声が聞こえてきたが無視をしておこう。
今はそれどころじゃない。
けど...
「おれはッ!お前と違って上手くやってるに決まってるじゃねーか」
今日はおれもあいつも仕事オフだから一緒に出かける約束してるしなー、と続けるとトリッシュは悔しそうにうるさいッ!と。
ブチャラティに気付いてもらえないトリッシュのことを不憫に思うけど、その恋に協力してやろうとは思わない。
なんでかっておれは好きな子にしか優しくしたくないし、それにもしおれとトリッシュが仲良くしているところを見られて勘違いでもされたら厄介だ。
「おはよう〜」
起きて間もないのか、眠そうに目をこすってきたナマエは天使そのもので。
「ナマエ、おはよう」
「ミスタおはよう〜」
おれに向けてくる笑顔が眩しすぎて...
幸せすぎる朝だな、今日は。
トリッシュはというと、ナマエがリビングに来る少し前にブチャラティを起こしてくるわ、なんて言って走っていってしまった。
ということで今ここにはナマエとおれと二人っきりッ!
未だにモシャモシャとご飯を食べ続けているピストルズたちはおいといてナマエの元へ。
髪がはねてるぞ、とそっと髪を触ると少し赤くなってはにかんで恥ずかしい。なんて、そんなに可愛いのは反則だァ〜ッ!とか思ってても表情には出さない。
出そうになるけど意地でも出さねえッ!
「今日はミスタとおでかけだよね?楽しみだな」
にっこり笑うそいつは可愛すぎて思わず抱きしめてしまった。
でもナマエは全然気にしてないようで、ミスタもそんなに楽しみなんだね〜とか言いやがる。
正直ナマエの鈍感さと天然さはほんとに悲しくなってくるけど、可愛いから全て許せる。
ああ、ほんとに天使だなコイツ。
抱きしめていた腕を解いて頭を撫でながら今日は楽しもうな、と言うと嬉しそうにうんッ!なんて言うから俺はもうノックアウト状態で。
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(ミスタッ!)
(なんだ、ナマエ)
(今日はずっと手繋いでていーい?)
(っ!おうッ!)
2013.9.11
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