01常備しておくもの
腕組みをして駄目だの一点張りを貫き通す彼、恋人の風間蒼也。ボーダー本部からの帰り道、蒼也の家に泊まりたいって言ったら不機嫌な顔で拒否られ続けている、この寒空の下で。
防衛任務続きで疲れているから?大学の講義の予習が終わってないから?それとも他に蒼也の傍にいられない理由があるのだろうか。
「なんで駄目なの?正当な理由がないと諦めない」
ムンとして蒼也の腕を取ってそこに巻き付くように抱き着くと、小さな溜息が漏れた。呆れられてるんだって分かるけど、ここんとこずっと二人きりで過ごす時間が少なかったから、明日は二人共ボーダーの任務はないし、それならって思って提案したのに、蒼也はそんな私の気持ちを一ミリも理解してくれていない。
「え、もしかして、他に好きな人ができた、の?」
「それは違う。ただアレだ、」
しつこさに折れてくれたのか、幾分穏やかな顔の蒼也が少し残念そうに口を開く。私はまさかそんな言葉が飛んでくると思わなくて、構えていた分拍子抜けしてしまう。
「アレ?」
「…今、アレを切らしている」
小さくでもはっきりとそう言った蒼也は私から視線を逸らした。一瞬なんの事を言っているのか分からず聞き返そうとしたものの、すぐに蒼也の言うアレが何だか分かった。ここには私と蒼也の二人きりだけれど、それでも羞恥心からかこちらを見てはくれない。私が泊まったらそうなるけど、ゴムがなきゃ挿入できないからって、だから頑なに拒んでいたんだと思うと嬉しさより断然可愛さのが勝ってしまう。
スタスタと早歩きする蒼也の腕にキュッと力を込めると当然のように視線が交わった。赤みがかった瞳が真っ直ぐと私を見つめている。
「ゆき乃持ってるよ、アレ!だから泊まってもいい?」
コテンと寄りかかるとゴクリと唾を飲み込む音と共に上下に動く喉仏。ほんのり目を細めると蒼也は私の指を絡ませてフード付きのジャンパーのポケットにしまった。
「好きにしろ」
「好きにしまぁす」
二つの影が電信柱に隠れてほんの一瞬小さく重なった。
◆
そんな蒼也が、ボーダー内でみんなになんて呼ばれているかは知っている。破天荒な彼女を持つ溺愛彼氏だとか、自分の女に甘いだかとか。みんな私と付き合った事もないくせに酷い言われようだと思ったけれど、そんな風にみんなに思わせるぐらい蒼也は私に全身で愛を注いでくれる。やっぱりこの人を選んでよかったと思わずにはいられない。
「どうした」
「んーん、なんでもないよ。好きだなぁって思っただけ」
私の答えにフッと頬を緩める蒼也。M字に開いた私の脚を抱えるようにしてクラスメートの美月とハルと一緒に買いに行ったゴールデンボックスの中身を装着した蒼也が入り口に宛がうと、きゅんと胸が音をたてる。大きくゆっくりと息を吐き出す私の呼吸に合わせて蒼也が奥まで挿入されて、子宮が圧迫される。壁を擦って最奥に辿り着くと、高揚する頬を近づけるように身体を折り曲げて私を抱きしめる。ぎゅっと強く抱きしめる蒼也に愛を感じる。
背中に腕を回して抱きしめ返せば「ゆき乃」耳元で名前を呼ばれて視線を合わせる。
「好きだ…」
さっきの言葉に答えてくれたかのように蒼也が触れるだけの口づけを落とすから、私は唇を突き出して「もっとちゃんとして」そう強請れば、舌を絡ませる濃厚なキスをくれるんだ。そのままゆっくりと腰を回すように律動を始める蒼也にしがみつく。小柄だけれどしっかりとできあがっている身体は熱く汗ばんでいる。腰を出し入れするように動かしながら時折ゆっくりとキスを繰り返す蒼也の肩に下からちゅるりと舌を絡ませると、動きが止まる。
「なにしてる」
「マーキング?」
「なんだそれは」
「キスマークつけとけば、ゆき乃以外の女が寄ってこないかなぁって」
ちゅうっと肩口から唇を外すとほんのりと紅い痕が顔を出す。こんな事しなくても蒼也が浮気男じゃないって分かっている。でも私がこんなに惚れ込んでいるのだから、他の誰が蒼也に好意を寄せているかなんて分からない。どうしても独り占めしたい。大人の女みたいな余裕なんてどこにもない。いつどんな所に恋の蕾が咲き誇るのを待っているかなんて誰にも分からない。だから私はこの人が私以外を愛さないようにいつも必死なのかもしれない。
「馬鹿だな、ゆき乃は。俺がお前以外の女に目を向けると思うのか?」
蒼也ならそう言ってくれると分かっていたけれど、実際言葉にしてくれるのと、何も言ってくれないのとじゃ全然違う。そしてこの人がくだらない嘘をつく人じゃないという事も分かっているが故に、最高に嬉しい言葉であった。ふふっと私は蒼也の頬に手を添える。そのまま目を細めて顔を寄せて唇を重ねる。
「思ってなーい」
「分かっているなら一々試さなくていい」
「それでもつけたい。蒼也がゆき乃のものって印。ダメ?」
見つめる先、蒼也はまた優しく目を細めると一度私の中から蒼也自身を引き抜いた。急に子宮を擦られて「アアンッ」思わず声が漏れた。蒼也はくるりと反転して私を上に乗せると下からまた挿入する。ラッコ座りで蒼也の上に跨がっている状態の私を下から見つめ上げられる。普段と違う角度にトクンと胸が脈打った。
上目遣いで私を誘うように口づける蒼也は口内を舌で舐め散らかした後、リップ音を鳴らしてキスを止めた。
「なら今夜はゆき乃の好きにしろ。どんな事も、受け止めよう」
「え、」
「なんだ?俺を気持ちよくさせてくれるんじゃないのか?」
まさかのそんな言葉が返ってくるなんて思ってもみなくて、いつも主導権を握っている蒼也がその権利を私に委ねているなんて。これは…コクリと頷くと私は蒼也の耳に唇を寄せて耳朶を口に含んで舌で転がす。ハァッと甘い吐息を漏らす蒼也が割れた腹筋をゆっくりと動かして大きく呼吸を繰り返す。指で蒼也の肩から腰へとツーとなぞると、腰をほんの少し捩らせた。耳朶の舌を首筋から喉仏に移してそこに舌を這わせると、蒼也がゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえた。視線が絡み合うと軽く口を緩ませた。そのまま腰を下に落としてちゅ、ちゅ、と蒼也の胸元に舌を這わす。ピンとしている胸の突起を口に含めば「ンッ、」声を殺したような蒼也の喘ぎ声に私の子宮が熱を帯びるような気がした。
繋がっている接合部から漏れる水音が部屋の中に響き渡る。ゆらゆらと腰を揺らして蒼也の首の裏で腕を交差させると律動を早めた。
「気持ち、」
「あぁッ…」
普段と違う場所が子宮内で擦れていつもと違う快感が身体を突き抜ける。私の律動に合わせて下から腰を打つように動いてくれる蒼也にしがみついて必死で腰を動かした。
「も、だめッ、」
目の前が真っ白になるのが分かった。ギュッと蒼也に抱きついて子宮を震わせた私は乾いた喉を潤すようにゴクリと唾を飲み込んだ。
「なんだ、いつもより早いんじゃないか?」
くすりと笑って私の耳元に手を添えると、後頭部をグッと引き寄せるように唇をハムりと貪った。舌を絡め取られて蒼也と私の間に透明の糸が唾液と共にポタリと落ちた。そのまま体勢を変えるようにまた私をベッドに押し倒した蒼也は、グッと最奥まで挿し込むと、一度ふぅと息を吐き出す。
「俺も限界が近いから、揺らすぞ」
そう言うが、蒼也が達するための律動を始める。毎回その激しさに気を失いそうになるけど、ギリギリの所で達した蒼也がバタンと私の上に乗っかって終わる瞬間が堪らなく心地良いんだ。それに下から見上げた先にいる蒼也の眉間にシワを寄せて堪えている顔が堪らなくセクシーで、それを見るだけで幸せな気持ちになれる。この角度、この吐息、この温もり…知っているのはこの先もずっと私一人であってほしい。
「そお、や…」
小さく名前を呼ぶと私に被さるように身体を倒して尚も律動を速める。熱を帯びた蒼也の肌がピタリとくっついて離れてを繰り返しながら、蒼也がまた眉間のシワを強くギュッとしたのが分かった。
「イく?」
「あぁッ、もうッ、」
ギュッと蒼也の背中に腕を回して抱き着くと、律動を止めた蒼也が下半身をブルリと震わせた。耳にかかる熱い吐息が少し落ち着くと、私をギュッと抱きしめてくれる。
「…疲れたか?」
「へーき。蒼也は?」
「ゆき乃の顔を見てれば疲れなんて吹っ飛んじまう」
ちょっと蒼也らしくないその言い方に胸がきゅんと音をたてる。えっちの時だけじゃないけど、蒼也は二人きりだと甘い言葉もちゃんと言葉にしてくれるからそれも嬉しいんだ。
「ゆき乃もだよ。でも2回戦目はまだだよ。もっとイチャイチャしたい、」
「そうだな」
コツンとオデコをくっつけると、どちらからともなく重なる唇。抱き寄せられる力強い腕に抱かれてもうしばらく甘ったるい時間を堪能しようと思うんだ。
Thanks reading…♡