芸能人と付き合うって事の本当の怖さを知るはめになったのは、なんだかよく分からないツイートだったんだ。
「なにこれ。」
会社帰り、Twitterを開いて唖然とした。それは私の大好きで、世間には内緒でお付き合いをしている壱馬と、ドラマの共演者との色恋事情…だった。
いつかこーいうのが出るのかな?なんて小さく思っていたけど、実際それを目にするのは嘘だと分かっていても何だか複雑で…壱馬のこと信じてない事なんてないけど、すごくかっこよくてモテるんだろうって事も私が誰より分かっている、だからなんていうか…心配なんだ。
芸能界には綺麗な人も沢山いるし、一般人の私なんかよりも例えば話があったりでもしたら…
どよーん。ダメだ、考えたら止まらなくなる。
こんな時、壱馬が傍にいてくれたらって思うけど、こーいう時に素直に「逢いたい」って言えたらどんなにいいか?って思っちゃう。
だけど―――――――
地元の駅を降り立ったその瞬間、不意に腕を掴まれた。
「ユヅキ。」
低い声に振り返ると帽子を被ってマスクをした壱馬。ほんのり見える目は優しく微笑んでいて思わずギュッとその場で抱きついた。だってまさか本当に逢えるなんて思ってなかったもん。
「なんで?なんでいるの?」
「なんで?って、お前がいらん心配してんか気になったから。どーせ見たんやろ?俺の記事。」
「…うん、見た。見たよぉ。」
「ほぉ、そんで?」
「…嫌だった。堂々と私が彼女だって言いたいけど、今以上に逢えなくなるぐらいなら全部我慢する。」
「…おん、ごめんやで。けどな、ほんまに俺、ユヅキ以外の女は興味あらへんで。一にユヅキ、二にマコト。三にしょへ。それぐらいやわ。」
…壱馬らしいなって、可笑しくて。顔を上げると壱馬がマスクをズラしてちゅ、って小さなキス。
…いや嬉しいけどさすがにバレたらまずいよね?
何も言えない私に壱馬は持っていた傘を開くとその中に私を押し込む。大きな傘の下、周りの音が遮断されて二人きりの空間。
「あの、壱馬?」
「これやったら分からんやろ、誰も。」
ザーザー降りしきる雨の中、足を止める人なんていなくて、だから傘の中、誰にも気づかれないように壱馬が何度もキスをくれる。
絡みつく舌をちゅって吸うと「煽んなや、」なんて笑ってまた壱馬の舌が私の口内を舐める。腰に回された腕が強く抱き寄せて、傘が落ちない程度にどんどん濃度を増すキスに呼吸も上がる。
「壱馬のキス、私以外に知られたくない。」
「せえへんわ、こんなやらしーの!」
笑ってちゅ、ちゅ、って頬とコメカミと首筋にキスをすると、そのまま指を絡めて歩き出す。
雨降る度、ちゅーしに来たるわ、俺。