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2018/09/04(Tue)未分類

火拳に振り回される海軍少将if

ギャーギャー五月蝿い囚人共を、殺す気で睨むと一寸静まり返ったのち、更に汚い野次が飛んできた。看守を尊敬する。よくこんな奴らを生かした状態にしておけるものだ。私ならば……、いや止めておこう。
四方から飛んでくる声を無視して奥へ進み、目的の男が捕まっている鉄格子の前に立つ。

馬鹿だな、と言ってもエースはあの頃とは違って、何も言い返してはこなかった。何故だかそれが、酷くイラついた。

「海賊になんぞなるからこうなるんだ。いや、せめてあの時七武海の誘いを受けていれば……、こんなボロ雑巾みたいにならずに済んだのにな」

口から自然と出る言葉に、自分でも随分な内容だと思った。
そこで、ずっとだんまりだったエースはようやく口を開いた。口の端がニヒルに上がっている。もしかたら怪我で上手く笑えないだけかもしれないが、そんな態度も私の癪に触った。

「……相変わらず口が悪りぃな。態々説教しにこんなとこまで来たのかよ、海軍少将が」
「説教じゃない、文句を言いに来たんだ。……お前のせいで、一つ、私の子供の頃からの夢が台無しになったぞ。お前を此処にぶち込む役は、私が果たしたかった」
「ハ、そりゃあ……、悪かったな。」

ボロボロに痛めつけられているエースは、顔を上げるのも辛いのだろう。手足にしっかりと繋がれた鎖と手錠は、海楼石で出来ている。能力者でもない私には、その効果が如何程のものかいまいち分からない。
いつの間にか自分が、ボロボロなエースの姿を目に焼き付けようとしていることに気付き、ハッとして目を逸らした。

「……それと、ガープさんに心配をかけた。これが一番の大罪だ、クソ野郎」
「それは知らねえよ」
「知っておけ。後でガープさん、わざわざお前に会いに来るぞ」
「……」
「あと、……あと、……何でもない」

私は会話を打ち切り、直ぐに来た道を引き返した。引き止める声が聞こえた気がしたが、他の囚人共の声に掻き消されて聞こえなかった、ということにしておいた。
あれ以上あのクソ野郎の前にいたら、何かとんでも無く余計なことまで口に出してしまいそうで。怖気付いて逃げたのだ。
ここから出してやろうか、なんて、出来もしないことを。

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