休み時間の度に野薔薇がこんな風に私を守ってくれてるけれど、なんてゆうか、本当に伏黒くんって凄い人なのかもしれないって。
「野薔薇、次移動だから行こう!」
「あ〜分かった」
化学の授業で実験の為、私と野薔薇は一緒に第2理科室へと移動するべく廊下に出た。でもその瞬間、廊下で待機していたのか辺りがザワついて。視線が瞬く間に私へと飛んでくる。まるで品定めするかの様に上から下までジロジロと見られるのは少し億劫だった。
「伏黒くん、そんな人気あるんだ…」
「は?なんか言った?」
野薔薇が藁人形と釘を手にしているせいか、私よりもそっちに視線を向ける子もいて、わざわざそんな物騒なもん持って視線を自分に引き付けてくれちゃう野薔薇が有難くて堪らない。
「名前もあたしも美人だからみんな
ニカッて笑うから野薔薇の腕にギュッとくっついた。
だけれどーー…
「なんだ、大した事ねぇじゃん、伏黒の女」
聞こえた声に思わず脚を止める。だってそれは女子ではなく、男子だったから。しかも…上履きの色を見るに緑色=2年だった。
「あぁん?てめぇ今なんか言ったか?」
「あぁ言ったよ。大したことねぇって、伏黒の女!そもそも女にうつつ抜かしてやがる伏黒なんて俺らには勝てねぇだろーが」
2年男に向かって対等にやり合おうとする野薔薇を無理やり引っ張って理科室へと急ぐけれど、面と向かって言われてしまうと、なんとも言えない気持ちになってしまった。
だから移動教室が終わって、自分のクラスに戻る途中、渡り廊下の自販機前でたむろしていた伏黒くんと遭遇してしまって、下を向いて通り過ぎようとしたら見事に腕を掴まれた。
「おい名前、どうした?」
ギュッと強く手首を握る伏黒くんに、俯くしかできなくて。言ったらきっと伏黒くんは怒って2年の所に乗り込んで行くかもしれない。そんな事、絶対にさせられない。
「伏黒あんたさー名前と付き合うならもっとしっかりしろよな」
「野薔薇やめて」
「2年黙らせとけよ。伏黒の黒い噂知ってる2年が名前に喧嘩売らせたぜ、伏黒の女大したことねぇって。この子がどんな気持ちになったか分かる?」
ギリリと伏黒くんの手に力が入る。
「何組のどいつだよ、クソ野郎」
「さー知らねえけど、金髪のツンツン頭だったよ?」
「アイツか。教えてくれてありがとなー釘崎」
そう言うと伏黒くんは私の頬に指を添えて「嫌な思いさせて悪かった」優しく撫でるとタンと上履きを鳴らして階段を降りて行った。