伏黒くんから来たLINEに返信もせずに一週間が過ぎていた。
とてもじゃないけど付き合っているとは思えない私たちの関係。勿論一緒に帰ることもなく、なんなら廊下ですれ違う事もなかった。3組の伏黒くんと、7組の私じゃ移動教室も被らないし、お昼もどこで食べているのかも知らない。
自分で会いに行かなきゃ同じ学校にいてもこれ程までに会えないなんて、思いもしなかった。
「名前、今日の体育サッカーだってー。マジ面倒くせえ!でもやるからには勝つ!!」
同じクラスの野薔薇。
唯一私の伏黒くん好きを知っている子。男っぽいサバサバした性格だけれど、曲がったことが嫌いでちゃんと正してくれるいい子。野薔薇みたいに思ったことを言葉にできたらいいのに、なんて思わずにはいられない。
「そういや名前、伏黒とどうなってんの?」
下駄箱で運動靴に履き替えて校庭に向かう途中、野薔薇に聞かれた。
告白してOK貰った事を伝えたらめちゃくちゃ喜んでくれた。物凄い趣味を疑う!って散々言われたけど。そもそも野薔薇と同じ趣味だったらこっちが困るわ。争っても勝てなさそうだし。
「どうなってんだろね。なんか付き合ってるのか分からなくなってて」
「は?どゆこと?」
「一緒には帰れないって言われた」
「はぁ!?なんでよ?伏黒の奴、返答次第ではぶっ殺すぞぉ!!」
野薔薇が拳を胸の前でパシパシしている。そうやって友達の為に気持ちを共有してくれるのが嬉しい。
でも、伏黒くんが何を考えているのか私にはやっぱりさっぱり分からなくて…
「理由なんて聞かなくても、それが全てじゃない?私とは一緒に帰れないってことだよ。…伏黒くんがどうしてOKしてくれたのか、分からないよね」
「許さねぇ伏黒!!放課後ボコる」
「いいの、野薔薇。もう、いいの」
「何がいいんだよ!?」
「ほんとにもう、」
寝不足と生理痛で朝からすこぶる体調が悪かった。おまけにメンタルまでやられていて私はフッと意識が遠のいてしまったんだ。
遠くで野薔薇が叫ぶ声がしたけどそれもすぐに聞こえなくなった。
目の前が真っ暗で、寒くて身体が震える。
このままどーにかなっちゃうのかな、私。
せめてもう一度だけ、伏黒くんに逢いたい。
意地張ってないで、自分から逢いに行けばよかった。
どうして一緒に帰れないのか、ちゃんと聞けばよかった。
今更後悔しても、遅いのに…