おそ松さんネタ、次男贔屓にオール松
私には兄がいる。
それはもう邪魔な兄が、六人もいる。皆全員すべからく、クズである。
子供の頃はどうにも手のつけられないクソガキだった兄らは、大人になった今、パワーアップしたのかダウンしたのか、しかしどうにも手のつけられないというのは変わらずに、様々な方向にクズなニートになった。一人ひとり違うクズさを持つ奴ら。身内としては、これはもう見下して軽蔑するしかない。
あいつらの背を見て成長した私は、反面教師もいいところ、あいつらのようには絶対になるまいと、父母が自慢出来るようなイイコでいようと頑張っている。
「入っていいか?」
軽いノック音。格好付けてノックしても襖では鈍い音しかならない。聞き慣れた愚兄の声。返事をする間も無く扉が開いた。私の了承の意は関係ないようで、遠慮のカケラもなくズケズケと。
「カラ松兄さん、返事する前に開けたらノックの意味無いよ」
「ん、ああ。スマン、少々気が逸ってしまったようだ」
「あ、急ぎの用事?」
「いいや……、早くお前に会いたくて、な」
手でピストルを作ってバーンと打ってきた。ウィンク付き。目も当てられないイタさ。
「ハハ、今日も絶好調だね。直視出来ない」
「ん〜? 何?お兄ちゃん今日もカッコイイ? 抱いて? 褒めすぎだぜ、マイシスター!」
「ハハ、まじキモいよ」
「えっ」
「で、何か用?」
「フッ……、混沌により穢れし聖域からの脱却、」
「はぁ?」
「あっ、いや、ブラザー達がな……」
喧嘩という名のプロレスごっこをしているらしい。しかも酔いながら。どうりで、先程からドンドンと五月蝿い音が聞こえると思った。こいつは避難してきたようだ。
というか私さっき学校から帰ってきたばっかなんだけど。昼間っから酒盛りしてたのか愚兄らは。いい御身分ですこと。
「兄さん、顔赤いけど。酔ってるでしょ? 大丈夫?」
*
イイコな私はたとえクズな兄貴に対してだろうと、イイコな対応をしなければ。
(ホントあいつ面倒くさい。縁切りたい)
おっと、思わず本音が。
…………。
本当のこと言うと、私もそんなにイイコに育っていない。何もかも面倒くさいと感じてしまうような怠惰心の塊だ。行動の動機が、全て怠惰心に起因する。
面倒くさいという気持ちが極まった故の行動を、カア様トオ様ニイ様方はイイコだと言う。イイコでいるのが、私にとって最も面倒くさくないことなのだ。
まあ、あの兄たちとまるで違うと思われたい気持ちも、無いではないが。
夢主
六子の妹。高校生。優等生。割とマザコン。家族やご近所さんからはとってもイイコとして知られている。イイコだけど結構クールとしても知られている。
極度の面倒くさがり。
面倒くさい、が行動基準。常に何が自分にとって面倒くさくないかを考えて行動している。
面倒くさい。(→ けど、ここでしとかないと後々もっと面倒くさい。)→ だから、する。
という思考回路。
クズニートと兄らを内心見下し余り関わりたくないと考えているが、余計な亀裂を作るのはもっと面倒くさくなると考えており、不満を持たれない程度に妹してる。
クズニートのくせに母に可愛がられている(ように見える)兄らが嫌い。兄らのへの嫌悪感はここから来ている。兄とは敵だ。撃ち壊すべき生涯の壁なのだ……。
面倒くさい事を回避するための日々の研究を怠らない努力の人。
兄らと一括りにしているが、無意識に順位は付けている、かも。