「愛莉〜!お疲れー!」
めちゃくちゃ飲みまくったのに全部リヴァイ部長の奢りだった。財布をしまえと怒られた私は「ご馳走様です」と部長に頭を下げたところで、肩を叩かれる。
振り返るとそこにはゆき乃の姿があって。
「ゆき乃!どうしたの?」
「リヴァイの事迎えに来たの。もうお開きだよね?」
「うん。いいなぁ〜ラブラブでぇ」
「愛莉も、頑張りなよ!」
ニカッと白い歯を見せて笑ったゆき乃は、「じゃあねぇ」と手を振ってリヴァイ部長の元へと歩いて行った。
ゆき乃がリヴァイ部長に近づくとすぐに気づいてほんのり口端を緩めた。あんな優しいリヴァイ部長の表情はゆき乃無しでは有り得ない。愛し愛されているって思える二人の関係に、勝手に背中を押された。
お開きになったことでみんなが駅へと向かう中、一番最後に店を出た私は、飲み屋の入口に備え付けてあった椅子に座って待ってくれていた煉獄先輩の所に駆け寄った。
大通りには高級車が一台止まっていて、ちょうどその高級車の運転席にゆき乃が乗り込んだのが見えた。反対側からリヴァイ部長が乗ると、「わ、」思わず口元に手を当てて声を抑える。だって…ーーこちらに気づくことなくリヴァイ部長の手がゆき乃の後頭部に回されて引き寄せるとその場で口付けた。
想像できかねる二人のラブシーンにあわあわと脚をばたつかせる。視界に入る煉獄先輩はじっと動かずにそちらを見ているのだろうか…
一気に私たちの間に甘ったるい空気が流れ出した。
視線の先の二人はまだキスを止めない。まるで映画のワンシーンを見ているよう、リヴァイ部長に全てを預けているゆき乃が凄く幸せそうだ。
「煉獄、先輩…」
「ああ、」
チラリと横を向くと、真っ直ぐに私を見下ろしている煉獄先輩。少し開いた太腿の上に乗せた手が動くことはない。
だから私は思いっきりドキマギしている心臓を落ち着かせるように小さく深呼吸をすると、勇気をだしてその手をそっと握った。
「川谷、」
「…好きです。煉獄先輩の事が、大好きです。ずっと憧れていました。いつか隣で肩を並べて歩きたいと思ってました…ーー私のこと、好きになってくれませんか?」
…言ってしまった。確かに酒の勢いってあるのかもと。
けれど煉獄先輩は、私が酒の勢いだけで言っている訳じゃないって、きっと分かってくれている…
「川谷…。俺はその、 」
「わ、私努力します!煉獄先輩に好きになって貰えるように、これからも努力し続けます!料理も頑張るしスタイルも煉獄先輩の好みに合わせます。仕事も頑張るし、だから、だから…」
ハルを好きだと言わないで。煉獄先輩が何かを言いそうになったのを遮るように言った。今は私の事だけを見てて欲しい…。
「私のこと、見てください…」
お願いだから、私を見て。私の事、好きになって…ーー
見つめる煉獄先輩が涙で滲んでいる。少しだけ困った顔の煉獄先輩は、一つ息を飲み込むと、太腿の私の手を今度は彼がふわりと握ったんだ。大きくて温かい煉獄先輩の手に包まれている私の手。
「俺はその、なんというか…。今の気持ちを正直に言う。…ーー川谷、君に触れてもいいだろうか」
「ーーえ」
「この手で君を、抱きしめても…いいだろうか」
「そんなの、当たり前です!」
「うむ」
煉獄先輩からそんな言葉を貰えるなんて思ってもみなかった。私は首を竦めてそれでも煉獄先輩を熱く見つめる。ちょっとだけ強引に引き寄せられると、煉獄先輩の温もりに包まれた。同時に涙が零れ落ちて煉獄先輩の肩を濡らす。こんな幸せな展開、誰が想像しただろうか…
「煉獄先輩…好き」
一度想いを口にしたら、何度でも言いたくなる。好きが溢れて止まらない。
ぎこち無いながらも私をぎゅうっと抱きしめる煉獄先輩が好きで好きで堪らない。
「離れたくない…」
私の言葉に眉毛を下げた煉獄先輩がほんのり距離を作る。それがキスの合図だと分かった。見つめる煉獄先輩は私の頬を優しく撫でる。コツっとおデコをつけて「…川谷」クイッと頬の手を顎に触れさせて顔をあげる煉獄先輩に、私は緊張しながらもそっと目を閉じたーーーー。
煉獄先輩…貴方が大好きです。