【ユヅキちゃん、まこっちゃん潰れちゃったから迎えに来れる?】
…あれま。珍しい…、いやそうでもないかなー。今日はサポメンみんなで飲みに行くって聞いてて…大樹ちゃんがいるから安心してたんだけど。
とりあえず車を走らせて飲み屋の個室へと急いだ。
LINEで場所を聞いてノックの後ドアをあけると壁に寄りかかって寝ているまこちゃん。
私の最愛の人。
「あーごめんね、遅くに。どーしようかと思ったんだけど、ユヅキユヅキってきかねぇの、なんの。だから仕方なく呼びました。て事で後はよろしくっ!」
敬礼のポーズをして車の助手席に運んでくれたみんなは、それぞれタクシーに乗り込んで帰って行く。って家一緒だよね?いっちゃんはさ!!まぁ、いいけど。
ちょうど家に着く頃、爆睡していたまこちゃんが目を覚ました。
「あ、あれ?え?なんで?」
車庫入れしている私を見て思いっきり目を見開く。
「大樹ちゃんに呼ばれて、迎えに。まこちゃん大丈夫?気持ち悪くない?」
「あ、うん。なんか大丈夫。…大樹くん、」
意味深に苦笑いを零すと大きく伸びをして外に出た。
そのまま2人で部屋に入ってソファーに座るまこちゃんに冷蔵庫からペットボトルの水を渡すとごくごくと喉を鳴らして一気飲み。
「てか吃驚した、マジで。ユヅキがいるなんて。」
「ふふふ、ユヅキユヅキ煩かったーって大樹ちゃんから聞いちゃったよー!」
ニッコリ微笑むとまこちゃんが真っ赤になる。そんな姿が堪らなく可愛くて内心キュンキュンするんだけど。
だけど次の瞬間まこちゃんはスマホを片手にぶつぶつと言葉を発していて。近づいてそれを覗き込むと…
「ちょ、なんでっ!?」
「俺たちエゴサのプロだよ?言っとくけど。」
私のTwitter。名前も違うっていうのに、物の見事に当たっている。
「陸さんの歌が好きなのね。…ファンタでは堀夏くんの事、推してるのね。…樹さんのインスタストーリーとか、保存しちゃってるんだね。で、北人さんのことも、結局好きなのね。…―――浮気発覚だな、これは。」
「ま、待って!!どうして私って分かったの?」
「そんなの分かるに決まってるでしょ。ユヅキの喋り方、人への気遣い方、優しさ、明るさ…。悪いけどこのフォロワーの誰より俺が一番よく分かってるんだからね?」
…真っ裸にされた気分だった。めちゃくちゃ恥ずかしい!これをまこちゃんが日々覗いていたなんて…。
「で、俺の事はどれだけ好きか呟いて貰わないとなぁ。」
「…まこちゃん酔ってる?」
「酔ってるけど、ちゃんと把握してる。」
…可笑しいな、私のがずっと年上のはず。まこちゃんに比べたらそれなりに人付き合いだってしてきてるはず。
でも今、主導権を握っているのは私ではなく確実にまこちゃんで。
ソファーの上、まこちゃんの腕に引っ張られてそこにラッコ座りで座らせられた。
「はい、ちゃんと説明して。態度で。どんだけ俺の事好きか。」
「…え?た、態度?え?説明?」
無言で目を閉じるまこちゃんにカァーって身体が熱くなる。自分からキスってあんまりする派じゃないんだけど、ドキドキしながら綺麗なまこちゃんの顔に近づいて小さく唇を重ねる。
―――「それだけ?」へ?目を開けたまこちゃんの腕は私のお尻に触れていて。
「ユヅキの俺への好きって、そんな程度?」
「…違う、けど、」
「じゃあやり直し。」
そう言ってちょっと意地悪そうに笑うとまたスッと綺麗な瞳を閉じる。ず、ずるい!なにこれ!ちきしょー。めっちゃ綺麗なキス顔。
「失礼します。」
そう言ってまこちゃんのもち肌に手を添えると、ふってほんのり笑った。迷うこと無く唇をくっつけて、そのまま舌を入れ込むと、まこちゃんの私を抱く手に力が込められる。
「ンッ、もっと…、」
そんな言い方反則。私がどれだけまこちゃんを好きか?そんなの言葉でもキスでも足りない。いくらしても足りない。それぐらいいつも想ってる。
ギュッと抱きついてまこちゃんの舌を存分に絡める。甘いリップ音と2人の心地よい吐息が混ざって身体の芯から熱くなる。下唇をハムって甘噛みすると、やっとまこちゃんが目を開けて私をギュッと抱きしめる。
「伝わった?」
「うん、すげぇ。」
「よかった。」
ふふふって笑ってまたまこちゃんを胸に抱きしめた。
でも、毎日浮気チェックするからね。