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後夜祭のダンパはさすがに踊れないって、2人で誰にも気づかれないように抜け出したものの、
「鳴ってるよ、スマホ。」
ジャケットのポケットにしまってあるiPhoneのバイブがさっきからブーブー鳴っていて…。
剛典とか、健太じゃないよね?
恐る恐る画面を見ると【ゆき乃しぇんぱい】って文字にホッと胸を撫で下ろす。
「しぇんぱい?」
【ネコ今どこよー?深堀と抜け出したでしょ?】
「え?うん。だって、」
【ご飯食べよ、一緒に。私も連れてくからさ。】
…連れてく?…あ!!!!
「ねぇしぇんぱい、まさか奥田力也と付き合ってる訳じゃないよね?」
【まさか付き合ってるわよ。ね?】
微かに聞こえる奥田力也の笑い声。
やっぱり冗談じゃなかった。ほんと、だったんだ。
「ネコ知らなかったよう。しょぼん。」
【はは、ごめんごめん。でもさすがに私も言いずらくて。】
「ちぇー。あーじゃあさ、未来くんに剛典とのこと教えたのって?」
【…俺や、俺。】
聞こえた奥田力也の声に苦笑い。
「しぇんぱい、どっちかって言うと、奥田力也より砂田くんのが好きじゃなかった?」
なんかちょっと悔しくて。当たり前にそばにいるみたいな2人が。
【ちょ、それほんまに!?ゆき乃ちゃん、俺よりマサのが好きやってん?】
け、ざまみろ、なーんて。
【こらネコ、リッキーに余計なこと言わないでよぅ、もう。すぐ拗ねるんだから…。でも可愛いー!】
ちょっと待って。
電話越しでイチャイチャしないで!
ムゥって未来を見ると、さすが不良高の生徒。
煙草を咥えてスマホを弄っている。
えええええー!!!!
「未来くん!」
わたしのこと、ほおっておかないで!!
そう言おうとしたら、「早く切って。キスできないでしょ?」…蕩けそう。
「しぇんぱい、もーちょっとイチャイチャしたいからごめんね!」
【えっ、ネコっ!?こら、】
通話終了ボタンを押すとスマホをベッドの下に投げた。
未来が煙草を揉み消してペットボトルの水を口に含むとそのまま覆い被さってわたしにキスをしながら水を流し込んできた。
ゴクリと未来からの水を飲み込むと、鼻の頭にちゅって小さなキス。
「やっと俺だけの朝海ちゃんだ。」
「ずっと未来くんだけのものだよ。」
「俺も、朝海だけのもん。」
ふわりとベッドに倒されてまた幸せな時間の始まり。
こんなに一瞬で心奪われる事があるんだって。
全部全部、未来が教えてくれた。
「あ、今日わたし誕生日!!」
「え!?マジっ!?」
「ちょっと忘れてた。」
「なにそれ。まぁいーや、とりあえず俺、あげる。」
「それ一番嬉しいから!」
―――――立花朝海、本気の恋、見つけました。
*END*