絶対安心な温もり
リビングにある高級そうな大きなソファーに座っているだけで眠気が襲ってくる。
出張からの帰り道、朝からの倦怠感で熱があると分かった私はアルミンを呼び出していた。
土日の献身的な看病のお陰で無事に回復した私は翌月曜日にはなんて事ないって顔で出社した。
体調を心配してくれていただろうリヴァイ室長にも元気な顔を見せなきゃってよく分からない使命感もあったと思う。
あの日、もうセックスはしない!と言ったアルミンは本当にそーいう風に私には触れてくれず、それを少し寂しく思っていた。
もしかたしたら、私がアルミンの告白に答えを出さないと本当にもう、アルミンとは普通の友達になってしまうのかもしれない。
アルミンの事をもっとずっと知りたい…そう言ったのは間違いじゃない。けれど今のままで、アルミンを友達以上に見れるのかすら、自信がない。
所詮私はアルミンと身体だけ繋がっていれば満足なのだろうか?
なんか、そーいうの考える事すら面倒だった。
「は?風邪ぶり返すぞてめぇ」
リヴァイ室長の声に振り返ると、ラフなグレーのVネックシャツを着てタオルで髪を拭きながら私のいるソファーにやって来た。
すぐにドライヤーで私の髪を後ろから乾かしてくれる。そーいう事すると、女は勘違いするっていうのにね。リヴァイ室長はただでさえ顔がずば抜けていいんだからそゆことしちゃダメなのに。
でも、気持ちいい。アルミンの場合は可愛いからなんでもしてあげたくなるけど、リヴァイ室長はそんな私を物凄く甘やかしてくれる。
「リヴァイ室長、」
カチッとスイッチを切って手ぐしで私の髪を整える室長に向き直って小さく名前を呼ぶと、いつもより少し優しめの顔で私を見返してくれる。
「ありがとうございました。」
「構わねぇよ。あのクソ野郎につけられたのは初めてか?」
「はい。最初はミカサも一緒で。でもエレンに呼び出されて先に店を出たので少し一人で飲んでたんです。たまたま向かいに座っていてよく目が合うなって思ってて。でも近寄ってくるわけでもなかったのでいいやって会計済ませて外に出たら出てきて…明らかに後をつけられました。それで急に怖くなってリヴァイ室長に…」
「そうか。…アルミンには、」
「え?」
「いや、なんでもねぇ。それで、お前はどうしたい?今日はもうここに泊まればいい。明日からは自分のとこに戻るか、着替えだけ持ってきてここにしばらくいるか、送り迎えするだけでいいか、」
当たり前に送り迎えなんて言葉にするリヴァイ室長はやっぱりずるい人で。
「あの、そーいうのは、恋人の役目、ですよね?」
「アルミンよりよっぽど俺のが頼りになると思うが。…選べよ、名前。アルミンと過ごすか、俺に守られるか。…俺を選ぶなら何があっても守ってやる」
どれも全部脳内でシュミレーションをしてみる。
いつか、この選択をした事を後悔する日が来るのだろうか?
ムンズと、リヴァイ室長のグレーのシャツを指先で摘んで小さく言った。
「ここに居たい。」
「決まりだ」
ふわりとまた当たり前のようにリヴァイ室長の温もりに包まれた。
安心できるこの温もり、知ってしまったら最後なのかもしれない、ーーなんてね。