トクンと胸が脈打つ。
な、なんだよそれ。そんな可愛いこと言うなよ。
それ以上に嬉しすぎてヤバい。
俺のために熱があっても出社したとか、申し訳ないけど死ぬほど嬉しいし!!
てことはあれか?名前先生は俺がここに来るのを待ってたってことか!!
確かに毎日俺はここに通ってるけど、愛する人の具合が悪い事に目を瞑って無理をさせるような男にだけはなりたくない!!
むしろそんな奴は男とは認めない!!
「名前先生。俺はいいから。俺なんかの事そんな風に思ってくれて嬉しいよ!でも俺、名前先生が倒れちゃったらそっちの方がずっと嫌だよ。俺の事はもういいから帰ろう!ね?」
「ふふふ、優しいのね!ますます好きになっちゃうなぁ。」
なんだってええええ!?
…これは、熱のせい?
だって今、名前先生の手が俺の頬に触れている。
俺たちは見つめ合っていて、その距離は数センチ。
少し近づけば簡単にキスができちゃう距離にいる。
追い打ちをかけるかのごとく更に今、俺の事好きって言った?言ったよね?俺の聞き間違いじゃないよね!?耳のいい俺が聞き間違えなんてするわけないけどさぁ!!!!
「名前、先生。今さ…俺の事、好きって言った?」
見つめる先の名前先生は顔が真っ赤で。
赤みがかった甘そうな唇にほんのりピンクのグロスをのせていて、それがめちゃくちゃ艶っぽく見えてたまらない。
近寄れば近寄るほど名前先生からは甘い花の香りがして…
「あら?わたしを好きにさせるんだったよね?」
どう考えても名前先生のが優位だ。
だって好きなのは俺の方で、名前先生の心にはたぶん俺じゃない誰かがいる。それが不死川なのかは今はどーでもいい。この人の俺に対する音はまだ恋の音にはなっていない。むしろこの関係を楽しんでいるようにも思える。
「うん、そう。」
「女ってね、可愛いとか大好きとか、毎日言われてると、ちゃんと嬉しいなって思ってくるの。我妻くんはそれをわたしで実践してくれてるね。」
「そりゃそーだよ。俺は名前先生をお嫁さんにする為にこの世に生まれたんだもの!こんなに可愛くて大好きな人は、世界で名前先生だけだよ。」
熱く語る俺の肩に名前先生の手が頬から降りてくる。少し目線が低い名前先生は俺を下から見つめていて、その上目遣いに思わず生唾をゴキュっと飲み込んだ。
名前先生は、遊ぶように俺の唇を指でなぞる。
何もできない俺は直立不動で突っ立ってるだけで、そんな俺にニッコリ微笑んだ名前先生は小さくでもハッキリと言ったんだ。
「じゃあそれ、今ここで証明して?」
「……え?」
「我妻くんがわたしを好きって事。証明して?」
…証明?
うえっ!?しょ、照明っ!?てかこの展開、その先にあるのは一つしかないよねっ!?
いいのかな、俺で…。
いや、名前先生を幸せにできるのは、世界でたった一人、俺しかいない!!!
ゴキュっともう一度俺は生唾を飲み込むと、名前先生の腰に腕を回す。そのままコツンとおデコをくっつけて一つ息を吐き出した。
「名前先生…いや、名前さん。俺はね、世界で一番名前さんの事が好き。これから先もずっとずっと変わらないよ。」
甘くそう言った俺は、そのままゆっくりとその顔を名前さんに近づけた。
俺の行動に合わせて目を閉じた名前さん。
その甘そうな唇に自分のをそっと、そっと、のせーーーー
「あれ?」
「ふふ、ごめん。ごめんね、我妻くん!あまりに可愛くてちょっと遊びたくなっちゃったの!」
目を開けると真っ赤な顔で笑っている名前さん。