めちゃくちゃ緊張してめちゃくちゃドキドキしていた俺。そんな風に俺を子供扱いしてからかう大人の女性とは普段は絶対に知り合えないだろうと思う。もしかしたら住む世界が違うとか、別の人種とか、そう思うものなのかもしれない。
あの、不死川でさえ惚れる女であるこの名前さんからしたら俺なんてただの一生徒であってその他大勢となんら変わらないかもしれない。
でもさ、恋ってそーいうんじゃなくて、胸が熱くなってドキドキして、相手を想うだけで幸せな気持ちになれるもんであって。
俺今その気持ちめちゃくちゃ感じちゃってるの。
名前さんの気持ちがどうとかじゃなくて、俺がこの人の事を好きなんだって。
俺から一歩離れた名前さんの腕をガッと掴んだ。
今の今まで笑っていた名前さんの表情が止まって真っ直ぐに俺を見る。そのまま一歩近寄る俺は名前さんの柔らかい頬に手を添えた。
「我妻くん?」
「ズルいよ名前さん。そーいう事、絶対に俺以外の奴にやって欲しくないの。…あのね、一つ忘れてない?」
「…え?あの、」
「俺もね、正真正銘オトコだって事。貴方みたいな可愛いオンナの虜だって事。」
トンって後ろの壁に手を着く。
普段の俺だったら、ギャーっ壁ドンしちゃったぁ!!!なんて騒ぐ所だけれど、今はそんな余裕もない。
相手は大人の可愛いオンナ。まだまだガキな俺には太刀打ちできる相手じゃない。
だったら我武者羅に愛を伝えるしかない。
「我妻くん…」
「好きです俺、本気で名前さんが。他の誰を好きでも構わない。俺が貴方を好きだから。一番じゃなくてもいい、だから俺の事見て?俺の事も、愛して?…イエス以外の返事はいらない。」
息がかかる距離で見つめる名前さんも死ぬほど可愛い。そして、超我儘な有り得ない返答を求めた俺に、諦めたように笑ったんだ。
「強引だなぁ。…でも嫌いじゃないよ、そーいうオトコ。約束が二つあるの。」
1の形を作って見せた名前さんはこう続けた。
「一つ目は、優先順位を破らない事。…二つ目は、誰かに話したらこの関係はおしまい。以上。…守る自身はある?」
もしも炭治郎に聞かれたら、馬鹿だなって止められるかもしれない。
もしも伊之助に聞かれたら、そんな約束は守れるか!って罵られるかもしれない。
でもさ、でもさ、やっぱり恋って特別で。
俺にとっての恋は生きるパワーになるの。
好きな人と気持ちが通じ合うことなんて今までただの一度もなかったのよ、俺。
そんな俺をこの人は受け入れてくれた。
今は一番じゃなくてもいい。その優先順位を変えてやるつもりで俺は深く頷いた。
それと同時、名前さんの甘い唇が乾いた俺の唇に重なったんだーーーー
ああ、やばい…
キスってこんなにも幸せな気持ちになれるもんなのね。
「…もっと、したい、」
「ふふ、欲張りね。風邪…うつっちゃうよ?」
「俺にうつして、早くよくなって、」
「ンッ、」
もう後には引けない。
そしてこの甘美な唇は、誰にも渡したくない。
NEXT〜