置いてきぼり

LINEの友達に伏黒くんが加わった事がどうにも嬉しくてつい頬が緩む。
晴れて伏黒くんの彼女になれたものの、これからどうすればいいのか全く分からずにいる。
教室、廊下、校庭…見渡す限りカップルは沢山いる。
2人で片方ずつイヤフォンをして同じ曲を聞いているカップル。
彼氏の肩に寄りかかって2人でスマホ画面を見て団欒しているカップル。
あーゆう事がしたいと思いながらも、そんな事をする自分と伏黒くんはまったくと言っていいほど想像がつかないでいる。
そもそも今日は一緒に帰ったりするの?放課後デートとかしたりするの?手繋いでクレープとか一緒に食べたりするの?ラブラブなプリクラとか撮ったりするの?…しないか、それは。さすがにそれは断られるだろうなぁ。

脳内ではこれからの高校生活を一緒に楽しむ事でいっぱいで、気づくとホームルームは終了していて、みんなが帰り支度をして教室から出て行っていた。
伏黒くん部活はしてないし、教室まで行ってみよう!化粧ポーチ片手にトイレに行くと私は素早く化粧を直してから伏黒くんのいる3組へと向かった。

「あの、伏黒くんいますか?」

後ろのドア付近にいた男子に声をかける。

「伏黒〜?あーとっくに帰ったよ伏黒なら」

…え?帰った?とっくに?え?マジ!?
あんなに照れた顔見せてよろしくの握手したのは数時間前。あれは一体何だったのだろう…
手中のスマホを見ても特にメッセージは来ていない。
もしかして私、嫌われてる?いや、避けられてる?
ーー彼女なのに?
なんで?なんで?なんでよおおおお!!!!

めちゃくちゃ勇気出して告白したのに、せっかくOK貰ったのに、私はいつも通り一人で家路につくしかなかった。


家に着いてからもずっとモヤモヤしていて、先程から伏黒くんとのトーク部屋を開いて早30分、初メッセージを送ろうと書いては消して、書いては決してを繰り返している。
漸くこれだ!と思うメッセージを読み返して誤字はないかを確かめる。

【伏黒くん今日はありがとう。お付き合いして貰えるなんて夢のようです。もしよければ明日一緒に帰りませんか?】

たったこれだけの文章を考えるのにどれだけ時間かかってるんだ?って笑えるけど、伏黒くんみたいな人と付き合えるんだからこっちが頑張らないとダメだよね!
男女の付き合い方も何も分からない私は、肝心な事を伝える事すらできないでいたなんて。

意を決してそれを送ると思ったよりすぐに既読になった。それだけで何故か緊張して、その後戻ってきた返信に頭が真っ白になった。