愛の不時着

 金曜の夜だった。
 その日は中間テスト目前だというけれど私は学校には行かなかった。いつも通りに制服を着て出て行ったけれど適当に時間を潰していた。法事で出掛けている両親は今夜は帰ってこない。4つ上の大学生の兄貴がたぶん女連れてくるだろうからむしろ家には帰りたくない。夕方になって繁華街をフラついていた私はたまたまナンパされた男のバイクの後ろに乗って走っていたら、まんまとお巡りに捕まって補導された。制服で学校がバレお巡りはすぐに電話をかける。そもそもこんな夜遅くに絶対誰も残ってるわけないって思っていたら、迎えに来たのが担任の片岡で…私のせいでお巡りにへこへこと謝る片岡の姿に苛々する。この男に逢いたくなくて学校を休んだというのに迎えに来られちゃ意味がないじゃん。
 警察署から出て片岡の車が停めてある駐車場に向かう。無言で歩く私の歩幅に合わせていつもよりゆっくりと歩く片岡は、昨日と少し違う顔をしている。
「学校、休むなよ」
 喋りたくなくて無視して歩く。というか言葉を発したら片岡を困らせる事しか言えそうもない。いつだって片岡に真っ直ぐ好きって言いたい私の気持ちを受け止めて貰えない悲しさはもう御免だ。優しくされる度に期待してしまう自分が凄く嫌。その気がないならほおっておいてほしい。私は生徒で片岡は先生。それ以上でも以下でもない私達の関係が変わることなど在籍中は有り得ない。それなのに、無防備に私に触れる片岡はわざとなのか無意識なのか、二人きりの時程そうする。私がどれだけ期待してしまうかこの男は全然分かっていない。少しぐらいドキドキしてほしい。少しぐらい私を女として見てほしい…。
 シルバーのBMWが見えた。片岡の愛車だ。立ち止まって動こうとしない私の所に歩み寄ってきた片岡が、「どうした?」小首を傾げて私を覗き込んだ。
「やっぱり帰りたくない」
「…お前」
「別にいい、放っといてよ。片岡が泊めてくれないなら適当に男んとこ行く」
「駄目だ。ろくでもない男の所にお前はやらない。もっと自分を大事にしろ。後悔してほしくないんだよ俺は一ノ瀬に」
「なら片岡の家に連れて行ってよ。雪乃が片岡以外の男と寝て後悔するぐらいなら片岡が連れて行けばいいじゃん。何度も言ってるじゃん。一年前から何一つ変わってない。雪乃が本気で好きな人―――今目の前にいるよ」
 ぎゅっと片岡のスーツの裾を掴んで一歩近寄ると、つぶらな瞳を泳がせて困ったように眉毛を下げた。あきらかに動揺して見える片岡は、瞬きを繰り返して更に眉間にシワを寄せた。
「…それはたぶん恋じゃなくて憧れだよ」
「大人はさ、そうやってすぐにはぐらかすじゃん。それは憧れだとか、大人になれば分かるとか。じゃあ今雪乃のココにある気持ちはなんなの?本気じゃないって誰かが決めつけていいようなもんなの?こっちが本気で好きって言ってんだから、片岡だって本気で応えなきゃだめなんじゃないの?ねぇ…」
「…そうかも。正論だわ、それ」
「雪乃は帰りたくない。片岡と一緒に居たい。でもそれが無理なら男んとこ行ってこの身体使うよ。好きな人に拒否られたらどーでもよくなるし」
 待て待て待て…と、手を大袈裟に動かして私を止める片岡。男にしては小柄な片岡はそれでも隣に並べば自分よりも少しだけ高い位置に肩があって、そこに顎を乗せるようにしてぎゅっと抱きついた。
「先生が好き…雪乃のこと、拒否しないで」
「できないよ、拒否なんて…参ったな…」
 やんわりと、本当に腫れ物に触るみたいに私の背中に手を回す片岡にトクンと胸が脈打つ。煙草の香りに混じって鼻腔を擽る片岡の心地の良い香水に目を閉じて背中に回した腕に力を込める。
「もう一回言うよ。…帰りたくない」
「…分かった。今夜だけだぞ」
 うそ、ほんとにいいの?意外だった。まさかこんなに簡単に受け入れて貰えるなんて思ってもみなかったから。あんな風に雪乃を突き放した片岡が、まさかこんなにもあっさりと受け入れてくれるなんて。程良くふざけているけれど、根は真面目だから、いつだって自分の教師って立場が危うくなる様な事は決してしないんだろうって思ってた。それがどうだろうか、目の前の男は、私の髪を優しく撫でてくれて、「じゃあ乗れ。連れてくから」迎えに来てくれた車の助手席に私を誘導して行く。本当に片岡の家に泊まれるの?
「手繋ぎたい」
「だめだよ」
「ケチ」
「こらこら」
「でも好きだよ」
「…はは、そりゃどーも」
「片岡は?片岡も雪乃が好き?」
「生徒としてな」
「やっぱムカつく」
 せっかくいい所だと思ったのに、なによその言い方。ぷーっと頬を膨らませたまま助手席から窓の外に視線を移す。24時を回っているけれど金曜の夜ということだけあって、街はまだざわついている。片手で顎を触りながら「人多いなー今日は」なんて言うから私の視線は片岡に向く。鼻筋が通っていて横顔が綺麗だなーって思っちゃう。
「まぁ俺も一ノ瀬の年の頃は色々やってたから正直あんま強くは言えねぇんだけどね」
 眉毛を下げて目を細める片岡は、どら焼き型の口も開いて笑っている。ねぇ可愛いんだけど、ずるいよ片岡。
「直人先生」
「なんだよー。って急に直人呼びかい」
 とりあえず名前は無視。別に今に始まったことじゃないし、そもそも二人だけなんだからそれくらい許して欲しい。
「もし直人先生が雪乃と同じ年だったらさ、雪乃の事意識してた?」
「…二度目だな、その質問…」
「同じ学校で同じクラスに雪乃がいたら…」
「まーお前可愛いからな」
 ポンと頭に乗っかる片岡の手。熱を帯びたその手は優しくて温かい。八重歯を見せてハニカム片岡は今はスーツを着て私の隣でBMWを運転している。もしも同じ年代に生まれていたのなら…
「やっぱりもっと早く生まれたかった…」
 二度目の質問に、その答えが前回と違った事が嬉しくてポロリと零れ落ちた私の涙に、笑っていた片岡の顔から笑顔が消えていく――。

 ◇◇◇

 自分が理性もへったくれもない馬鹿野郎だと思い知ったのは、彼女、一ノ瀬雪乃と出逢ってからだと思う。第一印象は単純に好きなタイプだって思った。とはいえ俺はこの学園の教師であって一ノ瀬は生徒。始まるものなんて何一つ存在しない。故にこの芽生えちまった気持ちも胸に閉じ込めるだけだと。大人は大人の女性と恋愛してなんぼだって思って合コンなんかにも何度か参加したけれど、それと言って特に進展すらなく、そんな無駄な遊びも飽きてきた所だった。気がかりな事といえば、一ノ瀬も俺をそういう対象で見ているって事だ。ぶっちゃけたらマジですげぇ嬉しいし、後少し遅く生まれていたら彼女の気持ちを受け止めて、俺等は高校生のカップルとして楽しい時を過ごしているのかもしれなかった。けれど現実は当然ながら教師と生徒。縮めちゃいけないその距離を保つ事に拘っていた。
 放課後、級長としての手伝いだったり、英語で分からない所があるからって居残りする一ノ瀬と二人、視聴覚室で過ごす時間は俺の中で勝手な青春と化していて、ついうっかり理性のストッパーを飛び越えて彼女の頭を撫でてしまう事が増えたのはどーしようもねぇと気づかないフリをしていた。
 中間テストの前のハナキン。最早ハナキン自体死語と化しているだろうけど、翌日が土曜日で今週は部活動もなく俺等教師も2連休というオフを前に、つい資料作りに没頭していた俺の耳に入り込む電話の呼び出し音。ふと壁にかかっている時計の針を見れば23時を回った所だ。こんな時間に何事かと受話器を取ると、近場の警察署からで、俺の心の奥底にいる一ノ瀬が補導されたとの連絡だった。なにやってんだ、とか、どうしてこんな時間まで、とか、教師としての意見は腐る程あったけれど、こんな時間に彼女と逢えるって事が不謹慎ながらも嬉しく、速る気持ちを抑えて俺は高級車を飛ばした。


「…泣くなよ、」
 彼女を連れて車を走らせる。自分の立場を思えば諸々許されない事をしているんだって分かっているけれど、確かに一ノ瀬の言う通り、大人だとか学生だとか、そんなもんは関係なく人は真剣に恋をする。俺、大丈夫かな?家にコイツ連れてって、手出さないでいられるのかな?なんて不安しかない脳内を見破られないように冷静、冷静を脳内で繰り返す。それなのにコイツは…
 ――やべぇ身体が勝手に動いちまう。俺の手は涙で濡れた一ノ瀬の頬に触れる。指先がツっと触れると一ノ瀬が瞬きをしてまた涙が頬を伝って滴り落ちる。でかい交差点の信号が赤に変わったからゆっくりとブレーキを踏んで車を止めると俺の身体は運転席からズレるように一ノ瀬の方へと距離を詰める。頬にかかる柔らかな髪を撫でると、シャンプーの甘い香りがほんのりと鼻を突く。薄く開いた唇は潤っていてどんだけ美味そうなんだって思っているせいか、視線が離せなくて…。
「好き」
 俺の目を見つめてそう云う一ノ瀬の頬に手を添えた。ゆっくりと身を乗り出して近づく俺に目を閉じる一ノ瀬。年甲斐もなく心臓が破裂しそうでドキドキしていて、柔らかくて美味そうな唇に触れる寸前、ビ―――!!!まるで邪魔するかのよう、後ろの車にクラクションを鳴らされた。信号は青になっていて、横の車はもう既に走り始めている。
「ご、ごめん!」
 慌てて一ノ瀬から離れ運転席に戻る。完全に理性を見失っていた自分になのか、キスできそうだった状況になのか、俺の心拍数は最高潮あがっていて、一ノ瀬がどんな顔をしているのかを見ることもできず、アクセルを踏んで車を走らせた。
「直人せんせー」
「え?」
「今雪乃にチューしようとしたよね?」
「………」
 はい、しました。うわこれ言えねぇよな。つーかマジでどーしよう!ハンドルを握る手が無駄に汗かいていて、気休めに煙草を吸おうかとも思ったけど生徒の前で喫煙はNGだとハッとして首を振る。それが一ノ瀬にはノーと判断されたのか、「嘘つきぃ」って甘ったるい声が耳に届く。やべぇよマジでやべぇ、ちょっと今勃ちそう…。あー俺の俺ちゃん、頼むから覚醒しないで!
「ねぇってば、こっち向いてよ無視しないで」
 しびれをきらせた一ノ瀬がふわりと甘い香りを纏って俺の頬にツンと指先をくっつけた。うわクソ可愛いからそれ。ごくりと生唾を呑み込む俺の太腿に一ノ瀬の手が乗っかる。
「ちょっ待って」
 ちらりと横目で一ノ瀬を見ればキスできそうな距離に顔を寄せていて、「次赤になったらチューしてね、直ちゃん」…完璧アウトだと思った。なんなら冷や汗もんで、赤になってくれるなよ信号機!なんて願うしかできねぇ。
「ばっかお前、だめに決まってんだろ」
 そう云うも説得力ねぇなぁ…って。さわさわと俺の太腿を触る一ノ瀬は完全に楽しんでいて、はち切れそうな俺の気持ちとスラックスの下の下半身にすら気づいているのかもしれない。
「あ、赤になった」
 ふふって嬉しそうにハンドルを握る俺の腕に絡みついた一ノ瀬。左足でブレーキを踏むと静かに止まる俺のBMW。同時に一ノ瀬の唇が俺の頬にちゅうっと吸い付いた。うわ、柔らかっ!なんだよその唇、反則だろ。このまま横を向けばキスするって分かっているから動けまい俺の頬に手を添えて身体を乗り出して一ノ瀬はまたちゅ、ちゅ、とキスをしてくる。おいおい慣れてんなぁ、たく。
「…妬ける」
「え?」
 コトって音と共に一ノ瀬の首の裏に腕をかけて引き寄せると、間髪入れずにその柔らかくて美味そうな唇をハムッと咥えた。抱きついてきたくせに遠慮がちな一ノ瀬は恥じらうように俺のジャケットの裾をきゅっと摘んだ。薄目開けて見る一ノ瀬のキス顔は、俺の事がすげー好きって感じがだだ漏れで胸の奥がぎゅんと鷲掴みにされる。ほんのり空いた唇の隙間に舌先をぶつけたらもう止まらなくて、息を呑み込む様に舌を絡ませる俺と一ノ瀬のキスを、また後ろから鳴らされたクラクションに邪魔をされた。そろそろと助手席に戻った一ノ瀬は、自分の頬を手でぎゅっと押していて、熱い車内の温度に顔の前を小さな手で扇いでいる。照れてるんだと分かって嬉しさが込み上げてくる。
「暑い?」
「うん。熱気で」
「興奮して?」
「もー片岡デリカシーない」
「片岡に戻った」
 俺としてはさっきの直ちゃんってもう一回呼んで欲しいんだけどな。視線を一ノ瀬に向けると「片岡もまた呼んでよ、いつもみたいに雪乃って…」そしたら名前で呼ぶ!なんてまた照れ笑い。あーもうマジでこのまま抱きてぇ…。ゴホンと一つ咳払いをした俺は手を伸ばして一ノ瀬の髪を軽く撫でる。
「雪乃」
「な!!!ずるいっ、今言う?抱きしめて目見て言ってほしいのに」
 ぷうって唇を尖らせる彼女の手を取ってそのまま左手で指を絡めた。ハンドルは右手だけでも充分で、緩む頬のまま俺は口笛を吹きながらアクセルを少しだけ強めに踏んだんだ。

「直ちゃん…」
「煽んなって雪乃っ」
 スピード違反ギリギリの速度で自宅マンションの駐車場に着いた。日付が変わり、繁華街と違ってここはもう人気が全くない。静まり返った駐車場でエンジンを切った俺はそのまま椅子の背もたれを倒して雪乃を自分の上に乗せた。肩肘ついたまま雪乃の後頭部からやんわりと髪を撫でながら甘い唇をこれでもかってくらい堪能する。車内に響き渡る舌が絡まる音と唇が触れる音。俺達の熱い吐息と服が擦れる音が妙にエロさを引き立てている。柔らかな頬に手を添えて唇を舌でツーっとなぞれば、雪乃は肩をビクンと震わせて目を細めた。
「唇舐めんの気持ちい?」
 耳元でそう聞くとコクリと頷くから俺は耳にかかった手で頬を撫でながらまた舌で唇をぺろりと舐めていく。
「可愛い。舌出して、」
「んっ、」
 赤みの強い雪乃の舌を俺の舌で挟むように啄めた。ちゅるりと漏れる水音に俺の上に乗っかっている雪乃にはもうこの覚醒がバレてるんだと思えた。はぁ…と小さく息を漏らす俺の手は雪乃の制服の中に入り込んでいて、開いた胸元、ブラの上から柔らかい胸を揉む。
「んっ、直人っ」
「直に触ってもいい?」
 耳朶をかぷりと甘噛みしながら穴の中に舌を入れ込むと雪乃がまたビクンと腰を揺らせた。この反応はどっちだ?雪乃が俺の頭を抱えるように抱きついた。
「あんっ」
 充分に厭らしい声で俺を煽る雪乃の胸元のボタンを指で外して見えた白いブラの上に顔を埋めた。ほんのり汗ばんだ雪乃の身体は熱く火照っていて、細い腰に腕を回してブラの上から胸にしゃぶりつくと、はぁっと雪乃が目を閉じて顔を上に向ける。その隙に背中に回した腕でブラホックを外してそっと胸からずらす。ピンと張ってる尖端にちゅっと音を立てて口づける。「はあっ、直ちゃんちゃんとしてえっ」めちゃくちゃ可愛い雪乃のおねだりに俺は満足気に口端を緩めた。仰せの通りに雪乃の背中に腕を回しながら胸の突起を口に含んで舌で転がすと「あああっんっ」ぎゅっと俺にしがみつく。一度触れてしまえば恥じらいよりも気持ち良さが勝つんだろう雪乃の下半身はじわりとシミをつくっていく。胸舐めとキスを繰り返しながらも俺の指はゆっくりと雪乃の濡れそぼる子宮の入口に辿り着いた。下着の上からでも分かる濡れ具合に緩んだ頬が戻りそうもない。ツツツ…となぞると雪乃がビクビクと揺れる。
「触って直人…」
 今度は俺の耳朶をちゅるりと舐めながらそう云う雪乃。ショーツをほんのりズラせて熱く湿ったそこに指を入れ込むとくちゅりとびしょ濡れの子宮が指を締め付けた。めちゃくちゃとろっとろに潤っている雪乃の中。指をもう一本ぐぐっと奥まで入れると雪乃がぎゅっと俺の頭を抱えた。
「はあっ…」
「痛くない?平気?」
 そう聞けば「平気。もっとして」と。俺的には痛いって言ってくれても良かったなぁなんて思うわけで。この身体を自分以外の男が見ていたと思うと、雪乃の過去にすら嫉妬する。
「雪乃」
「んっ」
「可愛いね」
「んうっ、なによズルいっ、直ちゃんのがずっとかっこいいっ」
 今この雪乃を独り占めしてんのは俺で。こんなに淫らな雪乃を堪能できるのも俺だけ。ほぼ出来上がっている雪乃の身体。女としての魅力も完璧だ。目の前にある胸の頭頂をちゅうっと吸い上げながら子宮内の指をくちゅくちゅと動かすと雪乃は小刻みな呼吸で小さく「あんっ、あああっんっ」と喘ぎ声を漏らす。
「左のが感じるんだ、胸」
 執拗に感度の良いい方を口に含んで舌で存分に転がす。左胸を少し触るだけでもびくんと肩を揺らせる雪乃が可愛くて、舌で激しめに愛でてあげると雪乃はいよいよ苦しそうに眉間にシワを寄せる。それと同時にショーツの中のぐちゃぐちゃな割れ目の上、ぷっくりと顔を出している突起を指の腹でぐにゃりと押すと「あああっんっ」声を隠したいのか手で口元を覆う。俺は体勢を変えて雪乃を抱えるようにしてスカートを捲り上げてショーツを膝まで脱がせる。陰毛に見え隠れしている雪乃のクリをちゅうっと口に含むと、俺の上で雪乃はぶんぶんと首を横に振って口元を押さえて派手にイッた。
 汗で首元に付き纏う雪乃の髪をやんわりと撫でると、コテンと俺の上に体重を乗せて抱きついてくる。乱れた呼吸を繰り返しながら雪乃の香りを強烈に感じる俺のそこはもうマジで限界だ。
「直ちゃんいつから勃ってたの?」
「え?…それ聞いちゃう?」
「チューした時?」
「…まぁその辺」
「ふふ。嬉しい、大好き。雪乃フェラしてあげる」
 するすると運転席の狭いスペースに膝を抱えてしゃがみ込んだ雪乃は、そこから上目遣いで俺を見上げる。自分で脱げってね、はいはい。
「身体痛いっしょ、大丈夫?」
 ポンと雪乃の頭に手を乗せながらもベルトを解いてスラックスに手をかける。
「平気。うわぁ、でっか!ガールズトークでね先生達のイチモツの大きさ、誰が一番でかいかね?ってみんなで話してた事があって。数学の登坂が一番でかいってみんな言ってたけど、雪乃は直ちゃんが一番って言ったんだよ!」
 ぴょこんと顔を出した俺の根元を掴んでそれを起用に指で擦り上げながら悠長にそんな事を話している雪乃。おいおい最近の高校生マセすぎだろ、その会話。まぁ俺等も学生の頃同じ様な会話してたけどさ。
「登坂先生人気だなぁ。ってオーイ、なんつー会話してんねん、たく。雪乃は俺のだけ知っといてよ。んっ、」
 話の途中でパクりと口に含んだ雪乃。コクリと頷きながら喉の奥まで呑み込むと、それを一気に引いた。
「あ――――気持ちいっ」
 正直な所、惚れた女にこの行為をしてもらうのは久々で。堪らなく興奮している。舌をうまく使って俺のをちろちろと舐める雪乃の姿すら興奮材料であって、そそり勃つ俺のを指であげて、下に垂れてる玉を口に含むともぎゅっとハムつかれて「くっ、そこ、」背もたれにこれでもかってくらい横たわる俺の裏筋を舌でちゅうちゅうと吸い付きながら尖端に辿り着くと、既にいっぱいいっぱいでがまん汁の漏れているそこをまたちゅうっと吸い上げる。
「待っ、イきそっ」
 力なく雪乃の頭に手を乗せると、ちゅぽんと卑猥な音を立てて口から離した。肩を揺らせて大きく呼吸を繰り返す俺の上で、雪乃は自ら跨ってショーツを片脚から抜くと、自身で入口に俺のを宛がう。
「ゴムつけねぇとすぐイきそうなんだけど」
「直ちゃん持ってる?」
「いや持ってるわけねぇ」
「雪乃ピル飲んでるから大丈夫だよ」
 …は?ピル飲んでんの?え?マジ?この子、高校生だよね。ピルってわりと大人の女が飲んでるイメージなんだけど。つーか大人としてさすがに生はだめだろ。
「待て雪乃。さすがにこれ以上は止めよう」
「え?ここまでしといて、今更?怖がってんの?直ちゃん」
 いや度胸すわりすぎてませんか?苦笑いの俺の頬に手を添えてキスを迫る雪乃。そのまま唇を重ねつつ、下半身を俺の上に降ろした。やべ、挿いっちまった。すげー気持ちいし!有無を言わさず腰を揺らす雪乃のキスは終わらない。ぎゅうっと俺の首の裏で腕を交差させて舌を絡ませながら腰も揺らす。なんちゅー器用な子だよ…って。あーだめだ、気持ち良すぎて何も考えらんねぇよ。
「雪乃にチューした時点で直ちゃんの未来は決定されてると思ったのにぃ」
 ムスッと唇を尖らせる雪乃はそれでも腰の動きを緩めない。かなりの心地良さの中、俺はさっきから雪乃に正論ばっか飛ばされてんじゃんって思うわけで。少しは俺自身の言葉で雪乃を喜ばせてあげられねぇのかと情けなくなる思いだ。ぐっと雪乃の腰を掴むと俺は起き上がって雪乃の胸に顔を埋めるようにぎゅっと抱きしめた。
「直ちゃんっ」
「好きだよ雪乃。愛してる…」
 流されたからでもなく、仕方なくでもない。俺は俺の意志で雪乃とこうなることを選んだと。そう自分の気持ちに素直になれば目の前の雪乃がただただ愛おしくて仕方がない。まるでこうなる運命だったとでもいうかのよう、俺は雪乃の身体を抱きしめて汗ばんだ肌に口付けを落としていく。
「直ちゃんもっと言って」
「何回でも言うよ。雪乃が好きだ。愛してる…」
「雪乃のことお嫁さんにしてくれるの?」
「あぁもちろん。じゃなきゃしないよ」
「嬉しい…」
「雪乃が欲しい」
 高揚した彼女の頬に手を添えて唇を舌でなぞるとぞくぞくと雪乃が肩を震わせる。そのまま雪乃の耳朶を甘噛みして穴の中に舌を這わせる。口に含んだ耳朶を舌で転がすと「はぁっんっ」とろんとした目で俺を見つめた。
「耳気持ちい?」
「んう、きもちい」
「じゃ反対もな」
 向きを変えて反対側の耳朶も口に含んで舌で吸い上げた。それと同時に目の前のおっぱいにしゃぶりつく。尖った頭頂を甘噛みしながら舌で枠付けてちゅうちゅう吸い込む。じゅるりと唾液を漏らしながら雪乃の身体の至る所をハムッと舌でマーキング。
「雪乃、ちょっとそのまま俺の下に回れる?」
「下?」
「そう。俺が上になってもいい?」
「うん」
 一度雪乃の中から抜いて、狭いこの空間で体勢を変える。雪乃を下に組み敷いて上から重なるようにして今度は俺自身がソレを掴んで雪乃の中に挿入した。熱く締まった子宮内の壁はどこもかしこも気持いがいい。自ら動かすとなると雪乃の心地いい場所を探りつつ俺は腰をゆらゆらと回し始めた。
「かっこいい、直ちゃん…」
「マジで?嬉しい…雪乃も可愛いよっ」
「えへへ。大好きっ」
 雪乃の声に合わせて中がきゅっと引き締まる。キツく締め付けられて気持ち良さ半端ねぇ。いやマジもうすぐイけそう…。ここんとこ忙しくて自分で抜く事もあんまりしていなかったせいもあり、俺の俺ちゃんは最高潮に膨張して気を抜けばすぐに射精状態に入れそうだ。とろんと潤んだ雪乃の瞳に見つめられ、俺の興奮も絶好調。少し乱れた髪を手で払ってあげれば「好き」と小さく言う。
「俺も好き」
 ちゅっと丸みを帯びた雪乃の額に触れるだけのキスを落としてまた律動に集中する。つーか今更だけど初めてをこんな場所にしちまったけどよかったんだろうか?まぁこれから何度でも雪乃の願いを叶えてやろうと思い、柔らかな頬を指で擦って腰を落とす。
「雪乃っ、イきそっ…」
「んっ雪乃もっ」
「ちょっと速めていい?」
 覆い被さりながらそう聞くとこくこくと首を縦に振った。それを確認してから俺は投げ出されていた雪乃の手を握って指を絡める。きゅっと弱々しくも握り返す雪乃に、俺は腰の出し入れの速度を速めた。はっ、はっ…と、小刻みな呼吸を繰り返す俺と雪乃。一心不乱に律動を繰り返す。
「んっ、やぁっ、直ちゃっ、雪乃イッちゃうっううっ」
「くっ、はあっ、俺も、すぐイッ…―――」
 ビクビクビクンと上半身を震わせた瞬間、雪乃の子宮内がきゅううっと鳴いて俺のをキツく締め付けた。それがめちゃくちゃ気持ちよくて、スッと雪乃の中から取り出すと、雪乃の腹部の上にどろどろと漏れ出す白濁した液。慌ててティッシュで下に流れ落ちねぇように受け止めるけど…「ごめん、出過ぎじゃんマジで」…自分でも恥ずかしくなるくらいに出まくった俺の精子は、何枚にも重ねたティッシュの中に包まってビニール袋と共にゴミ箱へ投函された。
「直ちゃん抜いてなかったの?」
「こらこら、女の子がそんなはしたないことを言うんじゃありませんよ。まぁその遠りだけど。マジでごめんね、すげー出しちゃって…」
 ポリポリと頬をかきながらも、反対の手ではしょぼくれた俺をスラックスの中にしまい込む。乱れたスーツを着直そうとすればまだ前開きの淫らな格好のままの雪乃が俺の首の後ろに腕をかけてそのまま自分の方へと引き寄せた。簡単に重なる唇。一度触れてしまえば、言葉なんかよりも温もりのが断然勝っちまって、俺はまた雪乃の口内をじゅるじゅると吸い上げる。舌で雪乃の歯列をなぞり、中にいる雪乃の舌に自分のを絡ませる。「んっ…」ちゅうっと唇を舐める雪乃に強烈な色気を感じて、しまったはずの俺ちゃんがちょっとづつ元気になっていくのを感じる。はぁやべぇこのままだとラウンド2に入る!そう思い、やんわりと雪乃から舌を抜き去ると、雪乃はぎゅうっと俺に抱きついた。
「もっとしたい、雪乃」
 まさかの言葉につい頬が緩む。雪乃の方から言ってくれるなんて…。
「まぁ俺もなんだけど。続きはちゃんと部屋のベッドの上でしない?ここじゃ身体も痛てぇし、とりあえず汗だくだからシャワー浴びたい」
「シャワー一緒に浴びていい?」
「いいのぉ?」
「いーよぉ」
 そう言って俺の鼻の先をちょんと指で突いた雪乃は嬉しそうにはにかんだ。なんだかどっちが年上か分かんねぇな…なんて思えた。俺のがずっと年上のはずなんだけど、雪乃はそんな俺以上に俺を甘やかしてくれるらしい。決して人前でイチャイチャするタイプではない。それでも雪乃と繋いだ手に指を絡めるとエレベーターに向かうまでに何度も触れるだけのキスをして歩く。こんなに誰かを愛おしいと思った事は初めてで、玄関の鍵を開けて中に入った俺は、雪乃の腰に手を掛けてシャワールームまでの道のりをキスで埋めた――。

あとがき