一世一代の告白劇

「伏黒くん!!あのっ、わ、私と…ーー付き合って下さいっ!!!!」

一世一代の告白だった。
高校に入学したての頃、廊下で出会い頭ぶつかった時に、後ろに倒れそうになった私を空中で掴んで抱き留めてくれた。
ただそれだけの事。
でも、恋に落ちるには十分すぎるハプニングだったと思う。
一匹狼っぽく見えるものの、不良っぽい虎杖くんとよく一緒に笑っているのを見て、その笑顔が堪らなく好きだった。
伏黒くんは私の事なんて眼中にないと思うけど、それでも好きで好きでどうしようもなくて、ありったけの気持ちを込めて告白したんだった。

放課後、裏庭なんかに呼び出したものの、ちゃんと来てくれるのか不安しかなくて、それでも来てくれた伏黒くんにそう告げたんだ。

「…え、俺が?」

「う、うん。ダメ…かな?」

「いやダメじゃない。あんたは俺でいいの?」

「伏黒くんがいいの」

「分かった。いいっすよ、俺でよければ」

あ、あれ?なんか想像してたのと全く違うぞこれは。絶対の絶対に断られるって思ってたもん。
そもそも伏黒くん、私の事知ってるの?
普通、知らない女とは付き合わないよね?さすがに。いくら告られたからといっても…。

「あの…私の事、知ってますか?」

クラスは別だし、特段目立つグループにもいない。至って普通のJKの私…

「苗字名前、だろ?」

フルネームで名前を当てられて吃驚した。コクコクと頷くとフッて眉毛を下げて笑うんだ。

「さすがに知らない女と付き合わねぇだろ」

虎杖くんといる時に見せる笑顔とは少し違う照れ笑い。こんな顔、初めて見た。
やばい、好き。めっちゃ好き。めちゃくちゃ好き。

「知られてないと思ってた」

「入学したての頃、俺に突っ込んで来ただろあんた」

頬を指でポリッとかく仕草をして一度目を逸らした伏黒くんは、視線を私に戻すとこう続けたーー

「それからずっと…気になってた」

見る見る真っ赤に耳まで染めた顔を思いっきり逸らす。でも分かる、うううん、伝わる。彼が今物凄く照れているんだという事が。
伏黒くんの口から「気になってた」なんて言われると思ってもみなかった。けれどその理由が私の恋に落ちる理由と同じだったという事実が堪らなく嬉しい。
嬉しくて次の言葉すら出せずにいる私の前、スッと手を出した伏黒くん。見上げた顔はちょっとだけムッとしている口元が見えて。

「よろしく、名前」

震える手で彼の手に指先を触れさせると、キュッと握りしめてくれる。

「よろしくお願いします」

深々と頭を下げる私は、この日伏黒恵の恋人になった。