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「ママ、パパはいつ帰ってくるの?」
「ん?夏ごろには帰ってくるよ。」

何気ない会話の中で仕事に行った彼の事を考えた。ヤマトは、夢を叶えて宇宙飛行士へとなった。一度宇宙に行ってしまうと最低でも半年は帰ってこれない。あなたが仕事に行ってからすでに2ヶ月がたとうとしていた。まだまだ帰っては来れないなー。今回の仕事は、半年の予定だけどまだ半分も経っていない。毎日メールと
週末には必ずテレビ電話を掛けてきてくれるのだけど、側にいないとこんなにも恋しい。
日本から遠く離れたアメリカに来て、もう15年が過ぎ、仲間にすぐ会えない環境が少し寂しさを感じる。夢のような冒険を過ごした彼等とは、今じゃ1年に一度、あの日に集まるだけになってしまったなーと物思いに更けてみると、パソコンが鳴り現実へと戻された。

「もしもし、お疲れ様ヤマト。」

通話ボタンを押し笑顔で答えると、子供たちが騒ぎだす。「パパ!?あのねあのね、」なんて今日したことや学校であったことを我先にと姉弟で言い合う様子に笑みがこぼれた。話終え落ち着いた子供たちは、ママも話していいよと言って少し離れた場所で遊び始めた。良い子に育ったなーなんて感心してると、画面の向こう側から楽しそうに笑うヤマトとガブモンに目を向けた。

「そっちは変わったことないか?」

毎日連絡を取っているのに相変わらず心配性な彼に「何もないよ。」と話すと「ヤマトは心配性だなー!」なんてクスクス笑いながらガブモンがからかう様子に笑みがこぼれる。他愛ない会話に、早く会いたい、なんて思っていると、ヤマトがフッと笑った。「もう少し待っててくれ。」びっくりして目をパチクリさせて見るとさらに笑われ、頬を膨らませるとガブモンまで笑いだす。もっと話していたいのに楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。時間の進みを恨めしく思った。ヤマトとガブモンにバイバイをし家の事に手をつけるのだった。

「ねーママ、あの話しして!」
「僕も聞きたい!!」

一日の終わりは静かでほんの少しだけ寂しさが襲ってくる。一緒の布団に入った子どもたちのぬくもりが寂しさを掻き消す。寝る前の絵本がわりに話していた懐かしい冒険の事を話しはじめた。