優しい慰め方

保健室の窓からサラサラとした風が心地好く入ってきて、伏黒くんの黒髪をほんのりと揺らした。

「ええっと、どうすりゃいいの?泣き止むには…」

テンパってる伏黒くんが可愛くて泣き笑い。嬉しさで涙はなかなか止まってはくれない。だけど動揺している伏黒くんはどうにも可愛くてポロポロ涙を零しながら笑う。

「器用なことしてんなよ、たく。どーすりゃいいか分かんねぇから勝手に頭に浮かんだことする」

「え?」

繋いでいた手を不意に強く引き寄せられて、ベッドの脇、伏黒くんが私の頭をポンポンと撫でた。
急に距離が近づいて頭ポンポンなんてされて私の方が動揺。
真っ赤になって、涙が引っ込んだのが分かった。
だけどなんてゆうか、この空気…
伏黒くんが急に真面目な顔になるから心臓が爆音を鳴らしている。
どーしよう私、キスもした事ないよ…
でも、伏黒くんとなら怖くない。
だってほら、ポンポンしていた手がゆっくりと肩に降りて頬に触れる。伏黒くんの大きな身体がゆっくりと私に近づく。目線は唇にいっていて…

「好きだ」

欲しかった言葉と共に、ほんのり冷たい唇が重なったーーーー。

数秒くっついてから離れる。目の前の伏黒くんは真っ赤な顔で俯いていて。

「クソ、死ぬ程恥ずかしい、」

やっぱり可愛い。
伏黒くんがちゃんと言葉にしてくれてめちゃくちゃ嬉しくて頬が落ちそうだ。

「あの伏黒くん。…バイク乗せてほしいな」

「え?けど、」

「あ、じゃあヘルメット買う!だから一緒に買い物付き合ってよ?ね?」

「いや俺が買う。お前のメット、買ってやる。それでいいな?」

「うん!でもお金…」

「ならお代はこれでチャラだ」

コツっとおデコをくっつけた伏黒くんは、まるで少年のように歯を見せて笑うと、ちゅっと鼻の頭に小さなキスをした。
咄嗟に鼻を押さえる私を見て笑っているけど、また不意にその顔が真剣なものに変わった。
空気で分かる、キスの合図。
恋とか愛とか、よく分かっている訳じゃない。でも今目の前にいる伏黒くんの事が心から大好き。
好きな人と両想いなのは奇跡なんだと思う。
私だけが好きでもこの場は成り立たないし、逆でもダメだ。

唇が優しく触れると、胸の奥がキュンと疼く。トクントクンと音を鳴らす心臓が、激しくドクドクと爆音に変わる。
キスなんて初めてだった。でも伏黒くんが唇を軽く咥えるように動かしたから私もそれに合わせて動かしてみる。

「なんか…止まんなくなりそう、」

そんな伏黒くんの声に私はドキドキしながらもう一度目を閉じるのだった。