過去にヤキモチ

「飲むか?」

緊張していた私がお風呂から出ると、新しくワインを開けていた勝己がそう言う。大きな画面のテレビでは恋愛ドラマが映っていて、勝己のイメージじゃないそれにプッと笑う。

「あ?」
「だって。勝己それ見てるの?」
「あ?見てる訳ねぇだろ。名前が好きかと思っただけだ」

サラりとそう言うけど、なんか狡い。よく見ると凄く綺麗な顔をしている勝己。今まで彼女はいなかったのだろうか?過去の恋愛とかは気にしないようにと思うけれど、勝己の愛を受けていたのが自分以外にも居たのかと思うと、ほんの少し胸が痛む。
タオルドライしただけの私の髪の毛はまだ濡れていて、不意にクシュンとクシャミをした私を見て勝己がソファーから立ち上がるとどこかに消えて行きすぐに戻った。その手にはドライヤーが握られていて、コンセントに電源を差し込むなり私をソファーの下に座らせると後ろから勝己がスイッチを入れて髪の毛を乾かしてくれる。
何も言わずにそーゆう事やっちゃうのってやっぱり狡い。女の扱いなんてプロヒーローになればお手の物なのかなぁ…なんて思うも、この人の性格上、自分が心を許した相手にしかそーゆう事はしなさそうな気もした。

「気持ちいい。人に乾かしてもらうのなんて初めて」

マイナスイオンの出る強風ドライヤーだから猫っ毛の私はすぐに乾く。スイッチが入っている時に言った今の言葉は独り言化していて、勝己には届いていない。でもそれでいい。今度は私も勝己の髪を乾かしてあげようなんて思えたんだ。
乾かし終わるとまた無言でそれを丁寧に片付けに行った勝己は、戻ってきて私をソファーに組み伏せた。
あれ?飲むんじゃなかったの?キョトンと勝己を見上げる私に「ムラついた、名前のうなじ見とったら」へ?そーゆー事言う人なの?私の返事も何も聞くことなく、一ミリの迷いすら見せずに私の上に体重を落とす勝己に瞬発的に目を閉じた。それがキスだと分かったから。そして私は、この期に及んで勝己にキスされる事を喜んでいる。舌を絡める勝己は同時にジェラートピケの部屋着の上から胸に触れる。
一度抱かれてしまえば、恥じらいは最初程なく、更には勝己の手は私の心地好い所を探り当てるのがとてもうまかった。発汗させて爆破で攻撃する個性持ちの勝己の手は、たぶん人より体温が高く、触れている箇所が熱く燃えたぎるような気分だ。

「勝己…」
「ンだよ」
「ここで?」
「嫌か?」
「…うううん、いいよ」
「ッハ!これ脱がせる、手あげろ」

バンザイをする私に合わせて着ていた部屋着を脱がされた。当たり前にブラも何も付けていない私の胸が露わになって、そこに顔を埋めて尖端を舌で転がす勝己。
手を挙げた私の脇の下までちゅうと吸い付く愛撫に、擽ったくて腰を捩った。お風呂上がりだから構わないけれど、シャワー前には絶対舐めて欲しくないなんて思うも、勝己の舌が下顎からニュルりと伸びてまた唇を塞ぐから、心地好いキスに脳が痺れそうになる。

「いい身体してんな、名前」
「へ?なに?」
「いや。この身体見たのって俺だけ?」

どーゆう意味?勝己以外に抱かれたのか?ってこと?
それってさっき私が思ってた事と同じだよね。

「勝己?」
「…なんでもねェ!忘れろ。つーか俺以外目に入らんようにしてやる」

なんだろうか、この高揚感。もしも私の過去にヤキモチ妬いてくれたのならそれはもうめちゃくちゃ嬉しくて。でもそれを素直に伝えてこない所も勝己らしいというか。正直なところ、自分を棚に上げて、勝己以外の恋人と過した日々もある。けれど女という生き物は、その淡いとか甘酸っぱいとかどんなに濃厚な思い出だったとしても、今には誰も勝てない。今が一番濃厚で甘くて愛おしいのだ。
きっと勝己も私以外の恋人は当たり前に居ただろう。勿論この行為だって初めての手つきじゃない。けれど、今の私との時間が勝己の中で一番であれば、それはやっぱり嬉しい事なのだと思える。

「ハアッ、ンンッ、」

ソファーに寝転がる私の脚を全開させてそこに顔を埋めて舌を出し入れしている勝己に、溢れ出る愛液をジュジュっと吸い上げられて中がヒクヒクと震えている。太腿の裏側を舌で絡めとって、膝の裏までちゅうっと吸い上げる。ほんの息をついた私にまた勝己の舌が襞を掻き分けて中に入る。レロンと大きく舐めていやらしい水音が部屋に充満している。胸の突起を指で高速で弄りながら襞を甘噛みされて、ぷっくり顔を出した下の突起を口に含もうものなら、私は「イッちゃう、」甘ったるい声を上げて子宮の中をブルブルと震わせた。手の甲でびしょ濡れた口元を拭った勝己は肩を揺らして呼吸を整える私の上まで登ってくると、ちょっと苦味がかった舌を絡ませた。腹部に当たる勝己のソレが硬く主張しているのが分かる。そこに自然と私は手を添えていてチラリと見ると勝己が私を抱き上げてくるりと下に移動する。

「する?」

そう聞くと「おう」なんて言って肩の力を抜いたんだ。