あの日から
「疲れた…」
仕事を終えて都内のマンションにある自宅に帰った。朝できなかった家事の続きを終えてシャワーも終えてソファーで寛ぎながら映画のDVDを流しながら晩酌していたらガチャガチャと鍵を開ける音がして同棲相手であるタカちゃんこと、恋人の三ツ谷隆が帰ってきた。
「タカちゃんお帰り〜」
「ただいま。飲んでたの?」
「ん〜少し」
「俺も飲もうかな。先にシャワー浴びてくるわ」
「ん、行ってら〜」
クイクイと手を振る私に微笑むと、タカちゃんは鞄を置きに寝室へと入ると、着替えを持ってお風呂場へと行った。それからしばらくしてタオルで髪をわしゃわしゃと拭きながらこちらにやってくるタカちゃんは、ソファーの隣私の肩に手をかけて頬にちゅっとキスをくれる。
デーブルに置いてある缶ビールをプシュっと開けるとごくごくと一気に飲み干す。
「うまっ」
そう言いながらおツマミのアタリメを手に取ると醤油とマヨネーズをつけてぱくつく。視線は大型テレビの画面を捉えていて…
「随分甘酸っぱい映画見てんな」
「うん。これ流行ってるんだって、今…」
高校生の男女の恋愛映画。ちょっと、というか、わりと思い出す、タカちゃんとの淡いお付き合いを。
隣のタカちゃんもそう感じたのか、私の身体に腕を回すと、ラッコ座りで自分の上に抱き乗せた。
「タカちゃん?」
「覚えてる?初めてのときの俺ら…」
「そりゃ覚えてるよ」
「あん時俺、いっぱいいっぱいだったわ。今思うと笑えるけど、必死だったんだよ、お前抱けるって」
「全然余裕に見えたけどね?タカちゃん」
「そー見せてたの。かっこ悪いって思われたくなくて」
「ふふ、そんな事思わないよ。私はあの日からずっと、変わらずタカちゃん以外興味無いもん、」
「俺もだよ名前…」
そう笑うとタカちゃんは、私の後頭部を手で抑えながらゆっくりとソファーの上に押し倒した。タカちゃんの奥に見える天井の模様、もう何度となくこの景色を見ているけど、いつだって心は高揚しているんだ。
目を閉じるといつだって浮かぶ、あの頃の私たち。
ねぇタカちゃん…
少しは私たち、大人になったかな。
◆
「もうっ、何よコレ、ばかタカシ!えろタカシ!変態!」
バコンと部屋の片隅に置かれたクッションを彼、三ツ谷隆に向かって投げつけた。中3のタカちゃんと高1の私は、幼馴染以上恋人未満という曖昧な関係だ。
彼の部屋に遊びに来たというのに、押し入れから出てきたAVDVDに怒り奮闘。全くこれだから年頃のオトコは。
「これしか頭にないのっ?」
「いやそれ、ぺーが置いてっただけ。俺んじゃねぇよ」
「どうだか!!タカちゃんだって健全な中学男児なら見てておかしくないわよ!」
「そりゃまあな〜。けど俺、名前にしか興味ねぇからなぁ」
「はっ!?」
頭をポリポリってかくタカちゃんは、いとも簡単にあっさりとそんな言葉を飛ばした。私がずーっと想ってきて言えずにいた言葉なのに。
「名前がいいならいつでも押し倒してぇと思ってるよ」
ニカッて笑うタカちゃんは、家族思いの不良をうたっていて、ここ最近トーマンの話を周りでよく聞くことが増えたのは事実だった。それと同時に、誰がかっこいいとか、誰と付き合いたいとか、そんな話題が私たち女子の中では流行っていて…
「いいよ、別に」
誰かにタカちゃんを取られたくないと思っている。
裁縫をしようとしていたのか、糸を右手からポロリと落としたタカちゃんの足元にコロコロと転がった。
口をあんぐりと開けて私を見つめるタカちゃんは、手にしていた針を無言で仕舞うと身体をこちらに寄せた。
俯いている私の髪をそっと耳にかけたタカちゃんが、顔を覗き込む。
「本気?」
そう聞いた。だから私はコクリと頷くと制服のポケットから友達に戻ったゴムをテーブルに置いた。それを見たタカちゃんは私の前に身体を持ってきて手を握ると、胡座をかいたまま顔を寄せて下から覗き込む様にして唇を重ねたんだ。ちゅっと小さなリップ音が鳴るキスに胸の奥がギュッと痛くなる様だった。
「タカちゃん…」
「名前、可愛いよ」
そんな言葉を貰うだけで、タカちゃんへの想いが一気に溢れる。今まで抑えていたタカちゃんへの想いをのせてギュッとタカちゃんの首に腕を回して抱きつく。
「倒すよ」
「うん」
トクンと胸が脈打つ。天井をバックにタカちゃんの妖艶な瞳が私を見つめていて、顔の横に手をついてコツっとおデコをくっつける。小さく深呼吸をしたタカちゃんは、パチッと目を開けるとニッと笑った。
「優しくする」
そう言われてまた胸がキュッとする。その場でコクッと顔を動かす私に、タカちゃんは覆い被さるように口付けを落とした。
下唇と上唇をハムッと甘噛みするみたいに口に含むタカちゃんは、やんわりと舌を絡めてきた。キスがただ唇をくっつけるだけじゃない事ぐらいは知っているけれど、こんなに舌を絡めるようなキスなんてした事がない。だけど、タカちゃんの舌で舐められるだけで身体がゾクリと反応するのが分かった。自然と涙目になってしまうのは嬉しいからなのか、それとも本当は怖いと思ってしまっているのかは分からない。タカちゃんに見られないように目を閉じてキスを受けていた私の上、制服のシャツのボタンを外しにかかって、前開きで下着を見られてカァーっと顔が赤くなる。タカちゃんはブラの上から胸に置いた手をゆるゆると揉みしだく。
「ンッ、」
胸に顔を埋めて「気持ちい?」なんて聞くタカちゃんは狡い。ブラの上から谷間に舌を這わせるタカちゃんはペロリと舌舐めずりをすると、「外すよ」そう言って背中の下に手を入れ込むと後ろのホックを外した。締め付けが無くなって緩む胸元に、タカちゃんは丁寧にブラを押し上げて胸に直で触れる。
「…見、すぎだよ」
「いや、悪りぃ」
ツンと、剥き出しになった胸の突起を指で啄くと身体がびくんと跳ね上がる。まじまじと見つめるタカちゃんは舌を出して突起の周りを舌でチロチロと舐める。
「クソ、やべぇなこれ」
そんな言葉の後、タカちゃんはハムッと突起を口に含んだ。途端に身体に押し寄せる快感にはうっと息を吐き出すも、タカちゃんの舌は止まらなくて、指と舌を存分に使って胸を執拗に愛撫している。
「タカちゃんッ、」
「ん?」
「気持ちいい、かも…」
ひひって笑うとタカちゃんはもそもそと上に上がってきてチュッと触れるだけのキスを落とす。頬を染めて高揚した顔を見せるタカちゃんは「アチィ、」そう言って着ていたカーディガンを脱ぎ捨てた。ワイシャツのボタンに手をかける私は、一つ一つと外していって…タカちゃんの見た目より分厚い胸板が飛び出すとやっぱり恥ずかしくて目を逸らす。
「そのまま脱がせて」
「ん」
片腕ずつシャツから腕を外すタカちゃん。同時に私の脱げかけのブラとシャツも一緒にとられてしまった。慌ててシャツを取り返して胸元を隠すと「だーめ」笑ってそれを部屋の入口付近まで投げられた。
「あ、もう!!」
「いーじゃん。全部見してよ、な?」
ポンッてタカちゃんの手がいつもみたいに頭に乗っかるから仕方なく胸を隠していた腕を外す。当然ながら飛んでくるタカちゃんの視線にドキドキが止まらなくて、心臓が口から出ちゃいそうだ。
「タカちゃんも脱いでね」
「あぁ」
そう言いながらもタカちゃんは私の足の方に身体をずらすと、そのままスカートの中に手を入れ込んだ。
「下も、いい?」
聞かれてコクリと頷く。もういいのか悪いのか正直分からないけど、タカちゃんに触れられることも見られることも、恥ずかしくはあるけど嫌じゃないと思えた。
そーっと太ももを降りて下着に手をかけたタカちゃんは、下着の上から割れ目のソコに指を這わせる。
「ンッ、」
淡い声あげて天井を見上げる私に「名前悪りぃ、我慢できねぇ」そう言うなりタカちゃんは私の脚を一度閉じさせて下着をそこから引き抜いた。途端に空気に触れてスースーするソコにタカちゃんは恥ずかしげもなくM字にガバリと開かせて興味津々に頭を突っ込みそうなくらいに寄せてくる。もう恥ずかしいって感情が最高潮まで到達した私はポロリと涙を零した。慌ててそれを手の甲で拭うけどまた流れてきて…ツプっとタカちゃんの指がソコに入ると同時、身体が思いっきり快感に包まれる。
「すげぇ…クソ濡れてんぞ名前」
ちょっと勝ち誇ったような顔でニカッと笑ったタカちゃんは、物珍しげに私の生殖器を観察するかの如く、指で色んな場所を探り始めた。
「これ、」
ツーっといきなり舌で舐められて「ふアッ!」変な声が出た。だってそれは…
「これかぁ、クリ…。名前、すげぇ気持ちよくしてやるからな」
そんな言葉の後、タカちゃんの熱い吐息が太腿を掠めたと思ったら、不意に下の突起がタカちゃんの口に含まれた。ちゅるりと舐められて、舌で胸の突起のようにチロチロと水音を立ててソコを舐めるタカちゃんに脚がガクガク震える。そのまま中指を腟内に入れて指と舌で攻めるタカちゃんの愛撫に私の呼吸は簡単にあがる。すぐに何かが身体の芯を通り過ぎる様な感覚に陥って、「やあはああああっ、」悲鳴のような喘ぎ声と共にビクビクと子宮を震わせた。
「名前、大丈夫?もしかしてイッた?」
「タカちゃあん…うぅ、分かんない…」
涙がボロボロ零れる私を見てタカちゃんが登ってきてギュッと抱きしめてくれる。昇天したのが恥ずかしいし、でもタカちゃんにもっと愛されたいしで、複雑な感情が入れ混ざって私は涙が止まらなくて。そんな私を見たタカちゃんは優しく微笑むと、「続きはまたにするか、」なんて優しく言ってくれた。こんな状況で止められるオトコなんているの?
友人たちから聞く彼氏とのえっちは、なんてゆうかもっと激しくて途中で止めるなんて選択肢は絶対にない。でもタカちゃんは私の気持ちを尊重してくれてるんだって分かって、だからこそ私は首を横に振って否定した。
こんなに優しい人と、一つなれるならなってみたいと思わずにはいられないんだ。
「いいの?」
「うん。タカちゃんと繋がりたい、だから続けてほしい」
「分かった 」
そう言うとタカちゃんは数回舌を絡める濃厚なキスをしたあと、カチャカチャとベルトを外して自分のスラックスを脱ぎ捨てた。背中を向けてテーブルに置いたゴムを指で開けると、スっと履いていたCKのグレーなボクサーパンツを脱いで、そこに装着する。振り返ったタカちゃんは、「挿れんぞ」そう言って私の脚を持ち上げる。
無言でタカちゃんを見つめる私にその辺を擦り付けるみたいにユラユラと揺らして指で穴を確認しながらゆっくりと中に埋めてきた。
「キッツ。名前力抜け…奥まで挿いらねぇ…」
「んう、」
力抜けってどうやって?身体がガチガチに固まってる私を解すようにタカちゃんがウエストのラインを指でなぞる。それがちょっと擽ったくて腰を捩るとフッて力が抜けたのか、タカちゃんがまたググッと奥まで挿れてくる。胸が苦しくてタカちゃんだけを見つめてゆっくりと深呼吸を繰り返す私に、数十秒かけてゆっくりとタカちゃんが奥まで挿いってきた。
トスッと私に覆い被さるタカちゃんにギュッと抱きつくとどちらからともなく舌を絡めた。そのままゆっくりとタカちゃんが腰を動かし初めて、正直なところ全然気持ちよくない。奥が引っ張られている様な尿意がきそうななんともいえない感覚に身体が慣れるのには少し時間がかかりそうな気がする。それでも優しくする…そう言ってくれたタカちゃんは、私の初めてをゆっくりと時間をかけて貰ってくれた。
◆
あの日から私はタカちゃん以外のオトコを知らない。
というか、タカちゃん以外のオトコなんて私にはそう、全く必要が無いんだ。
「名前バンザイして」
着ていた薄手のTシャツを捲りあげられてソファーの下に落ちた。その場でタカちゃんも片手でシャツを脱ぎ捨てると迷うことなく胸の突起に手を添えた。舌は首筋を通って耳の穴をしゃぶっていて、映画のDVDの音が消えて、タカちゃんの舐める音が全身に広がる。
「ハァッ」
耳朶を存分に舐め尽くすと、タカちゃんの舌が頬を通って唇に到達する。セックスに繋がる激しい口付けに何度となく舌を絡ませる。
「エロいなほんとに」
フッと笑いながらそんな言葉を漏らすタカちゃんは、私の腕をあげて脇の下に舌を這わせた。擽ったさの中にある心地良さに自然と声もあがる。
「アンッ、」
「もっと鳴いてっ、」
胸の突起を舌でグリグリに咥えてチュウッと吸い上げるタカちゃんにびくんと身体が跳ね上がった。そのまま手は腰から太腿をやらしく撫でていて、短パンの隙間からそっと触れてくる。
「名前脚いい?」
「脱がせてタカちゃん」
「おー」
ツルツルだな〜なんて笑いながら脚の至る所にちゅ、ちゅ、と口付けていく。脚をピーンと伸ばされて、膝の裏に舌を絡ませられてびくんと身体が反応する。
「やっぱここ好きだろ名前。膝の裏舐めるといつもびくびくしてる」
「んう、気持ち。タカちゃん色んなとこ舐めるからどこも気持ちいけど、そこダメ。アンっ」
レロレロと舌を存分に使って膝裏を舐められてから、漸くタカちゃんは下着ごと短パンを脱がせてくれた。クリを指で弄りながらも花弁を割って濡れているそこに舌を入れ込むタカちゃん。ジュルジュルと愛液を吸い上げられて脚がガタガタと震える。ここんとこお互い忙しくてこうして触れ合う時間があまり取れなかったせいか、私のそこはもう完全にできあがっていて…すぐにでも昇天できそうだった。
「タカちゃん挿れて。すぐイッちゃいそう」
「はっ、マジかよ!つか俺もやべぇかも。ちょっと抜いてねぇとすぐイくからな…」
若干の苦笑いと共にゴムを装着したタカちゃんは、私を抱き上げて自分の上に乗せると、下からタカちゃんのを入口に宛がたった。
「私がやる」
指でタカちゃんのを掴んでそこに体重を乗せて沈ませると、すぐに最奥まで届いた。それから腰を揺らして律動を始める私を片手で支えながらタカちゃんは眺めている。もう裸もこんな格好も何もかも恥じらいは無くなってしまったけれど、この触れ合いは止められないし、タカちゃんのほんのり目を細めて呼吸を荒くするその表情を知っているのはこの先も私だけであって欲しいと願わずにはいられない。
「名前、やべぇ」
イキそうな時のタカちゃんの顔ももうとっくに覚えた。それを堪えて眉間に皺を寄せているタカちゃんの堪えている顔も堪らなく好き。腰に手を当てているタカちゃんが、不意に強く掴んで下から突き上げてくる。あと10秒くらいでタカちゃんはイクのが分かるから私もそれに合わせて力を抜く。心地良いスポットを下から存分に刺激するタカちゃんの動きに合わせて腰を振る私は、「名前」下から見上げるタカちゃんの刹那そうな表情に、一気に気持ちが高ぶってすぐに昇天した。その数秒後にタカちゃんはピタリと止まってゆっくりと力を抜いた。ぐったりと二人でソファーに倒れ込む。
「シャワー浴びたのに汗かいちゃったね」
「だな。後で一緒に浴びるか」
「そんな事言って、お風呂でもシたいんでしょ?」
「ばーか、あたりめぇだろ」
タカちゃんは口数がすごく多いわけではないけれど、肝心なことはちゃんと伝えてくれるし、いつだって温かい。まだまだかけだしのデザイナーとして世界へ羽ばたいてゆく一歩を踏み出そうとしている今、私はタカちゃんとの未来がハッキリと見えたんだ。
