準備中

帰り際、駅を出てから急に降り出した雨のせいで全身びしょ濡れになった。
折り畳み傘を出す暇もないくらいの大雨に、もう家まで3分程度だからとそのまま小走りで来たものの、スコールの様なバケツをひっくり返した大雨に下着まで湿っているに違いない。
マンションのエントランスに入り、漸く取り出したタオルで濡れた身体を吹くも気休め程度にしかならない。
洗濯物を干してきてしまった事を思い出し、更に気分が落ちた。
コツコツとパンプスを鳴らしてエレベーターから降りると長い廊下の奥へと進む。三ツ谷の表札前でバッグから取り出したルームキーを差し込んでドアを開ければ、タオルを肩にかけた夫の隆が「お帰り、びっしょり?」なんて垂れた目で笑った。

「タカちゃんただいま〜。下着までびっしょり!お風呂沸いてたりする?」
「今沸いたとこ、俺も一緒に入る。洗濯物取り込んだら雨が吹き込んできてなぁ」
「わ、取り込んでくれたんだ、助かるありがとー」

とひあえずと、バスタオルを受け取ってそれで濡れてしまったバッグを拭く。それを寝室にあるコート掛けのハンガーに掛けた。手前にあるクローゼットを開けて、中にある衣装ダンスの中から下着と着替えを手に取ると洗面所へと向かった。既に裸になっていた隆が、手伝ってやる…と、私の服を脱がしにかかる。何度もこうして脱がされてきた私は今夜も素直にされるがまま。

「身体冷たくなっちゃってんな。あっためてやる」

下着まで全部器用に脱がせてくれた隆は私の手を引いて大きめのバスルームへと踏み入れた。
すぐにシャワーを出して身体を濯ぐと泡のボディーソープを手の平に出し、その泡を両手で混ぜて大きくしながら身体に擦りつける。ふわふわの泡と隆の手が私の身体を滑るように移動するから擽ったくて腰を捩らせると鼻から息を飛ばしながらクスリと笑う。

「なに?」
「いや、感じちゃう?」
「タカちゃんわざとココ触ってない?」

股の所に手を添えると垂れ目をいっそう細めて「んなことねぇよ!」って否定された。