ギロクル
「近頃夜は冷えるからな、これを使え。風邪でもひかれたら困る」
唐突に、そして半ば無理矢理に与えられたものは一般にゆたんぽと呼ばれるものだ。お湯をいれて蓋をしめ、カバーをかければできあがるそうだ(本当に温かいのかは使った事がないので分からないのだが)
「くく、もしかして先輩心配してくれてんのかよ」
「なっ、違う!お前が風邪なんて引くと侵略が進まなくなるだろう!」
「そこは嘘でも心配だって言うもんじゃねぇの?」
「…うぅ、うるさい!とにかく風邪ひかないようにしろ」
「くっくー、りょーかい」
元々赤い顔を更に真赤にさせてテントへと帰っていく姿に思わず笑みが零れた。
とりあえずはこのゆたんぽの性能を試してみようと思い立ち、日向家の鍋を勝手に拝借して湯を沸かしてゆたんぽの中に注いでみた。どうにも加減が分からずシンクのなかは水浸しになってしまったが特に気にもせずに、カバーをかけて自室まで持ち帰った。
簡易ベッドにゆたんぽを放り込み、ついでに自身もベッドにもぐりこむ。冷たい布の感触がゆたんぽに触れた部分からジワジワと温まり、布団の中はすぐに少し暑いくらいの温度に達する。
「温い、けど横に置くなら、」
馬鹿な事を考えた。くだらない、人の温もりなんてものを欲するなんて。ああ、と声に出した言葉は意味もなく何処かに届くこともなく消えた。
きっとどうかしてる(だって隣りにいてほしい、なんて!)
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