「友人と杏寿郎くんはいつもどこでえっちしてんの?」
「ぶっ!!!!」
翌日。
大学のカフェでお茶をしている最中、こっそりと友人にそう聞いた。
実弥と杏寿郎くんは今日は午後からの講義で今は友人と二人きり。飲んでいたアイスカフェラテを思いっきり吹き飛ばす。慌ててティッシュでそれを拭った友人は苦笑いで私を見る。
「名前今なんて?」
「だからぁ〜どこでヤッてんの?って。」
「…どこって、部屋。杏寿郎の。ラブホは泊まりだと高いし、やっぱり部屋になっちゃうかなぁ。」
「だよねぇ。」
私はあのままでも構わないと思ったけど、やっぱり一緒に住んでるのは実弥で、さすがに気まずい思いをしているのかも…。
「なんかあったの?」
「うーん。昨日リビングでしようとしてたら弟の玄弥くんに見られちゃって。そしたら実弥が近くにアパートでも探すかなぁって言ってて。」
「あーなるほど。それは気まずいかもね、不死川くん。」
「私は実弥がいればどこでも嬉しいんだけど、」
「一緒に住んだら?名前も!そしたら家賃も半分だし、不死川くんが遅くに帰ってきても毎日一緒に過ごせるよね。」
トクンと友人の言った言葉に胸が高鳴る。そんな事、考えてもみなくて。
毎日実弥と一緒にいられるなんて考えたら「やば、身体鍛えないと!」…ぶっ!!!冗談だけどそれは。友人がまた笑ってくれたからよしとしよう。
「不死川くん、なんか体力有り余ってそうだもんね、」
「杏寿郎くんだってあんなウブそうに見えてヤることヤッてるんでしょ!」
冷めた目で友人を見るとクシャッと笑った。
照れる友人を横目に私の脳内は実弥との同棲生活でいっぱいで。確かに一緒に住んでたらもっと長い時間を共有できるかも…なんて思うと、自然と顔が緩んでしまう。
不死川の家の近くに住めば何かあってもすぐに駆けつけられるし、実弥も安心だよなぁ。
実弥が帰ってきたら一緒に二人の家に帰ればいいだけだし。
「友人!私午後の講義サボり!ちょっと不動産屋行ってくる!」
「え?ほんとに?でも名前お金とか大丈夫?」
「…バイトしなきゃ私も!実弥との愛の巣のために!」
「じゃあとりあえず掲示板見てこようよ!カテキョのバイトとか貼ってあるし!」
友人も一緒に立ち上がったのを見てニヤリと微笑む。
なんとなく友人の気持ちが読めて。
「友人も杏寿郎くんと一緒に住みたいって思ったんでしょ?」
見て分かる友人の照れ具合に肘でツンツンと突くと「そ、りゃまぁ。」なんて笑った。
誰だって好きな人とずっと一緒に居たいよね。
◆
「うわ、カテキョのバイトこんなにあるの?」
大学の掲示板に貼ってあるそれに思わず友人と二人、声を上げた。
数が多くて決めきれない。どれを見ても同じに見えて、
「あ、キメ学って玄弥くんとこだ。これにしようかなぁ!」
タンと掲示板の一つを指差すものの、隣の友人は苦笑い。
「え?ダメ?」
「ダメって言うかこれ、男子でしょ?不死川くんにバレたら怒られるんじゃない?」
友人に言われてふと考える。考えるものの実弥に限ってそんなヤキモチみたいな事、あるわけなくない?
「大丈夫でしょ!てか実弥がヤキモチなんて妬くわけなくない?」
…あれ?友人?
返事が返ってこないからチラリと友人を見ると後ろに下がっていて、友人のいたそこには思いっきり不機嫌な顔した実弥がいた。
私の頭に顎を乗せて掲示板を見つめる実弥は「却下。悪いが俺以外の男んとこなんて行かせる程優しくねぇぞ俺は。」…まさかの実弥の言葉に胸が大きく脈打った。
くるりと反転して正面から実弥に抱きつくもふわりと大きな手を頭に乗せて、なんてことないって顔。
「もし私が男の子のカテキョしたら?」
「殺す。相手が誰だろうと。だから止めとけ。」
「うんっ!分かった、止める!でも私、実弥と一緒に住みたいからやっぱりバイトしなきゃだよ。」
ギュウギュウ抱きつきながら顔を上げて実弥を見上げるとキョトンとしていて。
「あ?一緒に住むのか?お前、」
「うん。イヤ?」
「…嫌じゃねぇけど、」
「そしたらもっと実弥と一緒にいられるなぁ〜って思って。」
「………。」
返答の無い実弥を見あげようとするとグッと手で頭を押さえつけられた。
分厚い胸板に顔を埋めさせられる私は実弥の匂いを強烈に嗅ぐ。
「え、もしかして照れてる?不死川くん。」
聞こえた友人の声に無理くり実弥を見上げると「バカヤロ、友人!余計な事言ってんなァ!」グイッと実弥の手が私の顔を元に戻す。
こうなったら…って、顔を横に向けて実弥の心臓に耳をつけると、ダッダッダッて、ダッシュしたかのように早鐘を鳴らしている。
だから更にぎゅうって抱きつくと、「くっつき過ぎだ、ばーか!」そう言いながらも腕を緩めない実弥にイチイチ胸がキュンと音を立てた。