妬いてる貴方が愛おしい

結局ハルは散々悩んだものの、いつもとさほど変わらない可愛げも色気も無い格好でデートに出掛けた。でもそれが素のハルである事に変わりはない。いくら綺麗に着飾ったとしても、中身がハルじゃなきゃアルミンだって煉獄杏寿郎だって、好きになんてならないはずだと思う。

「それにしても、アルミンもオトコなんだなぁ、」

思わず漏れた言葉に、隣を歩くリヴァイから物凄い刺すような視線が飛んできた。

「おいユヅキ、俺といるのに他の男の事なんて考えてやがったのか?」

こんな風にあからさまにヤキモチを妬く人ではなかった、少なくとも以前のリヴァイは。でもそれを言ったらリヴァイは当然だって顔で答えたんだ。大人ぶってただけだ、と。

「元々俺は独占欲が強いうえにヤキモチ妬きだ。悪いが俺以外の男とは本当は接触させたくねぇと思っている。それぐらいユヅキを愛してる。覚悟しておくといい」

リヴァイらしい上から目線で言われて繋いだ手をキュッと強く握る。

「そーゆーの、あまり口にしないと思ってた」

「…嫌なのか?」

「うーうん。もっと言われたい。リヴァイの愛を感じたい」

「可愛い奴だな、まったく」

クシャってリヴァイの大きな手が私の髪を優しく撫でた。胸の中がポワッと温かくなるような感覚で自然と口角があがる。

「でもリヴァイ、さっきのアルミンだけど、うちの妹と寝たって話で。妹のハルは職場に好きな人がいるんだけど、アルコールが入ると昔から開放的になる子で、そこにたまたまアルミンが入り込んじゃったみたいでね。それで昨夜はずっとハル悩んでてさぁ。今日が好きな男とのデートの日だったから。あの子大丈夫かな、ちゃんと楽しめてるかな?ってちょっとだけ心配で。」

「ほう、やるじゃねぇか妹!しかしアルミンが弟か…世間は狭いな」

「ふふふ、ね!」

リヴァイの腕に巻き付くように身体を寄せるも、何か違和感を覚えた。それはリヴァイがほんの少し目を見開いたから。その後すぐに「ユヅキ」名前を呼ばれてリヴァイを見ると「今夜はユヅキの部屋に行ってもいいか?」なんて断り。野暮な質問ほどリヴァイは何も言わずに実行していたのに。このままだとキスをするのも抱きしめるのも、一々聞いてくるのか?と思えて笑ってしまう。

「私の返事なんて分かってるよね?」

「まぁな」

「じゃあ聞かなくていいよ。私はリヴァイの愛を信じるって決めたから、ちゃんとリヴァイの事見てる」

「あぁ分かった。ただユヅキの気持ちを無視して俺の気持ちを押し付ける事はしたくねぇ。それだけは分かっておいてくれ。何かあればいつでも言ってくれていい。俺はどんなユヅキも受け入れる覚悟で一緒にいるから」

やっぱり嬉しくて。気持ちを言葉で相手に伝える事の大切さを私は初めて実感していた。気持ちよりも身体が先走りしていた少し前の自分ですら残念に思えた。
私の本音を伝えたことで、少なからずリヴァイも今みたいに気持ちを言葉で伝えてくれる。
それが、すごく嬉しいんだ。

愛というのは、思いの外身近な所に沢山散りばめられているのかもしれない。

「うん。リヴァイがいてくれてよかった」

「俺の台詞だ。取ってんじゃねぇよ」

目を細めて笑うリヴァイに胸の奥がギュッと掴まれるようなそんな気分だった。
ハル以外の他人と一緒に居て、ここまで心地好いと思えた事があっただろうか。
いつの間にか、ハルの心配がどこかへ行ってしまい、リヴァイとの時間を楽しんでいた。
ーー心から。






買い物した物は19時に家に運んでもらうように頼んでその後リヴァイとショッピングを楽しんでマンションに戻った。
エントランスをあがった所で誰かに見られている気がしたけれど、ここにはリヴァイと私しかいない。

「なんだ?どうかしたか?」

「んーなんか視線を感じた気がしたけど、気のせいかな。あ、このエレベーターうちに直通なの、ふふふ、すごい?」

「あぁ」

「ね、久しぶりにリヴァイのパスタが食べたいなぁ。作ってくれる?」

「了解だ」

てっぺんにいたエレベーターはなかなか降りて来ない。リヴァイと話しているとスマホが振動して画面を見るとそこにはジャンと表示されていて。それを見たリヴァイは「俺が話す」そう言うとちょっと強引に私のスマホを持っていく。

「リヴァイだ。ジャン悪いがユヅキとよりを戻した。てめぇがユヅキに惚れてんのは知っていたが、諦めろ。安心しろ、もう二度とユヅキを離さねぇから。じゃあな、」

私にスマホを差し出して「終わったぞ」そう言うリヴァイにプッて吹き出す。だってこれ話すとかの問題じゃない。

「何笑ってやがる」

「だってリヴァイ、ジャンの話とか聞いてないよね?」

「必要ねぇだろ。あいつが何を言おうとユヅキは俺のもんだ。変わることはねぇ」

「そうだけど。ね、私が一度ちゃんとジャンと話しちゃダメかな?」

さも不服そうな顔を見せるリヴァイ。前のリヴァイならきっと「好きにしろ」そう言うと思う。目の前のリヴァイはめちゃくちゃ真剣に悩んでていて。
思いっきり眉間に皺を寄せている。

「俺の目の届く所でなら構わない」

「ふは!ありがとう!リヴァイ大好き!」

ガバりと小柄なリヴァイに抱きつくと、ブレる事なく私を抱きとめてくれる。ちょうどエレベーターがきてポンと音と共に扉が開く。高級感漂う大理石のエレベーターは、最上階直通のみに使用されれていて、そこに乗り込む私はリヴァイしか見えていなかった。迷うことなくキスを迫るリヴァイの愛に酔いしれる幸せを身体いっぱい感じていたーーーー



❀妬い❀