「善逸、また苗字先生のとこに行くのか?」
あの日を境に俺は毎日のように名前先生に逢いに行っていた。あんな風に俺を認めてくれた人は初めてで嬉しくて。
お昼休み、学食で定食を食べ終えた俺はおもむろに席をたつ。そんな俺に炭治郎がそう聞いたんだ。
もちろんながらまだ食べている伊之助と玄弥。そして一学年下の時透くんもここで一緒にご飯を食べている。
みんな炭治郎の言葉に俺に視線を向けた。
「うん!休み時間の度に行ってもいいんだけど、昼休みは長いからね!」
「なに?苗字先生?善逸ってあーゆうのが好きなの?」
一番興味無さそうな顔した時透くんからのまさかの質問だった。
この子の音は分かりずらくて、感情の起伏がほとんどないからいつも同じ音が響いている。
「お前らダメだからな、絶対!!とくに玄弥!!お前が一番危ない!これ以上名前先生に迷惑かけんじゃねぇぞ!!!それから兄貴にも言っとけよ、名前先生にあんま近寄るんじゃ、」
ゴスっと玄弥にぶっ叩かれた。当たり前に頬をひくつらせて機嫌が悪い。
「兄貴を悪く言うな、クソったれ。兄貴が苗字先生のことをそんな風に見てるわけねぇだろ。弟の俺が一番よく分かってる。」
確かにそうなのかもしれないけど。まぁ玄弥がそうだって言うならそうしとく。
ライバルなんて少ないに超したことはないし。まぁそんなのがいた所で負けないけど。
そう、俺のこの想いは絶対に誰にも負けないんだ。
「名前先生〜!」
コンコンと、ドアをノックしてそーっと開けると、スマホを耳に誰かと電話をしていた。
つーか誰だよ、俺の名前先生と電話なんてしてる奴!残念ながら俺めちゃくちゃ耳がいいからさ、相手の声も聞こえちゃうんだよね!!
俺を見てニッコリ微笑む名前先生は、ソファーを指差して俺に座っての合図を送ると少し離れるように窓際にたった。心無しか電話口の声も小さくなっている。
【本当に大丈夫かァ?無理なら送ってってやるから言えよォ。】
「うんありがとう、大丈夫。生徒が来たからまたね。」
【…また我妻か?】
「あら、気に入らない?」
【すこぶる気に入らねェな。】
「ふふ、そんな風に言って貰えて嬉しい。じゃあまたね!」
【おぉ。またな、】
…なんだろうか、このイライラ感。さすがに会話全部聞こえてましたとは言わないけど、名前先生の電話の相手は俺の事を知ってた。
それより何より…
「ごめんね、我妻くん、、」
先生のおデコに手を伸ばした触れるとそこはめちゃくちゃ熱くて。
なんとなく目が潤んでいて熱を帯びている。
「名前先生、熱ありますよね?」
電話の相手もそれを心配していたんだろうって事がよく分かった。
俺の言葉に苦笑いをする名前先生を見てやっぱりと。
「先生もう帰りましょう!俺、送っていきます!なんだってこんな熱があるのに来たんですか?」
「それは、我妻くんがここに来ると思って。」
ちょっとだけ掠れた名前先生の声が俺に届いた。