大人になってからの風邪は、どうしてこんなにも辛いんだろう?なんならもうこのまま死ぬんじゃないか?とすら思えるほどに。
「胃腸炎ですね。とにかくお腹も身体も疲れているので、休ませてあげてください。」
そんな先生の言葉を信じて薬を飲んで寝ていると急な寒気に襲われた。嘘これ、熱上がる?体温計に手を伸ばした所で寒くて身体中震え上がった。
「うーもうやだ、寒いっ、」
ガタガタ震えているとふわりと布団が上から掛けられた。え?そう思った瞬間、「哲也さんと打ち合わせしてたら雪乃ちゃん具合悪いって聞いたから。来てよかった。」…なんだろう、このタイミング。
別に一人は慣れているんだけれど、身体が弱っていると心にも影響してしまうのか、不安だったのか、怖かったのか、よく分からない恐怖と戦っていた事から開放されたように涙がポロッと零れたんだ。
「…雪乃ちゃん?」
「さわー…遅いよぅっ、」
「はは、ごめんね。一人で寂しかった?」
「…別に。」
「素直じゃないんだからー。ちょっと熱計るよ?」
「へ?」
掛け布団の下から顔を出すと私の耳横にトンと手をついて澤なつのドアップがギリギリのラインで止まった。
とくん、とくん、と小さく脈打つ心臓。
「うわ、熱っ!こりゃ寒いはずだ。毛布もう一枚かける?」
絶対今ので1度は上がったと思うの。てかてか、ジーッと澤なつを見つめていると「ん?」ってニッコリ。
「長野の男はおデコで熱計るわけ?」
だってあんなカレカノみたいな計り方、勇征には絶対に言えない。
「さーどーだろ。雪乃ちゃんだけ特別だったり?なーんて。俺お粥作ってあげるから寝てていーよ。」
クシャって前髪を触るとそう言ってキッチンの方へと歩いて行く。…やっぱり無駄にドキつく心臓に手を当てていると、何故かこちらに戻ってくる。
「それとも、一緒に寝る?直であっためてあげようか?」
「…遠慮します、」
「やっぱ、素直じゃないねー!」
それでも面白ろ可笑しそうに笑うと鼻歌を歌いながらまたキッチンへと消えて行く。
でも、この安心感ったら、圧倒的かも。
((…素直じゃないって、どーいう意味!?ねぇ!))