「可愛さの暴力と戯れよう、か」
「なんだろうねぇ?」
教師に楽しんでるアピールを済ませ、ほのかに赤さを残す頬を抑えながら次のスタンプのヒントを眺めた。可愛さの暴力。二人してうーん、と悩みながら商業棟の廊下を歩いた。
「あ、くおりんくおりん! 見て見て」
「あ?」
ミケに声をかけられて顔を上げた。そこにはよくペットのレグルスの世話用品を買うために常連になりつつあるペットショップがあった。
「もしかして」
「可愛さの暴力! 行ってみよぉ!」
ミケに腕を引っ張られてグイグイと店内に入っていく。店内は少しの獣臭さとたくさんの生徒であふれていた。やはり正解らしい。店内のスタンプラリー用カウンターでは行列ができていた。
「時間かかりそうだしペット見てくか」
「うん! くおりん、そういえばドリムグリズベア飼ってたよね?」
「おう。毎日快眠だぜ。大人しいしな」
ドリムグリズベアのレグルスとはこのペットショップで初めて出会った。店員が
「今度お部屋忍び込んじゃお!」
「別に正面切ってくりゃいいじゃねぇか。いつでも空いてるぜ?」
「えっほんとにぃ? じゃあミケ好きな時にお邪魔しちゃうよぉ!」
ペットなんてそっちのけで盛り上がっていてもさして浮きはしなかった。レグルスは問題ないだろうが、デルタはうるさそうだ。きちんと言っておこう。
ああ、ミケが来るなら部屋の掃除もしなくては。掃除というほどものもないのだがレグルスの抜け毛は片付けよう。
「あっ、くおりん見て見てー! ムツアシ!」
先ほどまで隣にいたはずのミケが今度は移動している。仕方ないな、とその後を追った。そこにはムツアシ、と呼ばれる小型のペット用魔物がわらわらとケージに入れられていた。
「かわいいなこれ」
「あ、これ持っていいんだって……!」
ケージの中からムツアシを取り出したミケがぬいぐるみのように抱きしめる。ふわふわ〜! と満面の笑みで頬ずりしているミケが可愛い。なかなかブサイクな顔をしたムツアシだが、目のたれ具合がアシンメトリーになっている。こうしてみると可愛いものだ。
「くおりんも抱っこしなよー!」
「ん? ああ」
ミケの持っているムツアシに手を伸ばしかけ、逡巡した。ムツアシに夢中になっているミケを見ていると、なんだかこちらにも構って欲しいような気がする。ミケが差し出したムツアシをもち、ミケの口に押し当てる。反対側から唇を押し当てた。
「俺も構えよ」
「……くおりんは甘えん坊さんだねぇ」
クオミケ交流祭その4 スタンプラリー:可愛さ