貴方に繋がるまわり道D

「は?宇隨てめぇ、何してやがる」

不死川の声にあたしの胸はチクリと痛い。
あたしに最も敵対心むき出しであろう、雛の肩に天元の腕が回されている事実に目眩がしそう。
仮にも今は放課後だけれど、それでもあたし達教師は生徒がここに入らないようにって見回りをしている最中だというのに、よくも堂々と生徒を連れてこんな所に入ろうとしたもんだ。

「おう不死川!と、奈々…いたのか。小せぇから見えなかったぜ!」

いつも通りの天元にイライラする。動揺一つ見せない天元に腹が立つ。
一体何様のつもりでここにいるのだろうか?

「天元先生こそ、何してんのよ?」

そう言おうとしたけど、言葉にならなくて。
一言でも声を発したら泣いてしまいそうだった。

馬鹿みたいに動揺してるのはあたしだけで。
馬鹿みたいに苦しくなってるのもあたしだけ。
生徒とか教師とか関係なくて、今ここにあるのは、

ーーあたしが天元を好きだって気持ちだけだ。

そして、それを天元にだけ気づいて貰いたいという事。

「おい奈々?お前、」

くるりと天元に背を向けたあたしは、危機一髪涙を見られなかったと思う。でもあたしの正面にいる不死川には残念ながらバレていて。困惑して眉毛を下げる不死川の手がそっとあたしの肩に乗っかる。
顔を覗き込むように「外出るか?」優しく言われてコクリと頷くあたしを、天元から守るように、天元から隠すように外へ連れ出してくれた。


「ばっかみたい、あたし。」

こんなになってでもまだ、天元に追いかけて来てもらいたい…なんて思ってしまうなんて。

「そうでもねぇよ。いつも笑ってる元気なお前だけじゃねぇって、ちゃんと分かってんぞォ、宇隨は」

こーゆう時、はぐらかさないでちゃんと答えてくれる不死川は良い奴だって思う。

「おい、奈々に触ってんな、不死川!!」

ドンと肩をどつかれて後ろにぐらつく不死川の胸倉を掴んでいるのは天元で。え?なんで?
振り返ったあたしを見て「何、奈々泣かせてんだよっ!!クソ野郎!!」…とんだ勘違いだけれど、それでもあたしは、天元が雛を置いて泣いたあたしを追いかけてくれた事が嬉しくて堪らない。

生徒相手に嫉妬したあたしを、それでも心配して追いかけて来てくれた天元がやっぱりどーしようもなく好きだ。

「天元っ!!」

不死川と天元の間に入ってそのままギュッと抱きつくと、「は?奈々?」ちょっとだけ上擦った天元の声。

「天元はズルいよ。本命チョコはあたしのだけにしてよ。」

まるで独占欲剥き出しのあたしの言葉に、天元の腕がそっと背中に回される。トクン、トクン…を耳を打つ心音は天元のもので…その心地良さに目を閉じる。

「たく、可愛い事言いやがって。不死川、悪いが雛を頼む。俺たちはこのまま直帰する、行くぞ奈々。」

訳か分からないまま、あたしは天元に連れられて車に乗せられた。