I お見舞い
「やべ遅くなった」タクシーを降りてコンビニでゼリー全種類を買った俺は名前さんの住むマンションの前で脚を止めた。受付嬢の朝海さんに名前さんの住所をしつこく聞いた俺に折れて教えてくれた。最も名前さんにはちゃんと朝海さんから一報いっている。俺が行くことはちゃんと伝わっている。後は…
「上の階に直人さん住んでるから」
朝海さんの言葉に苦笑い。直人さんの部屋にはまだ明かりは灯っていない。エレベーターに乗って7階を押した俺は逸る気持ちを抑える様に深呼吸を繰り返す。
緊張しているのは意識しているからで。エレベーターが開くと左に曲がって突き当たりを右に行くとそこに【苗字】って表札を発見した。ドアを開けようかどうしようか迷っていたらガチャリと開いて「ゆっくり休めよ」そんな声が聞こえた。咄嗟に直人さんだと思った俺は慌ててエレベーターに戻ると上の階のボタンを押す。そのまま9階まで行き降りると直ぐにエレベーターは7階で止まった。乗り込んでくるのは直人さんだろう。1階だけなら階段使えばいいのに、なんて思いながらも俺はきっちり8階でエレベーターが止まるのを見て降りた直人さんが名前さんの家と同じルートを辿るのを階段から見て家に入るのを確認してから階段で降りて名前さんの家の呼び鈴を鳴らした。
数秒してガチャリとドアが開くと眼鏡をかけた名前さんが顔を出した。わーすっぴん、可愛い。ニヤつく頬を緩ませて「ゼリー買ってきました」コンビニ袋を差し出すと「いらないって言ったのに」そう言いながらも名前さんは俺を家に入れてくれた。
「掃除とかできてないから汚いよー」
「俺しましょうか?掃除」
「やだよー。見られたくない物いっぱいあるもん」
「なになに、見られたくない物なんて」
名前さんは二人きりだと少し幼い喋り方になる。語尾をあげる喋り方は俺には可愛くしか見えなくて、それがまだツボだった。
「熱、下がったんですか?」
「全然。むしろ上がった」
「まぢ!?だめじゃん寝てないと」
「一人で寝るの嫌。りゅーじ呼ぼうと思ったけど…」
そこまで言うと名前さんは言葉を止める。俺を見てその手を伸ばした。
「勇征来るの待ってたかも…」
かも…でも何でも嬉しくて、伸ばされた手を握った俺はそのまま名前さんを抱きしめた。熱で体温の高い名前さんの肌は火照っていて、俺は名前さんの髪を撫でて額にチュっとキスを落とす。
「ベッド行こ。ゼリー食べさせてあげる」
「んー」
ふわりと腕に力を入れて名前さんをお姫様抱っこをすれば「うそっ」と俺の首に腕を回した。
「勇征、細いのに筋肉あるよね」
「あー俺そこそこ鍛えてますよ。脱ごうか?」
ゆっくりとベッドの上に名前さんを降ろしてネクタイを緩めた。名前さんは立膝して俺のYシャツのボタンを上から外していく。中に着ている白タンクの上から腹筋を触られてつい力が入る。
「ほんとだ、凄いっ…」
「もっと触って…」
「もういい。これ以上触ったら押し倒しちゃうもん」
なんだそれ、クソ可愛い。俺は疼く身体を震わせてトスっとベッドの上、隣に座って肩を抱く。そのまま名前さんの顔をこちらに向かせて至近距離で見つめ合う。熱で潤んだ瞳と濡れた唇。ほんのり赤い頬に指を這わすとびくんと肩を揺らす。
「俺にうつせばいいよ、その風邪」
名前さんの目から視線を唇に移せば小さく瞬きをする名前さん。顎に触れた指を固定させ止まった名前さんの唇にハムりと自身のを重ねると胸の奥がきゅっと鳴ったんだ。Color me