君を独り占め

 コロンと肩に感じる温もりにドキッとして俺は彼女の方を向いた。今しがた俺の肩に頭を寄せてきた雪乃さんはアルコールのせいでほんのりと頬を赤らめていて、甘い香りがする。
 観たい映画があるからって俺の部屋で宅飲みしながら映画を観ていたら、急に雪乃さんの温もりが落ちてきて、内心心拍数があがっていくのがわかる。
「眠い?」
 そう聞けば雪乃さんはコクンと頷いた。今日泊まってくれるってことか?
 付き合ってはいない。いないけど、雪乃さんの気持ちはある程度分かっている。勿論俺もその気で毎回誘っている。今日もあわよくば…って下心がない訳じゃない。タイミング的にそろそろ想いを伝えようと思っていた為、準備はしていた。
「ゆーせー」
「ん?」
「抱っこ」
「え?抱っこ?」
「ん。ぎゅーして」
 言いながら横から俺に身体を寄せてくる雪乃さんがめちゃくちゃ可愛くてやべぇ。酔ってるからってのもあると思うけどこんな雪乃さんは初めてだ。俺はくるりと身体をほんのりずらせて雪乃さんの背中に腕を回した。初めて抱きしめた雪乃さんは想像以上に柔らかくて心地が良い。肩まで伸びた赤みがかった髪を撫でると雪乃さんは俺の背中に腕を回した。胸が密着して更にやべぇ。理性飛びそう…
「雪乃さん?」
「うん」
「や、なんてゆうか、理性が…」
「んー?なぁに?」
 このタイミングで顔を上げた雪乃さんはそのまま上目遣いで俺の事を見てくる。酒で潤んだ瞳と甘ったるい香りがなんとも言えず俺の全神経を突いてくる様だ。
 全くこの人はたぶん、いや絶対確信犯だろ。だって柔らかな頬に手を添えれば口端を緩めて笑う。
「…ちゅーしたい」
 ダメ元で出た俺の言葉に雪乃さんは嬉しそうに笑うんだ。頬に触れた俺の手に雪乃さんの手が重なってそのまま目を閉じた。これはイエスって事でいいんだよね?言葉じゃなくて態度で示したって事だよね。
 触れていない方の手で雪乃さんの腰を引き寄せて俺は覆い被さる様に距離を詰めて美味そうな唇にちゅっと触れた。
 柔らけぇっ!!なにこれ、女の子の唇ってこんな柔らかかったっけ?そんな事を思ったものの、雪乃さんからもう一度唇を重ねてきた事で俺の脳内はもう、目の前の雪乃さんで埋め尽くされた。
 ベッドに寄りかかる俺の上に座った雪乃さんが普段誰にも見せない女の顔で俺を覗き込んだ。
「勇征…」
「ん?」
「なんか言うことある?」
 …告れって事だよな、これ。まぁ先にちゅーしちゃったんだけど。でもやっぱ俺の気持ちは伝えたい。ぎゅうって雪乃さんの腰を抱きしめて俺はニッコリ笑った。
「なんて言われたい?」
 途端に雪乃さんの唇が尖って眉毛が下がった。あは、めっちゃ可愛い。雪乃さんも俺が好きだって事は分かってるはずで。みんなに散々早く付き合えって言われてきた俺等だから、もう好きって言うだけでこの関係が変わる。
 手繋いでも怒られない、抱きしめてキスしても怒られない恋人に俺はなりたい。
「誰にでもキスするの?勇征は」
「まさか。雪乃さん以外にはしないよ」
「ならちゃんと言って」
「はは、ごめんね。マジで大好きだよ雪乃さん。俺と付き合って」
 待ちわびていたって顔で雪乃さんは又より一層嬉しそうに笑った。
「雪乃も好き。勇征が大好き。付き合ってあげるね」
 どんなに上から来られても構わない。相手が雪乃さんなら。それ以上に俺はこの人を独り占めできると思うとたまんねぇ。柔らかな髪を耳に掛けて隠れていた耳に口づける。ちゅうっと耳朶を吸い上げて甘噛みすれば、雪乃さんの口から聞いたことのない吐息がもれた。
 理性のタグが外れるなら今このタイミング以外にない。俺は背中の腕で雪乃さんを引き寄せると、もう一度今度はさっきみたいな触れるだけじゃないキスで翻弄してやる。
「めちゃくちゃ大事にするから。俺以外の男の事、見ないで」
「んっ、見ないよっ…」
 耳穴に舌を絡ませながら逆側の手で雪乃さんのニットの上から胸に触れた。もう、すぐ後ろのベッドですら移動する余裕なんてない。ここで雪乃さんを抱きたい。
 首の後ろに手をかけて、頭と身体がどこにもぶつからない様にクッションの上に押し倒した。髪が床にサラリと垂れて、雪乃さんが大きく息を吸い込んでいる。
「このまま俺だけのものにしてもいい?」
 雪乃さんは少しだけ顔を歪ませて小さく吐き出した。
「そんな言い方ずるい。イエス以外の答えないじゃん」
 自分じゃそんなつもりはないけど、無意識で選択肢の無い問いかけしてんのか、俺。
「本音言っただけだよ…」
「いいよ。雪乃も、勇征を独り占めしたい」
「いやそれのがずるいっしょ」
 やられたって顔で雪乃さんの唇を割って舌を絡める。カルピスサワーの味のする雪乃さんの口内は熱くて甘い。遠慮がちに逃げようとする舌を捕まえてじゅるりと吸い上げると、ハァッと又吐息をもらした。それたまんねぇ。自身のソコが熱く熱を帯びて硬くなっていくのが分かった。ザラリと雪乃の首筋を舐めながらピンク色のニットの中に手を入れる。熱く火照った肌はどこよりも柔らかく、谷間を指でなぞると雪乃さんが腰を浮かせる。
「直で触ってもいい?」
 マジ余裕ねぇ。「いいよ」雪乃さんの心地良い声を耳に俺は直ぐ様背中のホックを外す。そのままニットごとずり上げて首の所まで持っていき、ピンと勃っている胸の頭頂を指で転がす。
「んっ…ふうっ…」
 気持ち良さげに目を閉じる雪乃さんの白い肌はすべすべで触り心地も最高。もう吸い込まれる様に俺は焦らす事もできずに雪乃さんのピンク色の尖端に舌を絡めた。少し硬くなっているそれを舌で何度も舐める。ちゅるりと全体を吸うと雪乃さんが腰をくねらせて俺に手を伸ばした。
 いやもう、それもめっちゃ可愛いから。
「可愛い。好きだよ雪乃さん。…もっと俺を求めて」
 俺の言葉に雪乃さんの腕が伸びてきて首の後ろで交差させる。引き寄せられる様に雪乃さんの上に乗っかったまま舌を絡める。熱い雪乃さんの口内。二人の唾液が混ざり合って触れ合う音と共に口端から垂れる。それをぺろりと甜めとると、トロンとした顔で雪乃さんが俺を見上げた。
 胸の尖端を揉みながら俺はするすると手を太腿に移動させて、スカートの中に触れた。汗ばんだそこから脚の間をぬって下着に触れる。ツーっと一度なぞってみれば、雪乃さんが「あぁあぁあぁあぁっん」声をあげた。
 俺はキスで雪乃さんの口を塞ぎながら手を下着の中へ入れ込んだ。ぴちゃりと水音を響かせるそこは燃えるように熱く濡れていて俺の指を簡単に呑み込む。「んうっ」キスの合間で漏れる雪乃さんの声に俺の下半身も更に硬さを増していく。中指と人差し指二本共子宮の奥まで入れ込んで第一関節をほんのり曲げて壁を擦ると雪乃さんのキスから力が抜けるのが分かった。
 それでも指を止めることなく動かし続け、口内も舐め取りながら指も動かしていくと、直ぐに雪乃さんが首を振る。
「ゆぅせぇっ、イッちゃうっ」
 そんな涙声が俺に届くけど、どっちも緩めたくない。「いいよイッて」素早くそう言ってまた舌を絡める。雪乃さんの腕が俺の背中を何度も行き来して、俺の舌から逃げ惑う雪乃さんはそれでも腰を揺らせていて。肩を大きく上下させて呼吸を繰り返す。もはやびっしゃびしゃな子宮の中。手前の突起を親指の腹で擦るといよいよ雪乃さんが抵抗してくる。そのまま高速で子宮内の指を擦れば、雪乃さんは「んううっ―――」俺にキスされながら、激しく腰を震わせて達する。それと同時、指を入れている子宮内からドロっと愛液が流れ出てきた。
 びくびくと身体を震わせた雪乃さんを見て俺は優しく乱れた髪を整えた。
「勇征のドS。頭真っ白なんだけど…」
「気持ちよくなかった?」
 鎖骨らへんに顔を擦り付ける雪乃さんを抱きしめてそう聞けば、雪乃さんはほんのり顔を上げて俺を見ると、頬を赤く染めながら小さく呟いた。
「最高に気持ちよかった。ずるい!」
 って。してやったりじゃない、俺。嬉しくなってそのまま雪乃さんを更に抱きしめた。スルスルとゆっくりと降りてきた雪乃さんの手が、俺のボクサーパンツの上で止まる。見なくても分かるはち切れ具合。自分でも笑える程でかくなっている俺のソレ。自慰する時でもこんなになんねぇだろってくらい興奮状態の自分に笑いつつも雪乃さんの手が、パンツの上から形を縁取る様に厭らしく触れる。
「もう挿れたい?」
「挿れたい」
「即答じゃん」
「だって。つか当たり前、好きな女抱いてんだよ。今俺、人生で一番興奮してるわ」
 なんとなく雪乃さんがキュンとした顔になった気がする。色々考えるの得意じゃないから感じたまま言葉にしちゃうタイプだけど、そーゆーのって、女の人は嬉しいのかもしれない。
 雪乃さんからのキスに、俺はそそくさと着ていた服を脱ぎ捨てて予めいつかの為にって購入しておいた避妊具を開封。あーやっとお前に会えた、めっちゃ嬉しい。ヌルっとしたソレを俺の先端に被せてスルスルと下まで装着。ぽーっとしている雪乃さんに跨ってM字に開いた脚の付け根に俺のを擦り付けた。
「勇征っ好きっ」
 潤んだ瞳でそゆこと言うのずりーわ。柔らかな髪を撫でてそのまま口づける俺の背中に腕を回してぎゅっと抱きつく雪乃さん。
「俺も愛してる」
 好きより重たい言葉で雪乃さんを独占する俺は、かなり嫉妬深い男だと思う。いざ雪乃さんの中に挿入りこむ俺に、心底気持ち良いって顔で小さく息を吐く雪乃さん。そんな顔、絶対に俺以外に見せないで欲しい。俺の下で熱い吐息をもらして喘ぐ雪乃さんを、絶対に誰にも見せたくない。
 最奥まで到達した俺は一度力を抜いて雪乃さんを抱きしめて舌を絡ませる。そのままゆっくりと腰を回すように動かし始めた。
「んっ…んううっ」
 舌を絡めながらももれる雪乃さんの声。身体の曲線をなぞるように手で触れると雪乃さんが「あんっ…」唇を離して喘ぐ。耳元で「どこが気持ちいの?ここ?それとも、こっち?」俺を締め付けてくる子宮内の至る所に擦り付けて反応を見る。奥に届くと雪乃さんの声が大きくなっているから最奥が最も気持ちいい場所なんだと思えた。
「んっ、ふうっ、そこぉ…」
 案の定、俺のが奥まで届いた時にそう言う雪乃さんは頬まで赤く染めて死ぬ程可愛い。俺ので気持ちよくなって妖艶な表情で見つめられてドキッとしてしまう。いつも笑顔で可愛い雪乃さんのこんな淫らだな姿を前に子宮内の俺が更に大きさを増した気がする。
「やばい…イキそう…はぁっ…」
 さっきから雪乃さんの締め付けが凄くて俺のももう限界寸前だ。ゆっさゆっさ俺の下で乱れる雪乃さんは色っぽくてマジでやばい。ずっと手が届きそうで届かなかった雪乃さんが今、俺の腕の中で無防備に喘いでいて、それが快感以外の何でもない。こうして繋がっている今、やっと雪乃さんとそーゆー関係になれたんだって嬉しくて…
「イっていい?」
「んっ、雪乃もイくっ」
 次の瞬間、きゅうううって雪乃さんの中が思いっきり締め付けてきて、俺のを刺激する。どくどくと熱く血が行き来しているのが鮮明に分かる。あ、イクわもう…
「くっ…」
 雪乃さんの引攣けの直ぐ後、頭ん中真っ白になって、気づけば欲望を吐き出す様に、射精していた。
「大丈夫?身体、痛いとかない?」
 俺の下で肩を大きく揺らせて呼吸を繰り返す雪乃さんは、乱れた髪が唇にくっついていて、それを指で解いてあげる。
 俺を見上げた雪乃さんはふわりと微笑んで「へーき。勇征は?」
「ふっ。俺は最高だったよ」
「雪乃のこと好き?」
「大好き。俺の事愛してる?」
「うん」
「そこは愛してるじゃねぇの?」
「恥ずかしいよぉ」
「マジ可愛い。好きだよこっち向いて」
 俯く雪乃さんの耳に息を吹きかけると、ビクッと身体を揺らした。
「擽ったい〜」
「だって顔見たいんだもん。ね、ちゅーしていい?」
「だめ」
「なんで!?だめ!?」
「うそ。していいよ」
 あんな乱れた姿見せたのに今更照れる?そう思うけど、そんな雪乃さんごと俺は抱きしめてもう一度深いキスを落とした―――。