桜が散るまでに




夢ノ咲の校庭には遅咲きながらも満開の桜がたくさんあり、ついつい足を運んでしまう


DDDも終わりしばらくはあの規模のドリフェスも開催されないようなので、のんびりと依頼されたユニット曲などの製作を桜の木の下で行っていると、遠くから見慣れたオレンジ頭の少年が突っ込んできた……突っ込んできた?

「スバル?」

「うわあい☆一昨日ぶりだねっ!元気?」

「一昨日ぶりって、そんなに久しぶりじゃないけど」

「S1からDDDまでの期間は毎日会ってたから、DDDが終わってから頻繁に会えなくて寂しい〜」


そう言ったスバルは疲れたと言わんばかりに私の隣に腰掛け桜の花を見上げた。さすがアイドル、絵になるなぁ


「そうだけども……というか、なんであんな走ってたの?」

「あっ、聞いてよ!ホッケーったら、俺達みんなでやろうって言ってた花見を中止しようって!!俺達桜フェスっていうのに出ることになったらしいんだけど……そっちの方が大事だからだって」

「ほう」

「それでさっきオッちゃんとかあんずとかと話してたんだけど、自分の気持ちとかがよく分かんなくなっちゃって……頭の中整理したくなって走ってたってわけ」

「なるほど??」


自分の考えが分からなくなったから走るの因果関係が掴めず頭にハテナが浮かぶがスバルは天才肌だし気にしないことにした。私がむしゃくしゃしたら楽譜ばら撒くみたいなもんかな。


「ホッケー酷いと思わない??俺お花見すっっっごく楽しみにしてたし、ホッケーもそれ知ってたんだよ?」

「ほっちゃんも頑固だからなあ」

仕事優先だ、と主張するほっちゃんの顔が目に浮かぶ。息抜きでちょっとくらいは……とならないのがほっちゃんの良いところであり悪いところでもあるのだ

「……でも、お花見はこれから先いつでも出来るよ。君たちは運命共同体なんでしょう?スバルが今までやりたかったこと、なんでも出来るよ」

「そうだけど……」


「それに、ステージ上でたくさんの人を笑顔にしながら仲間と一緒に見る桜、最高だと思わない?」

「……」

「さらに」

「?」

少し考え込んでいるスバルに最後のダメ押し、と言わんばかりに今手に持っている五線譜をちらりと見せるとスバルは少し目を輝かせた。楽譜の上にはTrickstarユニット曲、と書いてある。

「これ、桜フェスに向けた新しい曲」

「もう俺達の新曲作ってくれてるの?」

「もちろん。君たちのためならいつでもね」

そう私が言うとスバルはもう一度桜の花を見上げた。その横顔にはさっきみたいな駄々をこねる子供みたいな表情はどこにもなくて、桜フェスのことを考えているようだった。

「出るかどうか最後に決めるのはスバルだけど……協力して欲しいことがあったら言ってよ」


君たちは私の恩人だからね








結局桜フェスに出ることにしたスバルの練習に私とあんずが交代で付き合うことになり、それもあってかスバルが飛び入りしたのにも関わらずTrickstarは見事なパフォーマンスを魅せた。桜舞うステージの上で私と目があったスバルがこれ以上ないくらいの満面の笑顔でピースをするのを見て、私も思わず笑顔になる

やっぱりTrickstarはこうでなくっちゃ!

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