クリスマスイヴの真実の愛
「好きすぎて、泣けてくるの」
私の告白に、勇征は一瞬で全てを理解したんだろう、安堵と深い喜びの表情を浮かべた。直人さんのマンションの前という皮肉な場所で、私たちはやっとお互いの本当の心を見つけ出したのだ。
勇征は迷うことなく私の身体を強く抱きしめ返した。胸に顔を埋めると、もう涙は止まっていた。そこにあるのは失恋の痛みではなく、12年分の孤独が溶けていくような、圧倒的な幸福感だった。
「…ありがとう雪乃さん。やっと、やっと言ってくれた」
勇征の声は少し震えていた。そのまま私たちはどちらからともなく、深く、求め合うように口づけを交わした。周囲の冷たい空気も、高層マンションの廊下の照明も、全てが遠ざかっていく。
私の世界には今、勇征の温もりと、私の頬を包む彼の大きな手の感触しかなかった。
私たちは急いで直人さんのマンションを離れ、私の部屋へと向かった。
クリスマスイヴの夜。街全体が煌めくイルミネーションと幸福なムードに包まれているけれど、私たち二人の世界は、その光よりも遥かに濃密で、熱気に満ちていた。
部屋のドアが閉まり、二人の間にあった全ての壁が崩れ落ちる。服を脱がせる勇征の指先は優しく、けれど待てないほど情熱的だった。私は勇征のTシャツの裾を掴み、そのまま勢いよく引き剥がす。鍛え上げられた彼の身体が、薄暗い部屋の中で浮き彫りになる。
「雪乃さん…」
勇征は私をベッドへと押し倒すと、今度はゆっくりと、雪乃という存在の全てを確かめるかのように、甘く口づけを重ねていった。勇征の熱い肌が触れるたび、私の身体は歓喜に震える。
直人さんを想ってきた長い年月には、こんなにも切実で、魂が引き合わされるような大人な時間は存在しなかった。すべてが仕事の枠をはみ出さない、理性的なもので満たされていたから。
けれど、勇征との時間は違う。お互いの想いが抑えきれないほど溢れ出て、求め合い、確認し合う。それはまるで、12年分の渇きを癒すように濃く、激しく、甘美だった。
勇征の腕の中で、私は何度も自分の名前を呼ぶ彼の声を聴いた。勇征は優しく、そして本能のままに私を抱き潰し、気怠いほどの幸福感で私の身体を満たしていく。
時間はどれくらい経っただろうか。窓の外の喧騒が遠く聞こえる中で、私は勇征の胸に抱かれながら、やっと本物の幸せに辿り着けたのだと、静かに確信した。
そういえば今夜はイルミネーションを見る約束だったと不意に思い出し、気怠い身体を起こして、二人でコートを羽織り、真夜中のイルミネーションを見に外に出た。冷たい夜の空気が、熱に火照った肌に心地よい。
周りには、幸せいっぱいのカップルたちが肩を寄せ合って歩いている。勇征は私の手を強く握りしめ、まるで小さな子供のように嬉しそうに微笑んだ。
「見て雪乃さん。俺たち、あそこにいるどのカップルよりも、世界で一番幸せだね」
ロマンティックな言葉を交わし、私たちは笑い合った。
たくさん傷ついて、泣いた分、これからは勇征と二人で幸せに生きていこう。直人さんの結婚という運命的な出来事が、私を勇征という真実の愛へと導いてくれたのだ。
私達は再び、冷えた身体を温め合うように私の部屋へと戻った。
今日から始まる、勇征との大人で濃ゆい、甘い時間の始まり。
12月24日、クリスマスイヴの夜。私は、長かった片想いに別れを告げ、愛する人との新しい人生をスタートさせた。