見せつけたい幸せ

リヴァイと婚姻届を役所に出しに行った私は、晴れてリヴァイの妻になった。その足で銀座のブランド店でジュエリーを予約してそれを待っている間は、シガンシナで過ごしたクリスマスに貰った指輪をつけて過ごしている。
リヴァイは、すぐにうちに最低限の荷物を持ってきて、私の部屋で一緒に暮らしている。

朝起きたリヴァイと一緒に部屋を出てリビングで寛いでいると、疲れた顔のアルミンが同じようにシェルター部屋から出て来た。
ちなみにハルは、煉獄家に行く事もしばしあり、お互いの家を行き来して愛を育んでいる。
昨夜はそっちに行ったみたいでアルミンが少しだけソワソワしているから「ハルならいないわよ?」そう教えてあげると苦笑いでソファーに座った。

「紅茶淹れるね。アルミンも飲むでしょ?」

「うん、ありがとう。班長すみません、ユヅキに淹れされてしまって」

「全くだ。だが、俺の妻だけあって気が利くだろう。アルミン、もうハルの事は吹っ切ったのか?」

リヴァイからそんな言葉が出てくると思っていなかったであろうアルミンは、大きな目を更にかっぴろげてリヴァイを見返した。

「え、あの、班長?」

「俺が何も知らないわけねぇだろ。ガキのくせに迫ったらしいじゃねぇか」

「いやいや、班長!!!もうその話は勘弁してください。僕はもうとっくにフラれてますし、ハルには杏寿郎がいますし、今更です」

「ほう」

「まさか班長にそんな事聞かれるなんて、思ってもみませんでした」

「万が一ハルがアルミンを選んだのなら、その時点でアルミンは俺の弟になるからな」

リヴァイの言葉にアルミンは小さく首を横に振る。確かにもうハルの事は吹っ切れてはいるのだろうけど、男って案外女々しい生き物だと思う訳で。なんならリヴァイに言われたくないよね…なんてちょっと笑いが込み上げた。
でもその女々しいリヴァイのお陰で今私は幸せだから、リヴァイが私を変わらず好きでいてくれた事を嬉しく思う。

「はいどーぞ」

「あぁ」

「ありがとうユヅキ」

「うん。冷めないうちに!」

相変わらず潔癖症のリヴァイは独特の持ち方で紅茶を飲んでいるけどもうそれも見慣れた。
アルミンは猫舌なのか、フーフーって何度も息を吹きかけてからゴクリと飲み込んでいる。
穏やかで平和な日々に私ものんびりとした気持ちで紅茶に口をつけた。

以前に保護した顔の半分がかけてしまっている猫は、毎日の投薬と看病のせいで皮膚再生手術の準備にかかっている。まだ子猫の為、体重が増えないと手術に及べず、今はたんまりとご飯を食べさせてあげている。
FIPの子も、今の所薬が順調に効いていて多少の体調不良はあるものの、いい結果が出そうで安定していた。
うちで回復した猫たちは保護猫シェルターに移動して本格的に里親を募集するようになる。良い家族に恵まれるよう、願うことしかできないけれど、この仕事は本当にやり甲斐があると思えた。

強面のリヴァイですら、猫にはとても好かれている。勿論猫たちはリヴァイがとても愛情深い人だと分かっているからだって思う。

「そういやユヅキ、お前の指輪ができたそうだ。昨日の夕方俺の所に連絡がきた。引取りに行くか?」

「行くっ!!」

「なら外でランチでも食べよう」

「うん!!私シャワー浴びてくる!アルミン片付け宜しく!」

仕事中のアルミンに押し付けた雑用はきっとリヴァイがやってくれるって分かってる。リヴァイというのはそーいう人だ。


シャワーを浴びてメイクをしているとリヴァイが部屋に入ってきた。そのまま脱衣場で服を脱いだからリヴァイもシャワーを浴びるらしい。
まぁあれだけヤればシャワーも必要だよなぁなんて。
ものの数分でシャワーを終えたリヴァイがタオルを肩にかけて拭きながら私の後ろに立つと優しく微笑んで髪を撫でた。穏やかなリヴァイの表情に私も鏡越しに微笑み返す。


リヴァイの運転する車で銀座のジュエリーショップまで行った。近くのパーキングに車を停めて2人で仲良く手を繋いで歩く。

「結婚式は、もちろん挙げるだろう?」

不意に聞こえたリヴァイの言葉に顔ごとリヴァイに向けた。相変わらずのすました表情だけど、機嫌がいいのが見てとれる。

「いいの?リヴァイはそーいうの苦手かなあ?って思ってたから。私はリヴァイが傍にいてくれたら別にそれで構わないんだけど、」

「馬鹿言うな、幸せを見せびらかすのが結婚式だろう。やらずにいられるか。俺はやるぞ、絶対に」

見せびらかすなんて表現、リヴァイしか使わないと思うけど、そんな風に思ってくれていたのが嬉しくてリヴァイにギュッと抱きついた。

「あぁ?」

「なんでもない。結婚式、やりたい私も!リヴァイとの幸せ、みんなに見せつけたいよ!」

「当然だ。俺が決めてもいいが、お前の意見を尊重したい。だからユヅキが責任もって進めろ」

「うん!まずは式場探しだね!!」

「あぁ」

そのままお店で指輪を受け取って早速左手薬指につけた。嬉しくて嬉しくてずっと指輪を眺める私を、リヴァイもまたずっと飽きることなく見ていたなんて。





久々にゆっくりランチとショッピングをしてリヴァイと一緒にマンションに戻った。
これからなんか作るのは面倒だからいつものケータリングを頼もうかなぁなんて思いながらエレベーターを降りて玄関のドアを開けた。
目に入ったのは沢山の靴。乱雑に置かれた靴を見てリヴァイはチッと小さく舌打ちをする。

「なんなんだ、これは」

「ハル何も言ってなかったと思うんだけどなぁ。ホームパーティーなんて聞いてないよなぁ、確か」

「そりゃそーだ、この汚ねぇ靴はハンジに決まってる、アイツら何しに来やがった、クソが」

リヴァイの宣言通り、廊下の奥にあるリビングのドアを開けると、家主がいないにも関わらずハンジの声が強烈に耳に入った。

「おお、お帰り〜お二人さん!ご機嫌いかが?」

ソファーの上に立って出迎えてくれたハンジをリヴァイが下から蹴り飛ばした。

「ハンジ!うなじを削がれたくなかったら今すぐ帰れ!」

転がるハンジをリヴァイが踏みつけるから笑いながらそれを軽く止めた。

「なんか用事だった?みんな揃って」

「そうだ!エルヴィン、てめぇがいてなんでこの騒ぎだ」

戦闘態勢のリヴァイの腕を引き寄せるも、明らかにエルヴィンを睨みつけている。エルヴィンは私を見てから「ユヅキ、留守中にすまなかったね。リヴァイと少しはゆっくりできたか?」月に一度はリヴァイと休みを合わせて貰うようにシフトを調整してくれているのはエルヴィンだから感謝している。

「うん。指輪ができたから取りに行ったの!」

芸能人の記者会見みたいに左手薬指をみんなに見せるとまた歓声があがった。

「そうかそうか、それはめでたい!おめでとう、ユヅキ、リヴァイ。今日はみんなで2人の婚約祝いに来たんだ、実は!」

そんなハンジの掛け声と共に、どこにいたのかリヴァイの同期面々と、私の同期が揃って出て来た。
パンパンってクラッカーを飛ばすと「今日の主役」なんてタスキを私とリヴァイにかけた。
横目でリヴァイを見ると「ゆっくりできねぇじゃねぇか」いつもみたいに文句を垂れてはいるものの、私の髪をポンと撫でると続けたんだ。

「まぁユヅキが楽しいならそれでいいか」

リヴァイが首にかけた手を引いて、その場で幸せを見せつけるキスをくれたーー。



✿見せ✿


-fin-