ギロクル+睦美






「例えば俺と日向夏美が死にかけてたとして、先輩ならどっちを助ける?」
驚きと困惑と戸惑いに満ちた先輩の顔、おそらくは真面目に考えているのだろう、その証拠に眉間の皺が時間と共に深くなり、しまいにはうーんとうなり声まであがる。
きっと先輩は散々悩んだ末に日向夏美を選ぶのだろう、そんな事を考える自分が嫌になり、無理矢理に結論を出す。


「先輩、俺は二番でいいぜぇ。なんてったって俺様は天才だからな」
「なんだ、その破綻した理論は」
「先輩はだーいすきな敵の日向夏美でも助けてなって事だにょー」
「夏美は俺が助けなくても平気なくらいには弱くない、それよりお前の方が先に死にそうだ」
「クク、先輩俺様の事助けてくれんの?」
「まぁ、な。」
想定していたものと違う回答に多少は驚くがそれほど大きな衝撃はない。
本当にそんな状況になったとして、俺が助かって日向夏美が死ねば先輩は俺を恨むだろうか、日向夏美が助かって俺が死んでも先輩は日常に戻るのだろうか。先輩のことだ、仇だのなんだのと言って無茶をする可能性だってある。
「そういうお前はどうなんだ?」
「にょ、俺?」
「ああ、お前なら俺と睦美ならどちらを助ける?」
「クークックック、どっちも助けるわけねぇだろ、二人まとめて野垂れ死ねばいいんじゃねぇの?」
「可愛くない奴だな」
「俺様いつだってこーんなに可愛いのに先輩ったらひどいにょー」
先輩の方を見ることもなく言ってのけば先輩ははぁとため息をついた。我ながら馬鹿な事を聞いてしまったし馬鹿な事を聞かれてしまった。適当に茶化してしまえば良い、答えのない問い比べには蓋をして、何もなかった事にしてしまえばいいのだ。
「それでもやっぱり、俺はお前を選ぶんだろうな」




「…おっさん、後悔するぜぇ」
小さく呟いた言葉は空気に溶けて消えた。(後悔するのは、きっと俺の方)




おまけ
居候の部屋のベッドで勝手に拝借した本のページを捲る、がまず何が書いてあるかさえ読めないのは地球人としては正常範囲内だろう。
仕事が一段落したのかこちらを見て小さく珈琲と呟いた居候の為に温かい珈琲を入れるべく本を本棚に戻し、珈琲メーカーに向かった。
「クルルはさ、俺とギロロが死にそうでどっちか1人しか助けられないならどっちを助ける」
「クークックック、どっちも助けるわけねぇだろ、二人まとめて野垂れ死ねばいいんじゃねぇの?」
ひねくれ者の居候はどうやら素直に自分の気持ちを言えないらしい。やっぱり可愛い奴
「クルルは欲張りだね、どっちか1人って言ったのに二人とも助けるんじゃ答えにならないよ」
「うにょー」
「でも俺はさ、やっぱりクルルはギロロを選ぶんだと思うよ。だって俺はクルルの相棒にしかなれないから」
「勝手に言ってろ」
居候はにやりと笑って俺の方を見ることもなく言い放った





君はまったく知らんぷり(そんな君が好きだよ)







「ねぇクルル、恋人の変更とか考えない?」
「寝言を言うにはまだ時間が早いぜぇ」
「つれないなぁ、そんなとこも可愛いけど」


















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