A O T

近すぎて見えなくて


「え、お見合い!?…リヴァイが?」

「…何度となく断ったがな、」

知らなかった。
ベッドの上、生まれたての姿でリヴァイと抱き合うようになってもう1年が経っていた。
同期のリヴァイとは入社してしばらくは別部署だったけれど、2年前の異動で偶然にも同じ部署になって、それから1年後にこの関係が始まった。

リヴァイと一緒に仕事をするようになって、彼がどれだけ会社の為に頑張っているのかが分かった。それはすぐに憧れから恋に変わり、どうしようもなく気持ちが溢れてしまった挙句、2人で飲みに行った帰り道、私からリヴァイをホテルに誘った。酔った勢いだったけれど、それでもこの心にあるリヴァイへの気持ちに嘘なんて一つもない。そしてリヴァイは、私を愛している訳でも何でもなく、言うならばただのオトコだってこと。

「それって断り続けられるの?」

「断り続けられるもどうも、俺には結婚願望なんてもんは最初からねぇ。他人と一緒に帰る暮らすなんて無理だ」

私が言われた訳ではないのだろうけど、いざリヴァイの口から結婚願望がないと言われてしまうのはわりとキツイ。

「でも私たち、年齢的には適齢期って奴じゃない。そろそも本気で結婚を考えてもおかしくはないよね」

「ほう。名前は結婚願望があるのか?」

「…したいとは思ってる。心から愛した人となら」

「なら、ソイツが現れたらこの関係も終わりにしねぇとな」

どうって事ないって顔で、どうでもいいって声でそんな残酷な事を簡単に口にするリヴァイが憎たらしくて。もう何も言って欲しくなくて私は一度果てたリヴァイのソレに手を伸ばして緩く上下に擦りあげた。
煙草を咥えていたリヴァイは、慌てて灰皿に置くと「2回目か、悪くねぇ」なんて目を細める。なんか悔しいから手中にあったリヴァイの大きなソレを口に含むとリヴァイの腹筋がポコッと動く。舌を存分に絡ませて太い肉棒を舐め上げると「クッ、」心地良さげなリヴァイの低音が耳に届いた。

「名前、ケツこっちに向けろ、俺もシてやる」

言われるがままリヴァイの顔の方にお尻を向けると、ちゅって甘い音を立てながらリヴァイの唇がお尻の至る所に赤紫の痕を残す。それから長い舌が私のそこにジュジュっと入り込んで愛液を吸い上げられる。

「ンンンンンンンッ、アアアアアァッ!!」

なんとも言えぬ快感にガクンと身体が倒れ込むけどそれでもまたリヴァイのソレを口に咥えて何度となくリズミカルに頭を動かした。硬さを増していくリヴァイに、自分の絶頂も近づいていくのが分かる。それはリヴァイも同じで、既に亀頭部分からは堪えきれず透明な汁が滴り落ちていた。
指で摘んで袋部分からチロチロと舌で舐めると、リヴァイの息があがる。裏筋をツーっと舌で数回舐め上げてから先端を口に含む。そのまま奥まで口に含むとリヴァイの手が私の腰に巻き付いた。呼吸を乱してそれでも私の子宮を吸い上げるリヴァイに「イッちゃうよっ、」小さく言うと「俺も、イくッ、」…昇天する寸前でリヴァイの方が先に精子を口に放出した。それを受け止めながらも子宮の奥から快感に身体が震える。
味のないそれを飲み込んで手の甲で口元を拭うと、リヴァイの上に乗っかってギュッと抱きつく。
汗ばんだ熱い身体を優しく強く抱きしめてくれるリヴァイを、誰にも渡したくない。こんな姿を見せるのは、私の前でだけにしてほしい。そう心の中で泣き叫んでいるけれど、実際は何一つ言葉にできやしない。

大人になると、愛してるが言えなくなるのはどうしてだろうか…。







「頭痛ぁ…」

リヴァイが帰った翌日、何もする気になれず、一晩中飲んで過ごしたら、翌朝見事に二日酔いになった。熱いシャワーを頭から浴びたものの余計にクラクラしたから、そのままベッドの上でしばらく横になっていたら少しだけ回復してきた。
支度をして出勤したものの、ズシンと頭に漬物石でも乗せているかのように重く、大きな音がなかなか頭に響いてすこぶる過ごしずらさを覚えた。

「あれ?もしかして、二日酔いっすか?」

後輩のジャンが物珍しそうに私を見下ろしてそんな声をかけてきた。

「そんな訳ないわよ」

「またまた〜。リヴァイ課長も同じぐらい酒の匂いプンプンさせて平気な顔してましたけどね。2人、一緒だったんすか?」

エレン並に空気が読めていないジャンの発言に思考が止まった。

「え?リヴァイも?」

「はい。もー外回り行っちゃいましたけど、今朝めちゃくちゃアルコール臭出てました、リヴァイ課長。なんかあったんすかねぇ」

へーだか、そうだか、適当に答えたものの、ジャンのせいでその日は全く仕事に集中できなかった。
ホワイトボードの一番上、アッカーマンの帰社時間はもうとっくに過ぎている。時間通りに帰ってこない事なんて滅多にないというのに。
なんとなくリヴァイに逢いたくて、待っていたものの、21時を過ぎても戻らなかった為、仕方なく会社から出た所で足を止めた。
ちょうど会社の入口前で止まったタクシーからリヴァイが疲れた顔で降りて来た。それに続くように女が一人、一緒に降りてきたんだ。
慌てて柱の影に隠れた私は心臓が爆音を鳴らしている。

もしかして、お見合いの相手?
今日の商談はもうとっくに終わってるだろうし、こんな時間までリヴァイが戻らないわけがなかった。
そういえば、ザックレー専務の紹介とか言ってたっけ。

「今日はありがとうございました。やっとリヴァイさんにお会いできて本当に嬉しいです。お見合いの件、前向きに検討していただけますか?」

聞きたくない声に、リヴァイの返事が怖くて思わず耳を塞いだ。だからリヴァイがなんて答えたのか分からない。そのままOKしてリヴァイの車に乗り換えて女の家まで送るんだろうか?途中で食事でもしながら趣味の話でもするのだろうか?もしもそのままリヴァイの家に…

「嫌よ、そんなの」

胸が苦しくて、心が痛くて、感情的に喉の奥が詰まる。視界がボヤけて鼻がツーンとして…

気づくとポロリと涙が一粒零れ落ちた。
俯いて動くこともできなくて、こんな馬鹿みたいに惨めな気持ちになるのなら、素直にリヴァイが好きって伝えればよかったの?リヴァイを愛してると、言えたら楽になるの?

「お前、何してる。…見てたのか?」

足元に黒の靴が見えて塞いでいた耳をその手によって外された。顔を向けるとまた涙が零れてしまって、それを拭いたいのにリヴァイの腕に掴まれて離してくれない。

「名前…」

「違う!!」

「まだ何も言ってねぇよ」

リヴァイの口から出る言葉が怖くて堪らない。もう終わりにしよう、別れよう…そう言われるくらいなら自分から言ってやる。
息を吸い込んでリヴァイを見つめるけど、それでもどうしても別れの言葉なんて言えない。

「嫌よリヴァイ。私のこと、捨てないで」

涙と一緒に辛うじて出てきた言葉といえば、そんな縋り付くしかない惨めな言葉だった。
だけどリヴァイは、私の言葉に少しだけ安心したような表情で零れ落ちる涙を指で優しく拭ってくれる。

「肝心なとこ、聞いてねぇのかよ、てめぇは」

ぐすんと鼻を啜ると、きっと真っ赤であろう私の鼻の頭を軽く指で弾いた。
コツっとおデコをくっつけたリヴァイは、社内入口の横、大きな木が植えてあって出入りする人の死角になっているそこに私を追い込んだ。

「いいかよく聞け、昨日の話の続きだが、俺は結婚願望はねぇ。他人と仲良く暮らすのも無理だ。けどそれは、お前以外の女だ。名前、お前は俺の中で唯一無二の特別な女だ。名前となら、四六時中一緒にいてぇと思ってる。今まで近すぎて見えなかったが。名前よ、その涙は、俺を愛してる証拠だと思っていいんだな?」

自信満々なリヴァイの言葉に私はコクッと頷く。
顎に添えられた指でクイッと顔を上に向かされる。

「言えよ、俺を愛してるって」

言ったらどうなる?お嫁さんにしてくれるの?
見つめるリヴァイの瞳は悔しいけど余裕綽々。こんな男好きになった私って、見る目ない?…そんな事、ある訳ない。

「好き。リヴァイが好き。あなたを愛してる」

「俺もだ名前。お前を心から愛してる。幸せにしてやる」

トンと壁に背をつけてリヴァイがまた私の腕を拘束した。
嘘も偽りもない、迷いなき口付けを大きな木が全部隠してくれている…ーーーー

心の底から幸せが込み上げてきた。
私とリヴァイの未来はこれからだ。



-fin-