初めてキミを見たのは新入社員の歓迎会。上司に思いっきり一発芸をやれって言われ、全力でやっているその姿が可愛いなんて密かに思ったんだ。小柄でサル顔の彼は、すぐにみんなの人気者と化してあるいみマスコット的存在でみんなから愛されるキャラに定着した。
一変して仕事中はそんなお茶目な素振りなんて見せることなく、期待以上に仕事量をこなす彼にますます夢中になっていく私。
誰にも言ってないけど。
そして最近知り得た情報によると、彼、奥田力也は極度の寂しがり屋。それだけでキュンとしちゃう私って結構ヤバいよね。
お洒落な奥田くんはいつもいい匂いがしていて、
「あれ?香水変えた?」
クンッて耳元に顔を近づけると「………はい。」真っ赤な顔で一歩後ろに下がった。
「わ、ごめん!近づきすぎたね!これじゃセクハラになっちゃう!わーごめんなさいっ!!」
慌てる私に赤い顔で、それでも嬉しそうに微笑んで「初めて気づかれた。」なんて言うんだ。それがまた可愛いくて、気づくと私は奥田くんの腕を掴んでいた。
「…デートしたい!今夜?ダメ?」
「は、えっ!?」
「もっと知りたい、奥田くんのこと!」
自分でもすごい!って思う。思うけど本当にそう思ってしまったんだもん。そしたら自然とそう言ってた。
でもやっぱ断られるかな、なんてほんの一瞬目を伏せた瞬間、奥田くんの手が私の指にそっと絡まる。
「僕も、知りたいです、ユヅキさんのこと。」
名前で呼ばれてすこぶるテンションがあがったなんて。
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「恋愛映画なんて見るんだ?」
「…え?ダメですか?」
「うううん。私に合わせてくれたのかな?って、」
「ユヅキさんとはこれが見たいって思ったから。」
映画を見終えてそのまま駅へと向かう。隣を歩く奥田くんはさほど私とも身長差はなくて、目線が一緒でそれもまた新鮮だった。
「そっか。でもそんな優しい一面も見れてますます奥田くんのこと好きになった。」
ほんの一瞬止まった後、私を凝視して苦笑い。でもその頬はやっぱり赤くて。
「可愛い。」
微笑む私の手をギュっと掴まれる。途端にドクって心臓が脈打って…。
「それ、さっきからわざと、ですか?」
「…――へ?どれ?」
「好きとか、可愛いとか…――冗談ですよね?別にそんな深い意味なんてない、ですよね?」
「うそ…心の声、出てた?」
思いっきり照れた顔で私を見つめる奥田くんの掴まれた腕に力が込められるのが分かった。
「心の声って、ユヅキさ…―――、もうっ、…ッ、」
だってそんなこと言う奥田くんがどうにも可愛いし、今日の数時間だけでやっぱり好きって確信した。だから私から奥田くんの腕に手を添えてそのまま唇を小さくくっつけた。カチカチに固まっていた奥田くんが、何度かキスを繰り返すうちに甘い吐息を漏らして…
「止まらんくなるやん。」
腕を強引に引っ張られて抱きしめたまま奥田くんからのキスが落ちた。ほんのり開いたそこから舌が入ってきて奥田くんの腰に腕を回す。
柔らかい舌が甘く厭らしく動き回って私の腰まで電流を浴びせていく。
「さすが帰国子女、キスうまいね?」
そう言いながらも奥田くんの腰からお尻のラインを撫でるとゴホッてむせ込む。
「本気にしてええですよね?」
「うん。大好き!」
「もうっ、むっちゃ可愛いのん、ずるい。」
ふふって笑って奥田くんの首に腕を回した。
「とりあえずあそこの煌びやかなお城入る?」