Story 5
「(………………どうしてこうなった。)」
レストランが空くまで休もうと自室に向かっていた名前。自室まであと少しというところで後ろからでっかいものが飛んできた。そう、飛んできた。
「名前〜〜〜〜!!!!!!!!!!(ドンッ)」
「うわっ!!」
「名前〜(スリスリ)」
「じゅさくん…お願いだから飛びつくのやめて…自分のサイズわかってる…??」
そう。名前をみつけた毛利が飛びつき抱きしめていた
「ん〜だって名前みつけてしもたんやもん。」
「だからって飛びつかないで。もっかい言うけど、自分のサイズわかってる??わたしとの差わかってる??ん??」
「いつものことやしだんないやろ?」
「問題しかないから言ってんだけど…」
「名前昼飯は?もう食うたんけ?」
「いや、今行っても混んでるだろうから部屋でゆっくりしてから食べに行こうかなって思って。中学生は午後自主練だし高校生もでしょ?ならわたしすることないからさ。」
「ほんなら一緒に行こ!!ツキさん達先におんねん!」
「いや、だから部屋に、」
「よし、決まり〜!!行くで〜!!」
「嫌だって!!!」
「拒否権なーし!!」(ひょいっ)
「うわあっ!!!」
嫌がる名前を毛利は米俵の様に担いでレストランへと向かう。担がれてしまっては名前はどうにもできず担がれるまま気づけばレストランが目の前だった。
「じゅさくん、せめて降ろしてくれない?恥ずかしい…」
「今更なに言うてんの?ようあることやん」
「そうなんだけどさ…今みんないるんでしょ?」
「修さんおるから大丈夫やって!」
「いや、だから困るんだって…」
名前は最早戦意喪失といった感じで毛利にされるがままでレストランへ入っていった
ここで冒頭の言葉に戻るのだ
「お、きたきた!名前〜待っとったで〜!ここ座り!」
「修さん連れてきたん俺ですよ?俺の隣でもええやないですか」
「名前は俺の隣やって決まっとんのや。10番目は黙っとき」
「そんなんずるいですわ。」
「どっちでもいいからとりあえず降ろしてもらえませんかねぇ…」
毛利に未だ担がれたままの名前は周りからの注目に耐えられず毛利に言った
「お〜すまんすまん。ちゅーか名前何キロなん?軽すぎやろ」
「それ普通女の子に聞いちゃいけないワードだと思うんだけど」
「そやで毛利。名前の体重を知ってんのは俺だけでええんやで」
「そんなんずるいですわ。(2回目)」
「ずるくもなんともないし体重なんて言わないしとりあえず早く座りたいしお腹空いたからご飯持ってきていいですか。ついでにつきくんも同じテーブルにいるんだから見てないで助けてよ」
「…すまない」
「ほれ、名前。これ食べ」
一通りの文句を一息で言い終えた名前に種ヶ島は自分の前にあった食事を差し出した
「え、これ修二さんのじゃないの?」
「俺はもう食い終わったから毛利に名前頼んでこれ用意して待ってたんやで☆」
「そうなんだ。てことはわたしは見つけられたんじゃなくて探されてたのね。ありがとう。わたしの好きなのばっかりだ〜」
そう言って名前は種ヶ島の隣に座る。4人掛けのテーブルで種ヶ島の前には越知が座っており毛利は必然的に名前の前の席に悲しそうな顔で座った。犬なら耳がペタンと垂れたような表情だ
「別に隣じゃなくてもこうやって顔見れるからいいでしょ?」
「隣に座りたかったんやもん…」
「じゃあ夕飯の時は隣に座ろう?それでいいでしょ?」
「ほんま!?約束やで!」
「うん。(相変わらず大型犬みたいだなぁ)」
そんなことを考えながら種ヶ島が用意してくれた食事に手をつける名前。それを見つめる種ヶ島
「……………食べないなら練習いったら?」
「ん〜?名前が食べ終わるの待ってんねん。午後誰かと打とうと思ってんねやろ?俺が相手したろうと思ってな」
「あ、ほんとに?誰に頼むか迷ってたんだよね。助かる」
「え!名前試合するん!?俺もしたい!」
「ちょっと!声おっきい!」
昼食時のレストランにはもちろん中学生達もいるわけで毛利も声を聞いた数名が反応してしまった
「え!!!!姉ちゃん試合するん!?ワイとも試合しようや!!」
「名前、試合するなら俺ともしてほしいな」
「名前ちゃんと試合できるなら俺もお手合わせ願いたいなぁ」
「えっ……。あー、でもわたしあんまり試合しないから…それに今日も試合じゃなくてただ打ち合うだけだよ…?」
滅多に試合をしない名前が試合をする、その声に遠山、幸村、白石が毛利の声に反応し試合を申し出た。だが名前は合宿所のルールに則りコーチに告げていない試合をする気はない。どう断ろうか困っていると
「今日名前と試合するんは俺やで〜中学生はあかん。もっと強なってから申し込んできいや」
種ヶ島が中学生を止める。だが中学生もそう簡単に引く気はないようで
「試合ができないなら観戦だけでもだめなんですか?俺たち名前の試合ってまともに見たことないんですよ」
「あかん。自分らはW杯のためにきっちり練習せなあかんで〜今のままやったら大将が試合にすら出させてくれへんかもしれへんで?いやでもそのうち名前の試合は見ることになるんやから今は練習しとき」
「今度試合する機会をコーチに作ってもらうから今日はみんな自主練してきて?」
種ヶ島が中学生をそう言い止めてくれたため名前も続いて中学生を止める
「名前ちゃんも言うなら仕方ないなぁ。金ちゃん、試合はまた今度や」
「えー!!!いやや!!」
「あかん」
「いーやーやー!」
「あかんって」
「いやや、ワイはやる!」
「しゃあないなぁ…」
「…っっっっ!!!!待って!!毒手嫌や!!」
「しゃあないやろ?金太郎が言うこと気かへんねんもん」
「(あれ?これ午前中にみた気がする…)」
「んーーー…。姉ちゃん今度絶対試合してな?」
「うん。しようね」
なんとか中学生達が席に戻っていったのを確認すると種ヶ島と越知が毛利の頭を叩いた
「いっっった!!!!」
「お前はあほか」
「軽率にもほどがあるぞ」
「すんません…」
「ほんとじゅさくんって…」
「ごめんって…」
怒られた大型犬のようにシュンと落ち込みながら昼食をとる毛利を見ながら名前も今は昼食をとるのが先だと目の前の食事に意識を戻した
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美味しそうに食事をとる名前をみながら種ヶ島は午後の打ち合いについて考えていた
名前は上手い。そして強い。中学生はまだ知らぬ事実だが名前は代表No.0の人物だ。名前がNo.0だということは中学生には伝えぬようにとコーチ陣から言われている。No.1の平等院より上のNo.0。あの血気盛んな中学生達が試合をしたくないわけがない。そうなると中学生達がこの代表になった本来の目的を忘れてしまう可能性がある。そんなことになってしまってはW杯日本の勝利が遠のく。そうならないようにみんな名前が練習するときは隠してきたというのに毛利は簡単に名前との試合をばらしてしまったのだ。
「(ほんま毛利は名前の試合が好きで、名前と試合したいんやなぁ。)」
もしかしたら弟である越前リョーマは名前がNo.0ということを知っているのかもしれないがその弟は今ここにはいない。跡部や不二辺りは気づいているかもしれないが名前が隠していることを簡単に言うような2人ではない
。つまり自分たち高校生が気をつけていればバレることはないのだ。
「(まぁ、俺との後に毛利に時間作ってやってもええか。罰ゲームつけたろかな)」
種ヶ島は代表選手の中で一番人間観察力に優れ、コミュニケーション能力が高い。そして誰よりも人の気持ちを考え察し、的確な行動言動ができる男だ。中学生に名前との試合はバラしてしまったが毛利の純粋な名前への尊敬の念を知っているため自分の後にはなるが名前が了承すれば試合をさせてやろうと考えていた