「髪、伸びたなぁ…。」
お風呂あがり、鏡の前でポツリと呟く。
壁にかかっている時計の針は23時を回っているというのにまだ旦那様は帰宅していない。
ここんとこずっと遅いからもう慣れた…なんて強がっていてもこの家にはナオと私だけしかいないから本音を言うなら寂しい。
フゥー…小さく溜息を零した私の後ろ、ベッドの上に放り投げられたスマホにポロンとLINEが入る。
「げ、お迎えコール!?」
時々ナオからくるそのコール。
でもまだ終電前の時間だし…ほんのり眉間にシワを寄せたままスマホを手にすると、八木先生からだ。
【起きてます?】
たった一言確認のLINE。
すぐ様【起きてるよ!】そう返すと【直人さんは?】…【まだ帰ってきてないよ!】……【電話してもいい?】……なんだろうか、このドキドキ。
ナオと結婚してからこんなトキメキ感じた事なんて記憶になくて。
OKを出すと直ぐに八木先生からLINEの着信がきた。
【すいません、こんな遅くに。】
「大丈夫だけど、どうしたんですか?」
【んーちょっと誰かの声が聞きたくなっちゃって…浮かんだのが片岡さんだった。】
ハハって笑う八木先生。
だけどそんな言葉もナオ以外から貰った記憶もなく、無駄にドキドキする。
「八木先生にそんな言葉貰えるなんて光栄です。」
【ハハ、そう言って貰えで嬉しいです僕も、】
口端を緩めている八木先生が浮かんで思わず私も微笑ましく思えてしまうなんて。
そうして、ナオが帰ってくる24時まで私は八木先生との時間を過ごしたんだ。