星の観察

 部活が終わって一息ついたわたしは部室の戸締りをして外に出る。今夜もピンク色の空がゆっくりと闇にのまれていく…
 部室棟の脇を抜けて駐輪場に向かうさなか、どこからともなくパシャパシャと涼しげな水しぶきの音が聞こえてきた。もう運動部も全て終わっているはずなのに。そもそも水部って確か今日は大会だったよね?だ、誰…!?急に得体のしれない寒気がする。こういうのって本当は見ない方がいいんだろうけど、何故か気になってわたしはそっと水部のいないはずのプールを盗み見た。綺麗なフォームでやっぱり誰かが泳いでいて…
「誰よ、」
 軽く胸騒ぎを抱えつつ、プールサイドに立って水面を覗いたんだ。
 …あ、なんだ。ホっとして持っていた荷物をそこに置いた。なんとなくそのまま帰らずそれを眺めていると、不意に水面から顔を出してこっちを見た。
「え、名前ちゃん!?」
「こらー。水部がいないからって!」
 わたしの言葉に「やべ」って顔を歪ませた後、「すいません」なんて素直に謝る。
 いつもはきちんとセットされた髪が今は濡れてペタンとオデコに纏わりついているリョータは、普段より色気を纏っていて内申ドキドキしているのを隠す為にニコリと微笑めば、そんなわたしを見上げて優しく笑い返してくる。
「名前ちゃんも一緒にどう?」
「…へ?わたし、も?」
「うん!一緒に泳がない?めっちゃくちゃ気持ちいよ」
「いやでも水着も替えも持ってないし」
「じゃあ足だけでもさ!ね?」
 そう笑ってプールサイドにあがってきたリョータはなんていうか目のやり場に困る。運動部だからって事でもないんだろうけど、我がバスケ部の奴らはみんなストイックに身体を鍛えている。
 小柄なせいか線が細く見えるリョータがこんなにすごい腹筋だったなんて知らなかった…。いやよくユニフォームに着替えたりするのにシャツを脱いだりしていたけれど、マネージャーだからってまじまじと見たことなんてなくって…だからなんていうか…――無駄に緊張するんだけど。
「そういえば、恋愛禁止解除になったね」
 それをまた隠す様にリョータから視線を逸らしながらふと頭に浮かんだそれを言葉にした。つい最近までバスケ部は諸々の事情で代々恋愛禁止を貫いてきた。だけれどそれもわたし達の代で終わらせようってことになった。それまで恋愛に踏み出す事のなかった部員達もみんな急に恋愛開始しちゃってて…ちょっとおいてきぼりを食らっているのは事実だった。
「ね。三井くんなんてモテちゃっててなんか腹立つ」
「それって三井さんのこと気にしてるってこと?」
「え?」
 どういう意味?ってリョータに視線を向けると、真っ直ぐにわたしを見ていて。いつも優しいリョータの柔らかい表情がほんの少し不機嫌そうに見えた。キリッとした眉毛がほんのり斜めに下がっていて、そんな顔するんだって胸が熱くなった。
「三井さんと仲良いよね、名前ちゃん」
「…それは同じクラスだし部活も一緒だから、だけど?」
「ほんとにそれだけ?」
「…リョータ?」
 トクントクンと音を鳴らす心音がリョータの瞬き一つでバクバクと激しく鳴り響く。無言でリョータを見つめ返すわたしに、プールサイドにかけた彼の手が足元の水をチャポンと揺らした。
「俺、もう一泳ぎしてくる」
 沈黙に耐え切れずだろうか、リョータがプールに飛び込む。水部でもないのに綺麗なフォームで50メートルをクロールで進むリョータの水しぶきを浴びて、着ていたTシャツが思いっきり濡れた。
 …わたしが気になっている相手は、どちらかというと三井くんではなくリョータの方だ。恋愛禁止が解けた今、わたし達を止めるものも縛るものも何一つない。たぶん今ってチャンス到来ってことだよね?昔から正直水が苦手なわたしだけど、ドボンっとプールの中に入った。思いの外深いそこに慌てて手すりに掴まった。けれど次の瞬間、ふわりと後ろから支えられて…――「リョータ?」…「捕まえた」耳元で聞こえた鼻にかかった柔らかい声にドキンと思いっきり心臓が高鳴った。
 真後ろに感じるリョータの温もりに心臓が飛び出そう。でもくるりと反転したそこ、濡れた髪から雫を滴り落とした少し紅い顔のリョータが緊張気味にわたしを見ている。ゴクって生唾呑み込むリョータの顔は緊張している様で、それが超絶可愛くてクスリと笑ってしまった。リョータが何を考えているのか手に取るように分かってしまう。
「ちょ、名前ちゃん?」
「ごめん。だってなんかリョータの緊張が伝わってきて…ちょっと可笑しい」
「…笑うなよ〜ずりー。てか名前ちゃん無防備じゃない?」
「それリョータが言う?」
「え?俺も、か」
 そっとリョータの頬に手を添えると、今の今まで白い歯を見せて笑っていた顔が途端に真顔になる。まるで吐息をなぞるかのようにわたしを甘く見つめるリョータに小さく息を呑む。瞬きする睫毛すら触れ合えそうな距離で「リョータ…」小さく名前を呼ぶと「名前ちゃん…」至近距離でわたしを呼び返したリョータの頬に軽く唇を押し付けた。そのまま角度を変えてリョータの半開きの唇に小さく自分のを重ねる。胸の奥がキュンとして心臓がトクトク音を立てているのが分かった。
 ちょっとだけ離れるとポチャンと水音がして、それがなんだか余計に気持ちを高ぶらせているように思えた。無言で見つめ合うと、リョータの腕がわたしの腰に回されてグイッと引き寄せられる。
「もっと」
 掠れたリョータの声にビクンと身体が反応する。キスをけしかけたのはわたしのはずだけど、いざこうして肌を触れ合わせるとリョータの方が上手で。やっぱり男なんだって思えた。
 甘く唇を重ねるリョータが、ゆるりと舌先でわたしの唇をこじ開けた。ほんの一瞬「んっ」小さく漏れた声に反応するようにリョータの舌が唇を割って中に入り込む。なんともいえないその感触に、リョータの腕に手をかけるとグッて強く抱きしめられて。舌をちゅって吸い込むリョータにまた甘い声が漏れる、何度も、何度も。
「リョ、タ…」
「名前ちゃん俺…止まんねぇっ、はあっ」
 おデコをコツってくっつけて腰に両腕かけるリョータは、水の中でゆっくりと歩いて壁にわたしを追い込んだ。ちゅって頬にキスをするリョータの首に腕をかける。止まらないのはわたしも同じ、かも。
「リョータ…好き」
「俺も好き。いや、俺のが好き」
 プールの壁に背をつけてリョータがわたしの首に舌を絡ませた。首元に触れるリョータの髪の毛がくすぐったくて、ふと見上げた空には星が瞬いて見えた。さっきまでピンク色だった空は、いつの間にか陽を落としていて、真上に広がる漆黒の空の下でわたしとリョータの熱い息遣いが静かに鼓膜を刺激する。動く度に響くポチャンって水音に紛れてリョータの舌がわたしの肌を滑る甘いリップ音すらも今はBGMと化している。絡み合う視線と吐息。目の前のリョータがいつもの優しいリョータではなく、オトコの顔になっている事に感情が高ぶって堪らない。
「これ脱がせたい」
 首筋にキスを落としながらもリョータの手がTシャツの上から胸に触れていて。柔らかく円を描くように揉まれていた心地良さに目を細めた。
「んっ、いいけど…もっとキスして」
「その顔反則」
 リョータの両手がわたしの両頬を包むように触れて視線が合う。ちゅって一度触れ合うだけのキスをした後、唇を食べるようにはむってされて、何度かそれを繰り返しながら時々舌を緩く絡ませるリョータ。口内に舌がニュルリと入り込む度にキュって心臓が締まるような感覚がして、それがたまらなく気持ちがいい。
 ゆっくりとキスを繰り返しながらもわたしのTシャツを捲り上げるリョータに合わせてバンザイをしたらそれを首から抜かれた。勿論ながらブラを付けてるだけ。リョータが肩紐を指で摘むとチラリと視線を合わせる。
「この下が欲しいな、俺」
 …見たい、じゃなくて、欲しいなんて口にするリョータはちょっとずるい。そんな事を言われたら「あげる」ほら…わたしだってそんな風に返してしまう。嬉しそうに笑ったリョータは、肩紐をスッと下に下ろしてそのままちょっと強引にわたしの唇をキスで塞ぐ。舌を絡みとられて熱い吐息を一つ零すわたしに「名前ちゃん可愛い」って緩く頬を撫でた。
「んぅリョータ」
「ほんっと可愛いよ名前ちゃん」
「んっ」
「好きだよ名前…」
 そんな言葉と共にブラをお腹までさげた。急に空気に触れてカァーって恥ずかしくなる。つわになった胸を手で包み込むリョータ。
「…やべぇな、すっげぇ柔らかい」
 スタミナのあるあるリョータの息遣いが荒いの興奮のせいだって分かる。大好きなリョータに胸を揉まれてわたしだって興奮しないわけがない。こんないつ誰が来るか分からない学校内の人気のないプールの中で、色黒のリョータの頬がそれでも紅くなっているのが分かる。そして、興奮状態のリョータの下半身が確実に硬くなっているのがわたしにも分かってしまう。だから…
「リョータ恥ずかしい」
「綺麗だよ名前ちゃん」
「そんなこと、ずるい」
 カァーってまた紅くなるのが分かる。ニッて笑った後、リョータの顔が胸に近づく。ピンとたった尖端を指で枠付けながら、舌でそれをちゅうっと吸われて「んあっ…」さっきまでとはまた違う、一段階上の快感が身体を突き上げる。リョータの舌が胸の突起をペロリと舐める。周りを縁取ってまた舌で吸い込む。その動作を何度も繰り返されて脳内が真っ白になりそう。
「んうリョータっ…」
「うん?」
 自分から気持ちいなんて言葉口に出せなくて、潤む瞳でただ見つめると、起き上がってちゅって小さくキスをした。コツってオデコをくっつけて「気持ちいいでしょ?」なんて聞くやっぱりなずるい奴。まるでわたしの心を読みとっとたかの様なその言葉に小さくリョータを睨む。
「なんかリョータ、慣れてない?」
 だから悔し紛れにそう言うと、途端に耳まで真っ赤になって口元を手で隠した。こんなに照れたリョータの表情は今までで始めてだ。
「こんなこと、慣れてるわけないでしょ…」
「ほんとお?」
「ほんと」
「ふふ、じゃあわたしが初めて?」
「うん。初めて…」
「じゃあこの腹筋は?なんでこんないい身体なの?」
「それは別に俺だけじゃないよね?他の奴らもみんな同じだよ」
「あ、そっか。地味にみーんな腹筋割れてるよね、うちの部」
「あの名前ちゃん…」
「なあに?」
 水中で手首を掴まれたわたしは、そのままリョータの覚醒しつつあるそこに手をポコっと当てられた。見つめるリョータはやっぱり照れたように頬を紅く染めていて。
「これどうしよう?」
 そう困ったように笑った。無言でリョータの腰に手を添えると「はぁっ…」聞いたことのない声色を漏らして瞬きを繰り返す。想像もしていなかったその声がもっと聞きたくて、わたしはリョータの首に左手をかけると、そのまま右手でソレをボクサーパンツの上から触って同時に口づけた。
「んん―――っ!!」
 ぶるぶると腰を揺らせながら、キスの合間に漏れるリョータの甘い吐息にテンションがあがる。そのまま舌でリョータの首をペロリと舐めると「待っ…」声にならないリョータの言葉にニッコリ微笑んだ。
 プールサイドに座らせたリョータのボクサーパンツをゆっくりと脱がす。初めて見るそれはモリっと斜めにそそり勃っていて…指で触れると「あーっ…」またリョータから甘い声が漏れた。
「どうされたい?」
 後ろに手をついて大きく波打つ腹筋と呼吸。目を細めてわたしを見ると半笑いで「…舐めて」って可愛いオネダリ。その照れた顔と掠れた声になんともキュンとしてわたしはそれを指で掴むと、徐ろに口に含んだ。途端にビクンと肩を震わせた後「ああぁっ、やばい…っ…」力が入っているのか、リョータの腹筋がぽこぽこ動いている。ちゅって先端にキスをすると、またビクンっとリョータが呼吸をする。下から上目使いでリョータを見つめると「…えろいよ名前ちゃん…」苦し紛れに小さく笑った。
 気持ちよさそうに天を仰ぐリョータがどうにもこうにも可愛くて、そのまままた口に含んで上下に擦る。肩から上半身を動かして何度となく上下に舐めるわたしに「名前ちゃん待って!」リョータの力の入っていない手がそっとわたしの頭を止める。
「はぁ、マジでイきそ…」
 涙目で大きく身体を揺らすリョータがゆっくりと呼吸を整えると、勢いよくプールに飛び込んだ。ギュっと抱きしめられて「もう、えっち!」そんな言葉と同時、甘いキスをされる。舌を舐めながらリョータの手が胸の突起をギュンって摘まんで水中で揉むと今度はわたしから漏れた声。
「俺の番!言っとくけど名前ちゃんのこと、気持ちよくさせるから、覚悟しといてよ」
 親指と人差し指を目の前で厭らしく舐めると、その手でわたしのハーフパンツの上から撫でるように触ってくる。
「あ、なんかこれじゃよくわかんねぇかも」
 小さく笑うとリョータはわたしをガバリと抱き上げて、さっきのリョータみたいにプールサイドにわたしを座らせた。そのまま勢いよくハーフパンツを足から引き抜くと、下着一枚になったわたしを下から見つめてニカって嬉しそうに白い歯を見せた。
「そっから見える星さ、めちゃくちゃ綺麗だよ」
「え?あっ…リョータっ…」
 うん星綺麗なのわたしも思ってた。今日は雲がないから余計に星が瞬いて見える。月も欠けていてそれ程明るくはないから星が目立って綺麗。でも今はそんな事を悠長に思っている余裕なんてない。というか初めてでこれだけリードできれば上等だって思えるぐらいリョータは器用にわたしの下着も腰から抜いた。片足をスイっと抜いて、色んな意味でびしょ濡れの下着をゆっくりと反対側の足からも外す。
「乾くまで穿けないね」
 楽しそうに笑いながら無邪気にそう言うと、さき程厭らしく舐めた指で飛騨に触れる。そのまま指すら入っていないそこに、ジュルリと唇で吸い付いた。と同時に奥に舌を突っ込んで膣内の壁をやんわりと舐めとる。なんともいえない感触と快感にわたしの脳内は真っ白で、恥ずかしいくらいM字に開かれた脚がプルプルと震えてしまう。
 執拗に膣内を舌で攻めつつ指で回りの花弁に触れて、手前の突起を触ろうもんならわたしの呼吸が激しく乱れる。聞いたこともないような声が身体の芯からこみ上げてきて、物凄い恥ずかしい恰好だっていうのに下半身からくる快感に耐え切れず漏れる吐息と声に、ポチャンって水音に紛れてリョータが吐き出す荒れた吐息がやけに鼓膜を刺戟する。
 リョータに言われた通り、見上げた漆黒の空には星が瞬き始めていて、このアンバランスな世界から見上げる星空は最高に美しい。
「どんどん溢れてきちゃうよ、名前ちゃん」
 太腿から膝、ふくらはぎ…からゆっくりと足の指まで口に含むリョータに「やぁ、汚いって…」乱れながらもそう言うも「汚くないって、名前ちゃんだもん」なんて言うんだ。二本指で膣内を混ぜながら、親指で突起をクリクリされて身体がビクつく。
「あんっ、はううっ…、りょ、たぁ…、イッちゃ…、」
 言葉にならない声にリョータが指を引き抜いて舌をズイっと奥まで突っ込む。そのままジュルルルルルって股に顔を埋めて奥まで吸い上げると、脳内が真っ白になって意識が遠のいた―――…

「大丈夫?痛かった?ごめん俺…」
 プールサイドで後ろにぶっ倒れたら、慌ててリョータが上がってきて抱き起された。涎垂れてんじゃないかってくらい口を開けて呼吸を繰り返すわたしは喉がカラカラに乾いていて。生理的な涙がポロリと流れてぐったりとリョータに寄り掛かる。
「名前ちゃん!?」
「ちょっと待って…苦しい…」
「マジでごめんね、無理させて」
「もっとギュってして…」
「うん」
 ちゅって頬に耳に髪に何度も小さなキスをしながらリョータが不安気にわたしを見ているのが心地よくて、漸く呼吸の整ったわたしはそのままリョータの首に腕をかけてキスをせがむ。ちゅって一瞬唇が触れ合うと目を見開くリョータ。
「名前ちゃん?」
「めちゃくちゃ気持ち良かったの。もうわたしよりリョータのがよっぽどえっちだよ〜」
「…え、絶対名前ちゃんのがえっちだって。てか身体痛くない?大丈夫?」
「うん。でもこれ以上はゴムないし、ちょっと休憩したい」
 わたしの言葉にハッとした後、あきらかに落胆してしょんぼり肩を落とす可愛いリョータ。ここまできてお預けくらったリョータが心底残念そうな顔をしているのが笑える。わたしだってもうこのまま致してしまいたいけれど、挿入している間にもしも誰かに見られても逃げ場なんてない。まぁ今の時点で逃げ場なんてとっくにないけれど。
「あークソっ!誰かに貰っとけばよかった」
「でもここじゃ背中痛くなっちゃう」
「あ、そっか。そうだね」
「リョータ…あの、わたしのこと…好き?」
 今更だけど、付き合おうって言葉は彼の口からもわたしの口からも出ていない。先にこんなことしてしまった手前、それでも女は確信が欲しい生き物で。わたしを見てニッコリ微笑むとギュっと抱き寄せて「ごめんね、色々順番が違って。めちゃくちゃ好きだよ名前ちゃんが。マジで大好き。だから俺と付き合って欲しい」…照れてふにゃって笑うリョータに笑顔で頷いた。

 ◆◆◆

「なぁ知ってる?水部がいねぇ時、あのプールでどっかのカップルがヤってたらしいって…」
 夏休み後半。
 花火大会を目前にしてそんな噂が飛び交っていた。三井くんが部室で大股開いてソファーに座りつつガリガリくんを頬張りながらそんな言葉。
「しかもさ、その日練習してたの俺らバスケ部と、陸部だけってね。こん中にいるかもしれねぇ」
 他の部員が一人一人の顔をジっと見つめてくるから目を合わせないようにスっと席を立つ。
「え、まさかお前らじゃねぇよな?」
 いぶかしげな三井くんの声に振り返ると、まさかの同じタイミングでリョータが席を立っていた。
「違うわよ、御冗談を。誰が青姦なんて…」
「名前、それ今あんま言わねぇだろ、青姦って」
 若干の呆れ顔の三井くんにそう突っ込まれたけど、見る見るリョータの顔が紅くなっていく。
「は、宮城お前ェ顔紅くねぇ?」
 三井くんに下から見上げられて突っ込まれるリョータは「紅くないでしょ、ね?」苦し紛れにわたしを見る。…だけど駄目だ、書いてある。残念なことにわたしでさえ分かってしまう、リョータの慌てた顔色。
「な、マジで!?」
「三井くん煩い!ちなみにだけど、わたし達がしてたのはえっちじゃなくてただの星の観察だから。行こリョータ!」
 手を伸ばすとふわりと包み込む大きなリョータの手。後ろで騒ぐ部員達を無視して部室から出た。
「バレてないよね?」
「バレてるわよ、リョータの顔に全部出てたもの」
「うそ、マジで!?」
 大袈裟に驚くリョータの手をキュっと握りしめると「今日帰りリョータの家、寄ってもいい?」耳元で囁くと真っ紅な顔で「勿論!」嬉しそうに笑った。