「
修練棟イベント開始前のフィールド。様々な生徒たちがストレッチや魔法、攻撃の確認をしている中、静かに解放詠唱を唱えた。
ふと、目の端に長い銀色の髪の毛が映る。以前、アルミリアと一緒に歩いているのを見たことがあった。名前は、なんだったか忘れてしまったが。
彼女は姿勢をピンと伸ばし微動だにせずその場でアッカの方をじっと見ていた。手には二本の剣。ヒールもあるのだろうが、随分背の高い人に見えた。
開始の合図と同時に彼女は前衛へ動き出す。鮮やかに飛び上がってアッカの生徒を切りつけていく彼女の動きにしばし目が奪われていた。
「レイ?」
ぼーっと眺めていたせいか、背後から近づく彼に気づかなかった。肩をビクつかせた俺の様子を見てふふ、と笑う。
「レイは前衛に飛んでいくような人だと思っていたけれど、まだここにいるのね」
「あ、いえ……」
まさか見とれていたから、なんてことは言えずに口ごもった。ティアーマットさんは察しているのかいないのか、笑みを絶やさない。
すでに俺たちのいる場所は後衛になりつつあった。好戦的な生徒たちが上空や、アッカとクローのおおまかな陣地の間で戦う中、この周辺では主にサポート役の生徒たちが集っていた。
「そろそろ前に行きます。お互い頑張りましょう」
「ええ、よろしくね」
まずは上空から全体を俯瞰して把握しよう、と解放詠唱を唱えた。同時にティアーマットさんの翼も動く。
「
目を離しているすきに先ほどの銀髪の女生徒が見えなくなっていた。上空へ飛び立って視線を動かす。派手な戦闘をしている生徒たちは何組かいるが、そのうちの一つに彼女がいた。
バク転をするように飛んだ彼女が、突如足から剣を出した。足が下から上に上がる瞬間、目の前にいたアッカ生を切りつける。同時に両手に持っていた剣で左右のアッカ生にも攻撃を仕掛けていた。揺れた銀の長髪としなる四肢がどこか妖艶さすら感じさせた。
「っ、」
ヒュン、と背後から誰かの流れ弾が飛ぶ。すっかり忘れていたがもう試合は始まっているのだ。見とれているだけではいけない。地上へ足をつけると次の攻撃の詠唱を唱え始めた。