誘惑キス


コンコン…

御丁寧にノックをする所は礼儀正しいとえばいいのか、L・A戻りの彼、マサこと砂田将宏はなんていうか、日本にはあまりいないタイプの子だった。


「やっぱりまだいた。帰らないの?」


ちょっと着崩した制服と、校則違反よってぐらいの伸びた長めの髪。茶色と金と黒が混ざっていて傷んでそうに見えるけどいがいにもサラリとしている。

デスクに向かう私の肩に手を置くと、ふわりと後ろから抱きしめられた。


「マサ、誰かに見られたら、」
「いいよ、見られても。むしろ見せつけてやりてぇー。」


ちゅ、って耳に首にうなじに後ろからキスをするマサに強く言えないのは、彼と同じぐらい私も彼を愛しているから。

もちろん世間一般的に許されない恋だと分かっている。


「そんなことしたら、帰れなくなる…、」
「今日も未来んとこ泊まるって言ってある。」


ニコッて微笑んで耳朶をペロリと舐めるマサに、抜かりないなぁーなんて思ってしまう。

このまま黙っていたらどんどんエスカレートしてあわよくばここで抱かれちゃうかもしれない、この保健室で。それは免れたい。


「マーサ、1回離れて?」
「No!」


わざと余計に抱きつくマサをこの期に及んで可愛いと思ってしまうのは重症だよね?

振り返った私の前、まるで仔犬みたいに目をパチパチさせるマサは、私の性格をよく分かってそういう目をしている。だから、立膝ついて私と目線を合わせたマサは迷うこと無く唇を重ねる。

マサにキスされると何も考えられなくなってしまうのに。

ニュルリと舌を口内に入れ込むL・A式の濃厚キス。

大概日本人も恋人たちはディープキスをするもんだけど、マサのディープキスは身体が痺れるくらい刺激的。

甘い舌をゆっくりと口内で舐めるそれがたまらなく気持ちよくて、等々椅子からずり落ちた。

でもそんな私を分かってか、マサの片手がなんなく受け止めて、そのままデスクに背をつけて座る私の太ももに手を滑らせる。

ハァッて耳元で吐息を漏らして「ユヅキの耳っていつも甘い、」なんとも言えない気分になる。


「マサ、止まんなくなっちゃうからダメ。」
「俺も、ダメ。ユヅキの感じてる顔、もっと見せて。」


甘い声でそんな優しい言い方ほんとズルい。でも知ってるから、マサの弱点。

着崩した制服は胸元が大きく開いてて、その上から見えそうで見えないマサの乳首を指でキュッと握ると「アアッ、ちょっ、ダメっ!」ほら、マサの眉毛が下がった。


「そこは、ダメ。」
「触られると感じて気持ちよくて、何もできなくなっちゃうんでしょ?」


そう言いながらも指で先っちょをこねくり回していると小さく息を吐き出して天井を見上げるマサ。こーいう時の顔はめちゃくちゃ可愛い。


「うん、そう。…ハァ、気持ちいい…ユヅキ、キスして、」


頬に手を添えて顔を寄せるマサに、ちゅと唇を吸い寄せて舌を絡みつけた。一度舌を入れると途端に主導権はマサのものに変わって、気づくとリードしているのはマサの方。私のが呼吸があがってきちゃいそうで…


「マサ、もうダメ。続きはうちでしよ?ね?」


私の言葉に素直に「YES!」って離れるマサがやっぱり可愛い。立ち上がった瞬間、保健室の窓の外に動く影。


「あっ、マサしゃがんで!」


慌ててマサの頭を押して座らせるもそこにいたのは人じゃなくて一匹の猫。わ、焦ったー。

私の足に絡みついてこっちを見上げるマサの顔が可愛くてもう少しだけこのままでいようかな、なぁんて。


あ、こら、膝の裏舐めないで、もうっ…