名前と種ヶ島が戻ってきた宿舎ロビーでは大曲 君島 越知 毛利と大阪コンビの平、原が2人を待っていた


「名前〜!どこいっとったん!?修さんになんもされてへん!?大丈夫か!?」

まくし立てるように毛利が聞き立てているとゴンッ!と一度どこかで聞いたような音が聞こえ毛利が頭を抑え大きな体を小さく屈めて蹲っていた

「修さん!痛いですって!」
「さよか。大変やな。なら拳骨されんように気をつけるべきやろ」
「修二さん、さすがに痛そうだからやめてあげてよ…(笑)」
「いーや、今のは毛利が悪いな。お前もちょっと学ばなあかんで」
「あ、ヒラくん。と、原っぱ。2人も待っててくれたの?それともネタ見せ?お笑い代表で一緒に行くの?稽古?」
「なんでやねん!そんな代表ないわ!そして俺はおまけか!」
「いや、あったらバキューンとみんなを笑わせに行っとったな。よし、その代表なろか」
「なれへんわ!そんな代表ないっちゅーとるやんけ!」
「あ、ごめんちょっと声おっきい。うるさいわ」
「「言わせたんお前やろ!!」」
「あははっいつものやつあざーす(笑)」


名前お気に入りの平と原がいつものように笑わせてくれたことで名前に安心感が増える


「名前さん。もう心配なさそうですね」
「今日もすげえ顔してたし」
「俺も心配しとったんやで」
「何事もなく帰ってきたな」
「うん。大丈夫、ありがとう」


迎えてくれた高校生達に笑顔を見せ、お礼を言う。高校生達もその笑顔が昼間のようなどこか不安混じりの顔でないことに安心し、それぞれ部屋に戻っていった

名前も部屋に向かう。当然のようについてくる種ヶ島を名前も止めることはしない






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「ふわ〜やっぱ崖は久々に行くとちょっと遠いね」
「足下悪いから余計疲れたんやろな。ほれ、化粧落として風呂入ってき☆」
「そうする。修二まだいる?」
「おん。テレビでも見とくわ」
「了解。早めに上がるね」
「気にせんでええで。ゆっくり浸かるんやで」
「は〜い」


そう言って名前はバスルームに入っていった。疲れたやろな、今日は。マネージャーは俺たち選手をしっかり見とかなあかんし名前は選手でもあるから練習もせなあかん。毎日神経張って、今日は俺らが自主練やったから試合もしたし、だたでさえ毎日疲れとんのに崖まで行ったってタフすぎやろ。風呂も浸かれ言うたけど浸かるタイプの子ちゃうし30分もすればでてくるやろな。

「(にしても部屋寒いな。暖房入れとかな)」



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「上がったよ〜。修二も入る?」
「おかえり。着替えないし俺はええわ。あとで大浴場行ってくる」
「あ、そか」
「髪乾かしたるよ。こっち座り」
「え〜まだいいよ。暑いし」
「そんなん言うてたらまたサンサンに怒られんで。呼ぼか?」
「いや、無理。昼にも怒られたのにまたとか勘弁…」
「やろ?ほらドライヤー持ってき」
「はーい…」


床に名前が座り後ろのベッドに種ヶ島が名前を脚で挟むように座りドライヤーをかける


「あ、ねーねー」
「ん?どないしたん?」
「近々高校生vs中学生の試合やるって言ったっけ?」
「あ、そうなん?なんでまた」
「ほら金ちゃんがわたしと試合したいって言ってくれてるでしょ?報告ついでにその話コーチにしたら明日か明後日に試合組むって言ってた」
「ほ〜そうなんや。どんな試合になるんやろな」
「シングルスかダブルスかにももちろんよると思うけどわたしは久しぶりに修二のシングルスみたいな〜」
「最近俺ダブルスばっかりやからな。でもW杯はシングルスで出るって言うてたし頼めばやらせてくれるんちゃう?」
「頼めばとかじゃなくてシングルスで選ばれた試合を見たいの!」
「さよか。ならシングルス出させてもらえるようにアピールせんとあかんな☆」


ドライヤーをかけながらほのぼのと話す2人。W杯の開催国はオーストラリア。今回も飛行機に乗らない種ヶ島は船で向かうため名前達より先に日本を出発する。船では連絡が取れないため1週間弱は離ればなれになる。普段なら1週間会わないくらいなんの問題もないが今は合宿中であり毎日一緒に過ごしているため、久しぶりに離れるとなると思っているより寂しくなってしまう

普段名前はそんな雰囲気は出さないが2人になるとどうしても寂しくなる。だが名前は素直に寂しいと言う性格はしていない。種ヶ島はそれも含めてわかっているようで毎日練習や夕食が終わると名前と2人で過ごす時間を作るようにしていた


「ん。終わったで☆」
「ありがと。いっくんにやってもらったみたいにさらさらだ〜」
「サンサンと比べられんのは嫌やなあ」
「あ、ごめんごめん。今日いっくんに髪セットしてもらったときブローからしてもらったんだよ。ほら、練習後のシャワーしてのんびりしてたときに連絡来たからさ。また怒られちゃった(笑)」
「そうか、サンサンと2人きりでここにおったんやもんな」
「え?うん。ほらチークもくれたし」
「ほんま…。名前ちゃんは無防備やなあ…」
「別に無防備なんかじゃないよ。だっていっくんじゃん」

種ヶ島は名前の無防備さと自覚のなさに頭を抱えたくなったがその純粋さが彼女の魅力のひとつでもあるため、強く注意は出来ない。そこでひとつ約束をすることにした


「なあ名前。こっち座り(ひょい)」
「うわっ。びっくりした…どしたの?」

名前を自分の膝に横抱きに乗せて抱きしめる。名前も素直に抱きしめ返して次の言葉を待った

「ひとつ約束や。俺先に船で出発するやろ?1週間は会えんから1個だけ。」
「…ん」
「俺がおること忘れんといて。名前の彼氏は俺や。」
「大丈夫、わかってるよ。1週間ちょっとだよ?大丈夫だって。みんなもわかってるじゃん」
「それや」
「ん?」
「そのみんなが不安なんやって。いくらみんなが俺らの関係をわかってても俺がおらんうちに名前に近づかれたらかなわん。あいつらを信じてないわけやないで?ただな、名前は俺のやねん。ほんまは誰にもちょっかい出されたないねん。せやから約束して。名前には俺がおるってちゃんと覚えといて」
「…なんか不安にさせちゃってた?ごめんね?」

おそらく初めて聞く種ヶ島の独占欲に驚きながらなにか不安にさせてしまったことがあったのだろうかと記憶を巡らせるがいまいちわからない

「ちゃうねん。ほんまに謝ってほしいわけやないねん。俺がおらん間名前を守ってくれるんはあいつらや。でも同時に名前に1番近づけるんもあいつらやねん。せやから名前はちゃんと俺のこと考えて気持ち揺るがしたらあかんでって話しや。不安に何かなってへん」
「ん。わかった。心配しなくてもわたしは揺らいだりしないから大丈夫。もらったネックレスもずっとつけとくね」
「約束やで☆」
「はーい。……んっ」


種ヶ島と指切りをしひとつキスを落とされた。久しぶりの感覚に名前は真っ赤になりその顔を隠すように種ヶ島にまた抱きついた。ピュアな反応を可愛く思いながら種ヶ島は名前をからかう

恥ずかしいのとからかわれて悔しいのとで名前はさらに顔を紅くしベッドに潜ってしまう。そんな姿も愛おしく思えてしまうのだから末期だな、と思いながら種ヶ島は名前が寝るまで一緒にいようと大人しくなった名前の横に潜り込み、おでこにキスを落とし再び抱きしめた