「あー珈琲飲みてぇっ!」
ドカーッてリハを終えたファンタメンバーがフロアに大の字で転がった。イベント出演が次々へと決まり、そのパフォーマンスのリハが何度となく行われていた。
もう春でみんなおおいに汗をかいているからタオルを渡す。
「アメコ買ってこようか?」
「えっ!?マジで!?」
リーダー大樹がムクッと起き上がると笑顔でこっちを見ていて。
「いいよ、買ってくる!何にする?」
みんながみんな好きなメニューを叫んで私はリハ室から出るとお財布とスマホを持ってSEVENを羽織ると事務所から少し離れた所にある、TETSUYAさんのお店、アメージングコーヒーへと出向いた。
指定されたものを買って帰る途中、新しくできたそれに目を向ける。
「あ、」
ニンマリ微笑んで私は列の後ろにスッと並んだ。
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「戻りましたー。」
「お帰りー!!!」
みんなが一斉に群がってくる。
「はい。完全無欠のブラック。」
勇征に渡すとニコッと笑って「ありがとう。ターミナルあげようかなぁ!」アヒル口をしながらもそれを一口飲んだ。
「もーすぐバリが使うからみんな出てってー!」
ダラダラしてるメンバーのケツを叩くように言う私は、さっき買ったタピオカミルクティーを手にしていて。
一番最後にドアの前に立った勇征がそれをチラリと見た。
「雪乃さん、何飲んでるの?タピオカ?」
「うん。新しく裏にできてて。私タピオカそんなに好きじゃないんだけど、ちょっと興味本位で買っちゃったんだけど、黒糖タピオカだからか後味が甘くて美味しいんだよね。ちょっとハマりそう。街で行列ができてる訳がちょっとだけ分かったかも。」
「…俺も食べたい。」
「あ、食べる?いいよ、」
勇征の前に手に持っていたミルクティーを差し出すも、首を横に振って。
だけど次の瞬間、無言で顔を寄せた勇征は、私の肩に手をついてそのままチュ、と唇を重ねた。
一瞬どうなってるのか訳わかんなくて…
「へ?」
声にしたか、脳内で言ったのか不明だけれど、でもジュルリと私の口内に舌を入れ込んで、まだ微かに残っているタピオカを舌先でつついてそのまま舐めた勇征は、ハムっと唇を甘噛みしてから顔を上げた。
「あ、ほんとだ。ちょっと甘いね。女の人好きそう…。」
…何、今の?そんなシレッとすんなよ。そう言いたいのに出てきた言葉は全然違くて。
「もっと飲みたい、」
見事に馬鹿げた発言をした私に、またアヒル口で勇征が顔を寄せる。勿論ながらドアを閉めたここ、二人きりのリハ室。勇征がタピオカミルクティーを口に入れたまま私の口内に流し込んでどっちの口で噛んでいるのか分からないくらい、糖分10割増の黒糖タピオカが、舌を絡ませる度に甘くて、くせになりそう…―――――
((ね、そろそろバリくるんだけど!!))